やろうじゃないか!美里!①「まずはよそから学ぶのだ!」

投稿日: 2012年04月12日(木)19:32



久しぶりに堅い話から入ってみよう。

NPO法人としてのサルシカには、3つの事業がある。
ひとつが、この「サルシカ」。
もうひとつが、昨年の6月からスタートした「ゲンキ3ネット」。
そして計画はずいぶん前からされていながら、なかなかスタートを切ることができないでいた「美里プロジェクト」である。


ちなみにこの3つめのプロジェクトについては、滅多に配ることのないサルシカの概要書にこう書いてある。


「10年後の美里町をつくろう! 美里プロジェクト」
青山高原の風力発電が見下ろす三重県津市美里町。人口4000人に満たない、過疎高齢化の波打ち際にいるこの地域をもっとゲンキにしよう、とはじまった取り組み。
若者、バカ者、よそ者が集まっての「村のよりあい」からスタートです!


津市美里町は、サルシカの隊長であるワタクシ奥田が暮らすところであり、大勢のサルシカ隊が暮らすところである。
サルシカはこれまで「情報発信」と「コミュニティビジネス支援」に力を入れてきたが、そろそろここいらで自分たちのふるさとのためにも汗を流そうじゃないか、恩返しをしようじゃないか!
そして何より、自分たちのふるさとのために「情報発信」し、これまでに学んできたノウハウを活用しようじゃないか、と思い立ったわけなのである。

が、サルシカは海、山、川だけじゃなく、最近はやれ銭湯だ、落語だ、鼻笛だ、と忙しく、なかなか着手できないでいた。
そんな時、地域のお父さんたちが「ならば、オレたちがやったろうじゃないか!」と立ち上がったのである。

「オレたちジジイがやるんだから、おまえたちもやれい!」
と、やたらゲンキに、やたら鼻息荒く、手を引っ張られて引きこまれていったのである。




そんなこんなで2012年4月7日の土曜日。
ジジイとオッサン19人を乗せたマイクロバスが美里町を出発したのである。
ババアもオバチャンもいないのは問題であるが、オネエチャンがいないことが何より問題なのである。
しょっぱなから課題山積なのである(笑)。

実はこれに先立つこと1ヶ月ほど前、「長野地域まちおこし協議会」設立準備委員会の決起会議が行われたのであった。
その前にこの「長野地域」という名称から説明しなくてはならない。
美里町には現在、3つの小学校区がある。
辰水地区、高宮地区、長野地区である。
長野地区が一番津の市街地から遠く、標高が高いところにある。
小学校の児童数も、
辰水がおよそ100、高宮が65ぐらい、長野が35ぐらいである。
なんとなくわかってもらえるであろうか。

ま、つまり「長野地区」が過疎高齢化、少子化が美里の中で一番進んでいる地域の地域であるのだ。
その地域の有志や市役所の担当者、サルシカの隊員が集まって会議が行われたのであるが、

「まず何からはじめるべきなのか!」
「何より地域の人は何を望んでいるのか!」
「ワレワレ素人に何ができるのか!」
「活性化のまえに防災だろう!」

みたいな感じで、地域をゲンキにしたいという思いこそ同じものの、いざ歩みだした方向はみんなバラバラ。
暗中模索、五里霧中、曖昧模糊。
うーん困った困った状態にすぐさま陥ったのである。

で、他の地域の取り組みをまず見にいこうではないか、ということになった。
というわけでジジイとオッサン19人を乗せたマイクロバスは伊勢自動車を南下し、大紀町へとひた走ったのである!




ワレワレが視察先に選んだのは、三重県度会郡大紀町野原地区にある「野原工房げんき村」。
獣害を活用してのジビエ料理、廃校を利用しての交流体験などで地域を元気にしようとがんばっているところで、なんとほぼ土曜日のみの営業にもかかわらず、昨年度だけで1万5000人の来場者があったという!
そこを運営する野原村元気づくり協議会のみなさんにお話を聞こうということになったのである。

ここを選んだ理由はいくつかあった。
ひとつは、美里町長野地区と非常に似た立地であること。
おだやかな山間地にある集落で、子どもの数も減って過疎高齢化が進んでいる。
そしてシカやイノシシなどの獣害に苦しんでいるところも同じであった。

そして野原村元気づくり協議会の会長の鳥田陽史さんと、隊長のワタクシが、ゲンキ3ネットやテレビ番組を通じて交流があったことも、話がトントン拍子で進んだ理由であった。




廃校となった小学校の教室で鳥田会長とごあいさつ。
お互いに簡単な地域紹介をしたあと、鳥田先生の授業がはじまった(笑)。




野原村元気づくり協議会の設立は平成18年のこと。
県内の市町職員研修会「地元学」の受け入れからはじまったそうだ。

地元学とは、その名の通り、自分たちの地域にある自然、産業、文化、歴史を知り、どんな資源があり、どんな活用法があるかを学ぶもの。
それに地域をあげて参加し、ふるさとの魅力を再発見して、活性化事業に取り組みはじめたのである。




懐かしい学び舎での授業にとまどうジイサンとオッサン19人を前に鳥田さんの授業は進む。

「平成19年に『集落機能再生きっかけづくり推進事業』によるフォーラムが地域で開催され、その参加者の多さに一気に気運が高まりました・・・。
そして地域住民によるワークショップ(話し合い)を2回、3回と重ねて、野原を活性化するための38のアイデアをまとめました。
それを5つのグループに分類し、それぞれに活動内容を検討し、作成たのが、事業計画書です。
これは野原村のバイブルみたいなもので、これを元にずっと事業は進められてきています・・・」

徹底した地域住民のニーズの吸いあげ。
そして専門家や行政を巻き込んでの手法(活動内容)の策定。
この企業的な発想と手法が、野原村元気づくり協議会の根本の強さなのであろう。




そして野原地区の自治会費をゼロにする・・・という壮大な目標を定める。
これはいわば、協議会の目標は地域住民のみなさんの利益であるという宣言である。
住民を株主とした会社にしてしまったようなもんである。
これもいかにも企業的発想である。

大きな目標があり、それを実現するための活動内容ができれば、当然次はそれを実行する組織である。
野原食のグループ、小学校跡地活用グループ、体験交流グループなど、目的に応じた組織がつくられた。

ミッションと責任を明確にしたわけである。

うーむ。
なんだかまるで会社運営のノウハウ本みたいな感じになってきたぞ。
ウソみたいにサルシカっぽくない(笑)。
ま、今回だけだと思うが、こういうときがあってもいいのだ。


※校舎見学の様子


自治体や行政との密接な関係。
そして企業やメディアとの協力関係の持続。

野原村元気づくり協議会の鳥田さんの話は、本当に勉強になった。


※野原が生んだ偉人「大瀬東作」さんの展示品が並ぶ教室のひとつ「東作舎」。


何よりこの「野原工房げんき村」のすごいところは、地元の人がコミュニケーションをとるために訪れる場所でありながら、県内外の人が集まり、運営費となる「外貨」を稼ぐことができることだ。
その大きな看板になっているのが、食グループのお母さんたちによるジビエ料理である。




さて、お昼になっていよいよ給食の時間である(笑)。
真ん中のお皿にある丸いコロッケは、もはや看板メニューになっている「鹿ちゃんコロッケ」。
牛丼みたいなドンブリは「猪丼」である。

実はこの前に給食室も見学に行ったのだが、なんとお昼前だというのにこれらのメニューはすべて売り切れ!
ものすごい人気なのだ。
テレビや雑誌でも紹介されることが多いせいか、名古屋や大阪からも買い求めに来られる人がいるという。




いただきます、の前に食べだすお父さんたち。

「コラ、誰やもう食べとるんわ!」
「説明を聞いてから食え!」

とても還暦を超えた人たちの会話とは思えない内容の言葉が飛び交う(笑)。




食グループの鳥田操さんに食事の説明をしていただく。
鹿や猪は手間はかかるけど、本当においしい食材である。
山で生まれ育ち、鹿や猪の肉なんぞ珍しくもなんともオヤジたちも「うまいうまい!」と食べる。
野原の人たちに話を聞くと、牛肉や豚肉と常に比較されて食べられるのが悲しいという。
鹿は鹿として、猪は猪としてそのおいしさを認識してもらいたい、と。
うんうん、なるほどな~。




若手の参加者であるサルシカ隊のヨシヒロ隊員とのだっち隊員。
若手といっても40歳を越えてます(笑)。

ここでワレワレが学んだこと。
空気がキレイ、川の水がキレイ、人のイイ・・・でも何もない・・・そんな風に地元の人たちがいうところでも、ちょっとしたアイデアと工夫でその人口の何十倍もの人を呼び集めることができるのである。

ワレワレが暮らす津市美里町の長野地区も、
「たいしたもんがなーんもないとこや・・・」と誰もがいう。
でも、ほぼ何も変わらない野原地区でも、ここまで出来たのだ。
ワレワレだって出来るのだ!!

今回、ワレワレはいろいろなことを学んだ。
でも一番得たもの。
それは「ワレワレにだって出来る!」「長野地区だって出来る!」という自信に違いない。

そうなのだ。
ワレワレにも出来るのだ!!!




野原工房げんき村での視察の最後。
喫茶室になっている教室のひとつでくつろがせてもらった。
そこには地元のボランティアのお母さんたちがいて、お茶やコーヒー、そして手作りのお菓子でもてなしてくれた。
そして一服にやってきた地元の人たちと語らい、交流させてもらった。

「みなさんはどっからきたん?」
「津市の美里ですわ」
「ああ、あの毎年イルミネーションをやっとるとこ? 去年大きな船をつくったやろ、見にいったわ~」
「そこそこ! まさにその地域から来たんですわ!」
「あれえ、ホンマあ!」

地域でがんばっていることが、他の地域から人を呼び集めている。
そしてこうした人のつながりを生み出している。

こうして、地域とワレワレ、サルシカ隊の新しい取り組みはスタートしたのだ。
やるのだ。
ワレワレにだって出来るのだ!!!


■野原工房げんき村
名称 野原工房げんき村
住所 度会郡大紀町野原(旧七保第一小学校跡)
問合せ 080-1569-5336
営業時間 毎週土曜日10:00~13:00
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