「美里ワクドキ夏祭り!」第152回サルシカ隊がいく

投稿日: 2012年07月19日(木)10:32

 photo:松原 豊(一部:山本展義) txt:奥田裕久

三重県津市美里町。
隊長のワタクシや多くのサルシカ隊員が暮らすところである。
三重の県庁所在地である津市の市街地から車で30分ほど。
国道163号線を伊賀方面へ向かうと、まず田園が広がり、山がせりあがってきて、いつの間にか緑に包まれる。
そこには古い習わしや懐かしい日本の里山の風景が広がる集落がある。
まだ「村の景色」「村の社会」が残っている。

おととし、美里町の人口はついに4000人を割り込んだ。
過疎高齢化。
少子化。
地方を飲み込む渦に、ワタクシたちの美里も飲み込まれようとしている。

そんな美里町の一番奥・・・「美里の奥チベット」とさえ言われるところがある。
それが、隊長であるワタクシが暮らす平木(ひらぎ)という集落だ。

この集落を超えると、あとは山が広がるばかり。
最近出来たばかりのトンネルを抜けると、もうそこは伊賀である。

そんな津の端っこの小さな小さな集落で、年に一度のお祭が開催された。
そこに地域の暮らすものとして、地域を思うサルシカ隊として参加した顛末を紹介するのだ。

7月15日(日)。
平木のひとつ手前の集落、北長野に、朝早くからサルシカ隊の面々が集結。
この北長野に暮らし、ここでのイベントを取り仕切るキヨちゃんは、朝から会場の準備。
ワタクシとやまぴーは、駅へゲストである林家染弥さんのお迎えに。
そして、写真師マツバラは、ワハハハハと笑いながらカメラの準備。

北長野の集会所で開催されたのは、林家染弥さんの落語会。
実は昨年、平木の夏祭りに染弥さんが落語をしにきてくれることになって、せっかくそこまでくるなら、隣の北長野で一席・・・ということになって開催されたのであったが、それが非常に好評で、今年はワタクシたちサルシカ主催で、地元自治会の後援、協力によって実現。

みんなええ顔して笑ってるねぇ。

実はこの美里での落語はもともと染弥さんの思いつきでスタートしたのだ。
三重県に生まれ育ち、いまは大阪で上方落語の噺家として活躍している染弥さんは、テレビのロケで何度かこの美里町にやってきたことがあったのだ。
ワタクシといっしょに山に入ってチェンソーを体験したり、ときにゴミ拾いをしながら山を歩いた。
その際、染弥さんは美里の自然、里山の景色にいたく感動してくれた。
しかしその一方で、病院に通うのにも苦労をしている高齢者のみなさんの生活も知り、自分が生まれ育った三重の、その源流とも言えるこうした小さな集落で落語をしてまわってみたい・・・・という話になったのだ。

それが平木での落語につながり、北長野の落語につながったのである。

噺を終えた後、みんなで楽しく落語ワークショップ。
大体こういう場合は、主催者が餌食になる。
当然、キヨちゃんと、なぜか道連れにされたキヨちゃんの娘がみんなの笑いの餌食に。
キヨちゃんはともかく、娘の今後の人生はいろいろ変わってしまったに違いない(笑)。

今回の落語会は入場無料。
自治会および役員さんからの謝礼によって開催された。
ご協力いただいたみなさんにはこの場を借りて感謝いたします。

最後に参加者全員で記念撮影。
サルシカ隊の面々も大勢まぎれこんでいる(笑)。

午後は、北長野から更に山に入って平木へと移動。
標高280メートル。
美里の奥チベットと言われているが、今年はずいぶんと暑い。

平木の現在の人口は101人。
50戸ほどの家がある。

そんな小さな小さな集落で、年に1度行われるのが「祇園さん&平木夏祭り」である。
昔は、かんこ踊りで若者たちが踊り、ぶつかり、それはそれは賑やかな祭りだったという。
屋台もや提灯も並んだらしい。

今は、山の上にある天王さんにお参りする祭典と、そのあと集会所での宴会が夏祭りとして残っている。
それでも、地域の人はみんなが集まっての行事ということでとても楽しみにしている。
で、昨年、染弥さんに半ばボランティアとして平木の夏祭りに参加してもらい、小さな小さな谷あいの集落を笑いでいっぱいにしてくれたのだ。

みんなの笑いが地域をゲンキにする。
みんなのゲンキが未来のエネルギーとなるのだ。

午後1時からの祭典を終えて、2時から夏祭りの開催。
今回、その進行をしてれくたのは、三重テレビで「とっても!ワクドキ!」の司会をやっているフリーアナウンサーの稲葉寿美さん。
「昨年以上に祭りを盛り上げたい!」というワタクシの願いを、「もちろん!」の一言で受けてくれたのだ。
しかもシャンパンと交通費のみで(笑)。
テレビではワタクシをいじめてばかりの稲葉さんであるが、本当はこんなに心優しい女性なのだ。

平木を盛り上げるために染弥さんだけじゃなく稲葉さんまでも!
なんとありがたいことか!

ワタクシが出演しているテレビ番組ということもあって、平木集落内での「とっても!ワクドキ!」の視聴率は100パーセント!
稲葉さんを知らない人はいないのだ。
事前に告知はしてあったものの、稲葉さんの登場の際は、すごいどよめきが(笑)。

自治会長などのあいさつのあと、乾杯!
平木の人は呑みます!
いきなり日本酒いきます!
稲葉さんもワタクシも呑みます!
祭りだからいいのです!

そして染弥さんの登場!!
昨年の夏祭りで落語をしていただいたとき、泣いて笑っているおじいちゃんがいた。
手を叩き、顔を見合わせて笑っているお母さんたちがいた。

「ぜひ今年も・・・」そんなみんなの声に応え、染弥さんは帰ってきてくれたのだ。

山々に笑いがこだまする。
たぶんいま、この平木が、津市で、三重で、いや日本で、一番ゲンキな集落だ。

噺を終えて、ここでも落語ワークショップ。
当然、ここでは自治会長の奥さまとワタクシが犠牲に(笑)。

この盛り上がりをみよ。
あまりの熱気でエアコンがまったく効かず、このあと窓を全開にして宴会を続けた。

お母さんたちがリードしてのコーラス。
集落のひと全員で「ふるさと」を歌う。
うさぎ追いし、かの山・・・・そう、その山はここにあるのだ。

夏祭りはカラオケ大会へとすすみ、司会進行をしてくれていた稲葉さん、染弥さんも一息。
写真師マツバラもいっしょにシャンパンで乾杯!
まあ染弥さん以外は、スタートから飲んでいたが、ここから稲葉さんのスイッチが入るのだ。

左上/隊長のワタクシが恐れる二人の女性(稲葉さんとM子)のありえない2ショット(笑)。
右上/今年は司会を稲葉さんに任せて楽ちんのワタクシ(笑)。
左下/着物でシャンパンを呑みこなす落語家、林家染弥(笑)
右下/稲葉さん染弥さんの送り迎えとサブカメラマンをしてくれた、やまぴーと稲葉さん。

稲葉さん、平木まできてくれて本当にありがとう。
染弥さん、2年続けてきてくれてありがとう。
松原さん、いつも平木の記録をありがとう。
やまぴー、今回はお酒も飲まず、お手伝いありがとう。

平木地区の役員のみなさん、そして奥さまがた。
祇園さんと夏祭りの準備、お疲れさまでした。

そしてサルシカ隊のみんな、協力ありがとう。

今年も美里は少しゲンキになりました。

NPO法人サルシカは、美里町の地域活性化を目的として「美里プロジェクト」事業を立ち上げました。
その拠点として、サルシカ秘密基地を建設中です(笑)。