写真/フォトグラファー加納(加納準) 文/サルシカ隊長
午後8時15分。
会場の青山高原第6駐車場にはたくさんの車が並び、そして大きなブルーシートの敷物にはたくさんの人が寝転んでいた。
わーわー、ざわざわ。
暗闇に人のざわめきだけが聞こえる。
が、星は見えないのだ。
厚い雲が空を覆っている。
もうイベント開始時間を過ぎている。
ひとまず、主催者からのあいさつをすることになった。
「えー、どうも、こんばんわ。
サルシカ隊長の奥田です・・・えー、本日は天候に恵まれ・・・・」
ワタクシは何を言っているのであろうか。
空に星がひとつもないのに。
続いて木神楽代表の大工のT橋が。
「えー、どうもT橋です。星が見えないのでまだ何もすることがありません・・・」
会場のざわめきがどんどん静かになってくる。
やばい。
このままじゃやばい。
続いて、撮影会の担当のフォトグラファー加納さんが。
「えー、こんばんわ、フォトグラファー加納です。星が出ないと撮影できないので、今のところ何もすることがありません・・・」
あれほど賑やかだった会場は、もはやシーンと静まり返っていた。
真っ暗闇で静かだと、本当に人がいるのかと不安になる。
みんなの責める視線が見えないだけでも幸せである。
時間稼ぎのため、子どもたちに津の夜景を見せ続ける大工のI山(笑)。
が、もうそろそろ限界と思った、その時・・・・。
誰かが「あ、星だ」と言った。
みんなの姿は見えないが、みんなの動く音が聞こえた。
ワタクシも空を見上げた。
最初ポツリ、ポツリと星が見えた。
そして、風と共に雲がどんどん薄れ、星空が姿を表した。
「おおおおおおおおおおおおおおおお」
みんなのどよめきが響いた。
奇跡だ。
これはサルシカの奇跡である!!!
おお、神よ、仏よ!!
見よ、この見事な星空を!!!
真ん中をうっすらと流れるのが天の川である。
よしよし。
大工のT橋、フォトグラファー加納と共に肩を叩きあった。
流星群をみるのが目的であるが、それよりも何よりも星が見えることが大切なのだ。
そんなとき、子どもたちが「あああああああああ!」と声をあげた。
流星が空を走ったのだ。
「こっちも!!! わああああああ!!」
星が流れるごとに大きな歓声がおこった。
ときには拍手までも。
大工のT橋が、レーザーを使って、ペルセウス座流星群と星座についての説明をはじめる。
そしてフォトグラファー加納による撮影講座も少し離れたところでスタートした。
大工のT橋はレーザーで星を指しつつ、「これが有名な冬の大三角形です・・・おおいぬ座の・・・・」などと、いかにもらしく説明を開始。
フォトグラファーも「シャッタースピードは20秒から30秒・・・あとはただひたすら待って待って、フレームの中に流れ星が入るのを待ち続けるのみ・・・」などと、もっともらしい口調で言っている。
しかし撮影会に参加のメンバーには、子どもたちの夏休みの宿題のために、絶対にペルセウス座流星群を撮影しなくてならないというミッションが課せられているのである。
運に任せていちゃダメなのである。
みんなで撮って撮って撮りまくらなくてはならぬのである。
さて、ここで。
フォトグラファー加納の指導のもと、星空にカメラのレンズを向けていた面々の写真を公開しよう。
フォトグラファー加納の講評つきである(笑)。
まずは、ワイン会でお世話になっている中津軒の中田さんの写真。
いったいこれは何なのであろうか。
いきなり光原体と遭遇しちゃってるのである。
UFO着陸の瞬間であろうか。
中田「いやいや、これはレンズの曇りを加納さんに指摘されたところです。
光は加納さんのペンライトですよ。
私じゃありませんよ、ホント加納さんですよ」
加納「人のせいにしちゃいけませんね、中田さん。
たぶん中田さんは宇宙人とコンタクトしていたんですね(笑)。
すばらしいことです」
中田さんの他の写真も確認するも、流星らしきものは一切写っておらず・・・・。
続いて、やまぴーの写真。
なんでしょう、これは・・・。
なんかホコリみたいなのがいっぱい浮いてますが(笑)。
加納「完全なピンぼけですね。
ちゃんと事前に説明したんですけどねぇ・・・
ひょっとしたら他のところがボケてるんでしょうか(笑)
冗談はさておき、
ピントリングが動いちゃったかな?
または夜露が原因ですね。
夜露対策は使い捨て懐炉をレンズの巻くのが効果的です」
続いて愛知県の中谷さんの写真です。
流星は写っていないというか、そもそも狙っていませんけど、なんかいい感じの写真ですね。
加納「「これはこれでOKだと思いますよ。滅多に見られない画像です」
最後はエネオス稲ちゃんの写真です。
これはなんでしょう?
これが流星だとしたら、画期的な写真、発見だと思いますが。
加納「私には解析不可能です。
だって彼はITを使い、念じて撮影してますからね。
デジタルのひずみで変なのが写っちゃったんでしょ(笑)」
いやいや、それにしては幾何学的ですよ。
加納「実はこれは飛行機です。赤いところが点滅しているライトですよ」
おお、なるほど~。
で、結局、誰も流星を捉えていないんですど。
加納「みんなまだまだですね~」
そういう加納さんは撮影に成功したんですか?
加納「むはははは! あたりまえじゃないですか、私はプロですよ、プロ!!」
というわけで撮った加納さんの写真がこちら!
おおおおおおお!!
右上に見事に流星を捉えているのだ!!!
「あ、自分だけ魚眼レンズを使ってる! ずるい! 反則だ!!」と詰めよった生徒もいたが、
まあこれもワザのうちなのだ。
そしてこちらが上の写真を修正、加工したもの。
キレイに流星が写っていますね。
上記の写真および加納さんが撮影した写真は、以下のリンクでダウンロード可能です。
Facebookページですが、誰でも閲覧、ダウンロード可能です。
http://www.facebook.com/media/set/?set=a.475397382478196.113137.271441232873813&type=3
午後11時近くまで満天の星空が広がっていた。
その間にも遅れて何人もの人が参加し、そして静かに去っていった。
11時を過ぎてまた雲が空を覆いはじめると、大半の人は帰っていってしまった。
が、人がほとんどいなくなり、星も見えなくなった頃にやってくる人もいる。
津あけぼの座の油田さん一家だ。
「あれ~、みんなは? あれ~、星は?」と油田さん。
スタッフたちは切なくその親子を見やる(笑)。
「せっかく来たんだからブルーシートにだけでも寝転んでいこう、おい、寝るぞ!!」
なかば強制的に家族をシートに寝かせ、やけくそ気味に空を眺める。
すると、あろうことか、また雲が途切れてくるのだ。
「おおおおおおおおおおお~!! みえた~!!!」
と、騒ぐ油田ファミリーをよそに、
もうすでに流星を見まくったワレワレは、すっかり宴会体制へ!(笑)。
やまぴーが持ってきたスパークリングワインを開け、だはははははははの乾杯なのだ!!
ちなみにこのあと、鼻笛とギター、ハモニカの演奏がはじまり、そして歌がはじまった。
星空と、流れ星と、鼻歌のセッション。
真っ暗闇なので音のみですが、聞いてみたい方はこちらをどうぞ。
http://www.youtube.com/watch?v=whK4gY5UAVY&feature=youtu.be
ちなみに、この日の参加者、おとな子ども全員合わせて60名ほど。
うち、10人ほどがそのまま青山高原第6駐車場で車中泊した。
誰だ、こんなイタズラしたの!?(笑)
まあ何はともあれ、無事にイベントが開催できて本当によかった!!
不安定な天候の中、参加してくれたみなさん、ありがとうございました。
準備に奔走してくれたサルシカ隊のみんな、ありがとうございました!!
そして何より、晴れ間を作ってくれた、てるてる坊主さん、この度は本当にお世話になりました!!(笑)。
関連リンク
木神楽:http://www.takahashi-kk.net/
加納フォト:http://www.kano-photo.com/