「秘密基地建造ファイナル④~愛と炎と串揚げと音楽と」第167回サルシカ隊がいく

投稿日: 2012年11月17日(土)08:56

写真/フォトグラファー加納(加納準) 写真師マツバラ(松原豊) ウッディ中谷(中谷兼敏)

文/サルシカ隊長(奥田裕久)

サルシカ秘密基地最終建造プロジェクト。
初日はなんとか屋根をすべてかけ終えたところで終了した。

秘密基地のまえではすでに火が焚かれ、宴会の雰囲気が高まってきていた。
いやーいやいやいや、大変でしたなあ・・・と、互いにねぎらう隊員たちの明るい声が聞こえてくる。
きょうの戦いは終わったのだ。

ちなみに屋根チームが最後の作業をやっていたとき、屋根の上からみるとこんな様子だったらしい。
隊長のワタクシを含め、誰も「急げ!」とか「早くしろ!」なんて言ってなかったのだが、もう気が急いて気が急いて焦りまくりだったらしい。
まあ、こんなのが見えていい匂いがしてきたら焦るわな(笑)。

宴会のための第2の移動販売カー。
キッチンカー串揚げ「まるう」。

オーナーの藤井さんは、元ホテルマン。
そのホテルは、実は隊長のワタクシが酔っ払って家に帰れなくなるとよく泊まるところで、山形のでこさんが三重にやってきたときには定宿にしているところだ。
ワタクシが酔っ払ってチェックインしているときに、藤井さんに「隊長ですね」と声をかけられたのが最初のきっかけで、そのあとサルシカ隊のみずえDの同級生だということが判明し、今回の依頼につながった。

それにしても、アウトドアで串揚げとはなんと魅力的なことか!
夕闇に包まれた山の木々。
そこに油の匂いがほんわりと漂ってくる。

「ビール!!! ビールを持って来い~~!!!」

こんな雄叫びをあげずにはいられなくなるのだ(笑)。

宴会スペースを確保するためにつくられた仮設ウッドデッキに、ずらりとお酒が並ぶ。
みんなからの差し入れである。
この他にもあらゆる冷蔵庫やプールにビールがきっちり冷えている。

「それではお疲れさまでした~!! カンパーイ!!」

こういう時に、ぐだぐだと乾杯のあいさつなどをすると、激しいイライラ光線の集中砲火に遭う。
疲れきった体に、乾ききった喉に、何はともあれ冷えたビールを流し込みたいのだ。
くひ~~~~っとうなりたいのだ。

かくして、
ビールを飲んだ全員が「くひ~~!!」と言った(笑)。

はいはい、串揚げができましたよ~。
そんな声に走ったのは子どもたちだった。
店の前から動かず、どんどん串揚げを手に取り、口ばかりが動く。

「まあ、まずは子どもたちがゆっくり食べて・・・そのあと大人のワレワレもゆっくりと・・・」

最初はそんな余裕の笑みで子供たちを見ていた。
が、子供たちはえんえんと食べている。

「よく食べますなあ、最近の子供は・・・わははははは」

もう目は笑っておらず、足はイライラと貧乏ゆすり。
「こらガキどもどかんかい!」と誰かが言い出す直前、満腹になった子供たちがどこかへ遊びに消えた。
こうして幸せの宴会がはじまったのである。

宴会がはじまって20分ほどして。
酒と串揚げで胃袋も気持ちも満たされた頃、あるサプライズ企画が!

今日のお昼ごはんとドリンク関係のすべてを準備してくれた漫画家で「道瀬珈琲」の一色さんと元町さん夫妻。
明日はその元町さんの誕生日で、夫の一色さんが「サプライズをお願いしたいのだ」ということで、女性チームを中心に準備をしてもらったのである。

エロン、大工のT橋、そしてウッディ中谷の3名による、珍妙な獅子舞からはじまって、M子が巨大ケーキを持って登場!

月夜の下、みんなで歌い、鼻笛を吹き、楽器を打ち鳴らして元町さんの誕生日を祝った。
企画もうまくいって「めでたしめでたし」なのだ。

そのあとはエロンと大工のT橋を中心に音楽となった。
焚き火を囲んで静かに音楽を楽しむ。
こんなゼータクはない。

月と音楽と串揚げの宴の中、
一応テレビ局のアナウンサーでもあるボーノー隊員に火がついた。
ケーキを前にした一色さんと元町さんを見た途端、なぜか結婚式の司会をはじめる(笑)。
よせばいいのに、結婚1年目の一色さんと元町さんはそれに応える。
ケーキを食べさせあい、挙句にチューをして(笑)。

もうこの辺からみんなどんどん壊れはじめる。
さわやかな宴会からズブズブの宴会へと転じるのである(笑)。

まずは三重とカメラと人類を愛するウッディ中谷が静かに壊れていた。
エロンとこの1歳にもならない子どもに鼻笛を吹き聞かせ、その魅力を語り、しずかに布教活動にいそしんでいた。
先ほどの結婚式ステージでは、一色さん本人が壊れ、ボーノーさんにまでチューしていた。
その後のステージ上の話はもう語りたくない(笑)。

いろいろな地域に暮らす、
いろいろな年代の、
いろいろな職業の、
いろいろなタイプの人たちが、
秘密基地をつくるために集まり、汗を流し、そして酒を呑み、笑い、酔っ払う。
なんと楽しいことか。

焚き火を囲み、宴会は夜更けまでえんえんと続いた・・・と書きたいところだが、実はそうではなかった。
みんな早朝から働きに働いたものだから、あっというまに体の限界(笑)。
ひとり、またひとりと自分の車やキャンピングカーやトレーラーハウスに消えていき、9時には宴会終了。
なんとも健全なのである。

秘密基地最終建造計画の初日はこうして終わった。
明日は2日目にして最終日。
そして大雨の天気予報であった。

夜空にあった月は雲に消え、星空も消えた。
どんよりと湿気を含んだ風が吹きはじめていた・・・。

〈次回につづく〉