銭湯にいこにVol.27「またまた伊賀の銭湯で落語なのだ!」①~準備を始めよう~

投稿日: 2012年11月30日(金)17:05

写真/ケロリン桶太郎&サルシカ隊長  文/ケロリン桶太郎

 

今回はサルシカ銭湯企画のリーダー”ケロリン桶太郎”がお届けします。

今日は待ちに待った第二回の一乃湯寄席の日。
今年の3月8日に開催してから8か月。
その間もサルシカ銭湯企画は、四日市で自転車に乗ったり、伊賀で銭湯の外壁にペンキを塗ったりしながらこの機会が来るのをただひたすら、首をなが~くして待っていたのであります。

そのわりに今日の銭湯企画隊員は隊長を含めわずかに3名プラス神父さん。
もう銭湯にも落語にも冷めてしまったのか!?
というわけでもなくて都合がつかなかったらしい。

しかもいつも銭湯企画の画像には登場しないものの、初回から皆勤で痒いところに手の届く写真を撮影し続けてくれていた写真師松原豊が欠席。
どうなるんだ~銭湯企画???

集合は午後2時。
ワタクシは興奮を抑えきれず1時には上野に到着。
ホテルに車をとめて上野の街並みを愛でながら一乃湯に歩を進めていると、上野市民のソウルフード”西澤のコロッケ”を頬張っているスズキックス隊員を発見!
ダイエットが成功したという余裕が昼飯後にコロッケを食べるという暴挙に走らせたのであろう。
私のようにリバウンドだけはしないようにね。

そんなことで少し早めに一乃湯到着。

おかあさんがお花を活けては「これでええやろか?」と不安げ。
花の心得のない我々は「キレイですね~」「うん!いいですよ~」と実に底の浅い返事。

ご主人の中森さんは、銭湯らしく籐籠を演台の横に並べておこうかどうか迷っていると、ここはスズキックスが「並べるなら両側がいいでしょうし、無いならないでいいのと違いますか?」と実に明確なアドバイス。
何が彼をここまで自信家に変貌させるのでしょうか??
スズキックスがさらにバージョンアップする予感を感じずにはいられません。
どこへ行くのだ!スズキックス!?(乞うご期待!)

やがて隊長も到着し演台に毛氈を敷いて、そのうちはるばる彦根から神父さんもやってきて。
集会所からイスや座布団を持ってきて。

我々が座布団を運んでいるあいだにお母さんは活けたお花を全部引っこ抜いて一からやり直し。
やはり気持ちのこもっていない返事を見透かされていたのですね。
参りました。

一回目はあ~でもないこ~でもないと座布団を並べては元に戻しを繰り返し、染弥さんが座る台の足が低いからと材木を切って高さをあわせて、振り子時計の音を止めたり、ライトの位置を合わたり、やれやれで準備が終わったのに、二回目ともなれば1時間あまりであっという間準備が完了。

当の染弥さんは奈良の高座を終えて5時過ぎに到着予定。
到着までまだまだ時間もある。
ってことでたいして汗もかいてはおりませんがお決まりの銭湯に行くことに。
銭湯企画らしくなってきましたよ~。

今日の宿はホテルグランティア伊賀上野 和蔵の宿。
ココに車を回していざ銭湯へ。

伊賀鉄道西大手駅の踏切を横断。
この付近はちょっとした商店もあり懐かしい雰囲気が漂っています。

今回、写真師松原豊が不在ということもあり、カメラは隊長と私ケロリンが担当。
デジ一(デジタル一眼レフカメラのことね)を購入するも押入れの肥しになっている隊長と、写真師から譲り受けたカメラをほったらかしにしてコンデジ(コンパクトデジタルカメラのこと)ばかり使っている私。
本当に撮影はうまくいくのでしょうか?

一抹の不安はあるもののやるときはやる二人。「写真師やったらこういうの好きと違う?」とか「写真師っぽくない?」と撮影した画像を見せ合う二人。
なかなか前に進みません。

すっかり写真師気分の二人。
カメラを片手に気持ちが高揚した隊長はご夫婦揃ってのんびりされていた同じ名前の理髪店に突撃する始末。

やっとのことで目的の銭湯「太陽温泉」に到着。
実は今日の銭湯企画はノーアポ。
伊賀上野銭湯マップのイラストを描いた神父さんが一緒なのでちらっと紹介すればすんなり取材OKをいただけると高をくくっていたのです。

ところが到着したのが早すぎてまだ暖簾がでるまで30分もあることに気付いた私。
煙突から煙も出ているし。
前撮りさせてもらうべく「ちょっと交渉して来まっさ!」と裏口からお邪魔しようとするのですがカギがかかっていて・・・断念。
なんともなりゆき任せな自分が情けなくて。

今日の空とおなじく暗雲がたちこめたサルシカ銭湯企画。
でもね。
こっちがだめならあっちということでまるまん温泉にみんなで移動してみることに。
こんなに近い場所に銭湯が集まっている伊賀上野は本当にステキです。

ちなみに伊賀上野には今晩の落語の会場「一乃湯」、富士山のペンキ絵の「池澤湯」、残念ながら入れなかった「太陽温泉」、こちら「まるまん温泉」ともう一軒、唯一銀座通りの向こう側にある「旭湯」と五軒の銭湯が営業されています。
それぞれ趣の異なるレトロな銭湯ですのでぜひ一度どうぞ。

スグにまるまん温泉さんに到着。
こちらはもう営業されていてさっそくご主人に取材の旨をお願いするとすんなりOK。
たまには成り行き任せでもええやん!とホッと胸をなでおろす私。
ここでいつもは写真師松原豊に集合写真を撮ってもらうところ、隊長が持参した三脚でセルフタイマーでの撮影となりました。
気が利きますなあ隊長さん!

“まるまん温泉” 文字にするとこうなってしまいますが、本当は○の中に万の字で”まるまん”が正解。
昔は写植なので刷り物にも容易に表現ができたはず。
でもWORDでは○で囲えば作れますが所詮は機種依存文字。
画像データで作成して文中にはめ込まないと正確な表現は難しいわけで。
ところがこちらのお父さん「徳本誠一さん」はこの○の中に万の字にこだわってはるのです。
銭湯名簿から住宅地図まで可能な限り正しい表記を求めていらっしゃるのです。

クシャっと笑うお父さん、その昔は和菓子職人だったそうで、若いころは営業も兼ねて未舗装の京都までよく車を飛ばしていたそうです。
そんな折に先代が購入したこの銭湯を人を雇って経営をはじめたのだそうです。
その後は風呂屋さん専業になり今に至るそうです。

80歳を超えた今でも元気にやっていられるのはこの銭湯のおかげだと今日もせっせとお風呂を沸かしているのです。
世の中にはいろんな仕事がありますが、この齢までお客さんに喜ばれる仕事を続けられる銭湯。
そんな銭湯を日常としてやってくるお客さん。
いつまでもあり続けなければならないと思いを新たにしたのでありました。

さてお父さんのこだわりはこれだけではありません。
いつも軽トラで仕入れに行く住宅廃材のチップ。見てください。JRA栗東トレーニングセンターのウッドチップコースを髣髴とさせるこの景色。サラブレッドがヒヒィ~ンと喜ぶこと間違いなし。植木の元に敷いたら防草にも活用できちゃったりします。
なによりチップは材木よりも楽に運べて環境にもからだにも優しい。一石四鳥なエコ銭湯だったのです。

さてさてようやく入浴。

まず出迎えてくれるのが年季の入りまくりの下駄箱。これに萌々~っとなるヒトは銭湯ファンになる素質あり!わたしがお約束します!

木の引き戸をガラガラっと開けると看板娘がお出迎え。
その奥にはすてきな銭湯空間が広がっています。

なぜか着替えの途中でお互いを撮影しあったりして(笑)

脱衣所の中のめぼしい被写体の撮影にも余念がありません。

西村知美に股間を見上げられながら素っ裸になったら・・・

みんなこんな感じでハハァ~ンといい気分。

チップで沸かしたちょっと熱めのお湯がたまりません。

風呂上り、マルマン温泉自慢のぶっとい煙突の上の虹!日本人でよかった~な瞬間です。

染弥さんを迎えに行く神父さんとスズキックスを見送った私と隊長。
落語が始まるまでにプハ~っとやるべく密かに下調べしておいたのですよ。
銭湯の営業時間は下調べしないのにね。

スナックのようでお好み焼き屋さんのコチラ「忍」さんでおでんの盛り合わせでカンパ~イ。
許せ!スズキックス!
君にはもっと極上のお楽しみが待っているではないか!!

(ホントはちゃんと打ち合わせをしていたのですよ。信じてね。)

ちょっとほろ酔い気分になったところで一乃湯さんに帰りましょう!

今日の銭湯
まるまん温泉
伊賀市上野西町3363
大人(中学生以上)350円/子供150円/幼児70円
15:00~21:30
金曜日お休み
駐車場は左隣に一台

〈後編につづく〉