出演/すずきっくす 写真/松原 豊 文/サルシカ隊長(今回だけね)
2012年の最後の日・・・
このクソ忙しい年の暮れ・・・つまり大晦日に・・・
ワレワレ「サルシカ」は重大な発表をしなくてはならない。
なんと・・・!!
なんとなんと・・・!!
ワレワレは、テレビ番組を制作し、放送しようと計画している。
しかも地上波デジタルで!!
しかも・・・・!!
え・・・?
「すずきっくす」って誰だって・・・?
本当ですか、お客さん。
だって彼はサルシカ隊のレギュラー的な存在ですよ。
銭湯企画だってほぼ皆勤賞で参加してるんですから。
じゃあこちらをご覧ください。
これは伊賀の一乃湯さん取材のときの1枚。
ほら、ちゃんと写ってるでしょ(笑)。
え、小さすぎて見えない・・・?
困るなあ、お客さん。
じゃあ、これでどうだ!
これは記念すべき第1回サルシカ銭湯企画で津のすえひろ湯での1枚。
ほら、大きく写ってるでしょ。
たぷんたぷんの腹と腰まわりに十分すぎるほどついた贅肉が(笑)。
は・・・?
顔が見えない・・・?
仕方ないなあ、じゃあこれでどうだ!!
やったねぇ。
今度こそばっちり写ってるでしょ。
んん・・・?
写真手前右のでっかいボーノー隊員の方が目立ってる・・・?
もっと言えば、すぐ手前のイワワッキー隊員にすら存在感が負けている・・・??
お客さん・・・
それを言っちゃあおしめえよ(笑)。
ま、つまり、
「すずきっくす」とはこういう男なのだ。
誰にも好かれるいいヤツである。
特におじさんには妙に好かれる(笑)。
が、なぜか存在が薄い。
いつもいるのに写真にもあまり撮してもらえない。
一番がんばって働いているのに、あとになって「え、あの時いたっけ?」と言われる。
が、彼はタレントなのだ。
いや、正確に書くと、「タレントだった」のだ。
耳を疑うような話かもしれないが、本当の話である。
実は「すずきっくす」は、三重県津市を中心としたケーブルテレビ「ZTV」の「げんてれ」という番組に、「鈴木マサルテル」という珍妙な芸名で出演していた。
髪の毛をくっきりべったりと七三に分け、なぜか蝶ネクタイ。
気色悪いがインパクトだけはあった(笑)。
ケーブルテレビの番組は、もうイヤというぐらいリピートされるので、津に暮らしていると、いつの間にか目にしてしまっているキャラであった。
有名とは言わないが、時おり町中で「あ、テレビに出てる変な人?」程度には認知されていたのだ。
が、残念なことに、今年その番組は打ち切りとなってしまい、鈴木マサルテルは不本意にも「普通のひと」になってしまった。
元のアルバイトだけの生活に戻り、誰が見ても明らかに落ち込んでいた。
そんな「すずきっくす」不遇のとき、サルシカ隊の隊長であるワタクシと、あえてここでは名前を伏せるが、すずきっくすをよく知るK君とI君の3名は、津市の夜の繁華街で大いに飲んで騒いだあと、静かなバーへと入って唐突にすずきっくすの話をはじめたのであった。
隊長「最近すずきっくすはサルシカのイベントにはフル参戦といっていいほど参加してくれているのだが、仕事の方は大丈夫なのか?」
K君「ま、アルバイトですからシフトをうまく調整してるみたいですけど」
隊長「すずきっくすはいくつになるんだっけ?」
I君「ボクより1つ上ですから、もう34ですね」
隊長「それでアルバイトか・・・」
K君「収入も大学の初任給程度、いや、それ以下になるでしょうしねぇ」
隊長「この先どうしたいのかなあ、ヤツは」
K君「ボクは何度か話したことがあるんですけど、彼はやはりローカルタレントになりたいんですよ」
隊長「ローカルタレント?」
I君「ま、テレビに出たいってことでしょうねぇ」
隊長「じゃ、東京か大阪にいった方がいいじゃないの?」
K君「それが違うんですよ。彼は三重で活躍するローカルタレントになりたいっていうんですよ。三重県で一番のローカルタレントに」
そうなのだ。
すずきっくすは、三重を拠点にしたローカルタレントとして生きていきたいのである。
が、都会と違って、自主制作の番組は少ないし、そもそもテレビ局も少ないので、そのチャンスは非常に小さい。
「さてさて、どーしたものか・・・」
そんな時、ふと自分たちでスポンサーを集めて番組をつくるのはどうか、という話になった。
酔っていたせいもある。
でも、例えばオレたち3人が3万円ずつ出して9万円出したら、深夜の5分枠とか、それが無理でも1分だけでも買えるんではないか。
撮影機材は仕事上揃っている。
撮影も出来て編集もできる人間もいる。
おいおい、ひょっとしたらこれはイケるんじゃないか。
うん、イケるイケる!
でもさ、せっかくやるんだったら1クール(3ヶ月)はやりたいなあ。
やるなら地上波だなあ。
と、どんどん話は盛り上がっていった。
そして、ワタクシは地元のローカル局にすぐさま話をしてみる、ということでその宴会を終えたのであった。
それにしても。
勢いというのは恐ろしいものである。
ローカル局の営業担当に話をしていたら、それは面白いとすぐさま乗ってくれた。
そして枠と値段を想定で出してくれた。
ひとまず150万円ほど集めれば、5分枠で1クールいけそうだった。
ここまで話を進めてから、当の本人のすずきっくすに、
「150万円をサルシカの企画としてすずきっくすが集める。もちろんオレたちも協力するが、それ自体もコンテンツとして発表しながら150万円集める。そしてすずっきすの番組をつくる。やるか?」
と聞いた。
最初すずきっくすは、「は・・・?」と言ったきり1分ほど凍りついていた。
事態がまったく理解できなかったらしい。
そりゃそうだろう。
「で、どんな番組をやるんですか・」
「え?」
今度言葉に詰まるのはワタクシの番だった。
番組の中身なんぞ何にも考えていなかった(笑)。
が、すずきっくすはワタクシの返事を待つまでもなく真剣なまなざしで言った。
「やります! やらしてください! ぼくは三重で一番のローカルタレントになりたいんです!!」
こうして漢すずきっくす34歳は、裸一貫で勝負することになった。
来年(2013年)の7月までに150万円を集める。
そして番組枠を確保し、10月から番組をスタートさせる。
サルシカの記事用の取材(要するに資金集め)には、写真師マツバラが協力してくれることになった。
番組の企画には、落語家の林家染弥さん、津あけぼの座の油田さんなども協力してくれることになった。
そしてさまざまな業界のさまざまなプロがこのプロジェクトに賛同してくれた。
またその一方で、もし仮に彼が売れた場合、マーチャンダイジング権(商品化権)はサルシカが、専属カメラマンとブロマイド販売は写真師が、プロダクションはどこどこが、と、取らぬ狸の皮算用状態で、しかも本人のまったくあずかり知らぬところで話がまとまっていたのである(笑)
こうして、「めざせ!150万円!すずきっくす、三重ロータレ化計画」はスタートしたのである。
実はそれは今年の11月のことであった。
最初の資金提供・・・それは三重が生んだ上方落語の雄、林家染弥さんであった。
次回よりその様子のレポートを、すずっきくす本人がしていく。
果たして現在、いくら集まっているのか。
あと残金はいくらなのか。
すずきっくすの人生をかけてドキュメント。
とくとごらんあれ!!!!