「ピザ窯、大爆発!?」第196回サルシカ隊がいく

投稿日: 2013年04月26日(金)08:26

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サルシカ秘密基地は2013年4月に入ると、ほぼ完成の状態となった。
イベント用の椅子も運び込まれ、メインステージの電気工事、スピーカなどの音響機器も取り付けられていた。

が、ひとつ、まだ未完成なものがあった。
最近ではみなピザ窯と呼んでいる「石焼窯」である。

最初に形作ってから1ヶ月半。
雨が降ればブルーシートで覆い、雪が降れば毛布でつつみ、凍らないように白熱灯で中から暖めたてきた。
もう赤子のように大事に大事に育ててきた。

が、乾燥すればするほど、ひび割れは大きくなり、素人ながら補修を続けてきたが、もうこれはどうしてよいかわからんという状態にまでなってきていた。

そんな時、サルシカ石焼窯班のリーダー「こやまさん」が、鼻笛の池山大工やモリ大工といっしょに秘密基地にやってきたのだ。

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隊長のワタクシには、神様のように見えたが、やはり一般的にはむさ苦しいオッサンたちにしか見えないのである(笑)。
せまいトラックの運転席に3人。
ニコニコ笑顔でやってきてくれた。

「うわー、思ったよりちゃんと手入れしてくれてありますね~。
 大事に育ててくれてありがとうございます~。
 おー、よしよし、待ってろよ~、なでなでしてやるからなあ」

左官屋であるこやまさんは、石焼窯に優しく話しかけながら、珪砂を混ぜた荒壁土を素手で塗りこんでいく。

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「土の窯は、女性や子どもと同じなんです。
 毎日なでなでしてあげなくちゃダメなんです。
 おー、よしよし、なでなで~」

かなり変態ちっくであるが、すばらしい話である。
そんな彼が離婚しているのだから、これはやはりなでなでが足りなかったのであろう。

世の中のお父さん諸君、いますぐ妻と子どもをなでなでしなさい!!

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なでなでし終えると、なんとこんな美しい状態に!!!
ぱっくりと口を開けていたクレバスもしっかりと埋め込まれ、なめらかに仕上げられたのである。

「十分乾燥してきているし、これからはもうちょっと温度をあげて焚いてみてもいいと思いますよ。
 でも最初は優しく、そっと、ゆっくりとお願いしますね」

これまで乾燥をうながすために、ちょっとずつ薪を焚いてきた。
いよいよ本格的に焚くのだ。
しかし、急激に温度を上げず、じわじわと時間をかけて上げなくてはならぬという。

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秘密基地のオープニングイベントまであと10日ほどになったその日。
いよいよピザの試し焼きをすることに。
練習もしておかないと!
本番当日に失敗は許されないのだ。

アマゾンで注文したピザピール(ピザを窯から入れたり出したりするヤツね)が届き、サルシカ理事の田中さんからよく乾いた薪もいただいた。

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「よーし、ピザを焼こうではないか!!!」

そんな隊長のかけ声で集まったのは、副隊長のキヨちゃん、やまぴー、大工のT橋、もやし石黒、そしてピザの記事やトッピングを用意してくれたM子という面々。

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実はこの日は、サルシカ米の作業もあったので、隊長のワタクシがひと足先に秘密基地に戻り、窯に着火。
みんながやってくるまで1時間半。
じわじわと薪を増やし、火を大きくしつつ温度を上げていった。

そしてみんなが集まってからさらに温度をあげていく。
煤けて真っ黒な窯の天井が白くなってきたら、いい温度になった証拠だという。
これを「煤切れ」というのだそうだ。

隊長「お、ちょっと天井が白くなってきたぞ」
T橋「そろそろいけるんじゃないですか」
隊長「よーし、生地を用意~・・・・」

などと、気分がゴキゲンに盛り上がってきた瞬間・・・・!!

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「バン!!!!」

というすごい破裂音がして、一瞬にして火が消える。
窯から黒い煙がもうもうとあがっている。

「な、なんだ、なんだ、何があったんだ!!!」

最初はまったく状況がわからなかった。
恐る恐る窯の中を覗きこんでみると、伊豆石でつくった床部分の4分の1ほどがえぐれてなくなっている。
神奈川県へ仕事で行っているこやまさんに慌てて電話すると、水蒸気爆発を起こしたに違いない、という。

もともと伊豆石は熱に強く、またゆっくりと温度をあげたので、普通なら爆発をしないはずだという。
が、このあともひとつの石だけが立て続けに爆発したことから考えて、どうやらその石が水の中にあったなどの理由で大量の水を中に含んでいたのではないか、ということになった。

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連続爆発を体験し、ボーゼンジシツとしているキヨちゃん、もやし石黒、やまぴーの3人。

来週、秘密基地のオープンなのだ。
ピザを焼くのだ。
それが秘密基地イベントの大きなイベントのひとつなのだ。

こんなことで負けてどーするのだ。

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もう伊豆石の炉台は5回ほど爆発していた。
そしてそれからは新たに薪を入れても沈黙を守っていた。

「よし、とりあえず焼いてみよう。まだ床は半分以上残ってるんやから!」

サルシカ副隊長のキヨちゃんは立ち上がった。
勇気を振り絞って、窯の前に立った。
そしてピザ生地を載せたピザピールを窯の奥へと入れた。

そっとピザを炉台に下ろす。
何事もない。
すぐさまピザの表面がプクプクしてくる。
いい匂いがしてくる。

「よし!」誰もがそう思った瞬間であった。
また「バン!!」と炉台が水蒸気爆発した。
煙がもうもうと吐き出される。

「おい、ピザは! ピザは大丈夫か!!」

煙が止まって中を覗きこむと、ピザの姿がない。
どこかへ飛んでいったのか。
あたりを見るがない。

そして、キヨちゃんが「ああああああああああ!」とカラスのような悲鳴をあげた。
なんと、ピザは爆発によって天井に張り付いていたのである。
もはやこれはナンである(笑)。
誰かがいったそれにみんなひとしきり笑ってから、その場にへたり込んだ。

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どんよりとへたり込むサルシカ隊の図(笑)。

この日、サルシカのピザ窯は都合8回も爆発した。
2枚敷かれた伊豆石の1枚は完全に破壊され、戦場の瓦礫あとみたいになっていた。

こうなったら完全に爆発させてやろうじゃないかとそのあとも決死の薪投入を続けた。
もうヤケクソである。

果たしてその後、1時間以上高温で炊き続けたが、爆発はしなくなった。
窯全体が熱くなり、表面の小さなひび割れから湯気が出ていた。
もうこれ以上はない、ベストの状態である。

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半分残った炉台にピザを載せた。
すぐさま窯から離れて避難する。
恐る恐る中を覗き込む。
おお、いい感じだ!!

いつ爆発するかわからず怖いので、すばやくピザを取り出す。
まさにスリルとサスペンスのピザ焼きなのだ(笑)。

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恐怖に打ち勝ち、焼きあがったピザ~!!!
ソースはM子オリジナル!
チーズは鈴木牧場のモッツァレラ!!

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「う、う、う、うまい!!!!!!」

いろいろとトラブルはあったが、ピザの焼け上がりは最高であった。
生地はクリスピーでチーズはトロトロでアチアチだ。

このあと、みんなで10枚ほどのピザを焼き、アチアチ、うまうまと言いつつすべて食べた。

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それから数日後。
まだ神奈川にいる左官屋こやまさんに電話で教わりつつ、窯の炉台の補修。
荒壁土30%、珪砂70%の配合で粘土をつくり、爆発して出来た穴を埋めた。
イベントまであと数日。
時間がなかったので照明をたいて夜中に作業した。
しかも隊長ひとり。
寒いわ、怖いわ、半べそになりつつの作業であった。

果たしてピザ窯は役目を果たすことができるのか????