写真/フォトグラファー加納(加納準) テキスト/サルシカ隊長(奥田裕久)
サルシカの3つ目の事業「美里プロジェクト」の一環として今年からはじまった「サルシカ米をつくろう!」。
美里のあちこちに目立ちはじめた休耕地を活用し、自分たちが食べる米をつくる。
米作りがいかに大変か、重要かを知る。
そして今後、たくさんの人といっしょに米作りプロジェクトを形にしていき、美里の地域活性化、ついては日本の農業の未来を考えていく・・・。
そんな壮大なビジョンを掲げた大ロマンプロジェクト!
しかし、4月にはじめてからこれまでの作業は、田起こしや水路の確保、電柵の設置など、サルシカ隊にとっては非常に地味なことの繰り返しであった(笑)。
秘密基地をつくろうとも、田んぼをつくろうとも、ワレワレの根本は、情報発信である。
みなさんの興味あるコンテンツをつくるのが基本である。
なのに、こんな地味な農作業をサルシカに掲載していて大丈夫なのか。
盛り上がるのか。
かなり心配だったのである。
が、それは杞憂であった。
意外や意外!
田んぼをこれまで作っている人にはごくごく当たり前のことであろうが、かなりの人たちに興味深く読んでいただいているようなのだ。
というわけで、地味に続けていくのである(笑)。
サルシカ田んぼの田植えはゴールデンウィークの最終日に行われた。
集合時間は午前10時。
が、米作りリーダーのキヨちゃんと隊長のワタクシは、8時半から活動していた。
まずは農協にいって苗の引き取り。
今回の苗は、美里で作っているところが多い「キヌヒカリ」という品種を選んだ。
コシヒカリが定番かも知れぬが、キヌヒカリの方が作りやすいそうだ。
初心者グループとしては、安牌を選ぶ。
購入した苗は、パレット24枚分。
これがどれだけの米を生み出すのかまったく想像ができない。
唯一の経験者であるキヨちゃんの計算に従う。
苗、肥料を購入し、田んぼに運んでそれぞれ一旦帰宅。
キヨちゃんは田植機の搬送。
ワタクシは、きょうの参加者を案内しなくてはならない。
午前10時。
集合場所であるサルシカ秘密基地に参加者が集まってくる。
コーヒーを飲むもの、着替えるもの、のんびりした朝のひとときである。
本日の参加者をご紹介しよう。
ツリーハウスに乗っているのは、三重テレビの3人。
ふたりのディレクターとアナウンサーである。
「今度のサルシカ田んぼの田植え、行きますからね!」
「とってもワクドキ!」という情報生番組に出演するため、三重テレビにいくと、上記の3人のうちのひとり、Dマツザキにそう声をかけられた。
「ナカクキといっしょにいきますから!!」
ナカクキとは、若手のアナウンサーである。
ディレクターとアナウンサーがいっしょに来るのだから、すっかり取材だと思って快諾し、Facebookで案内もしたのに、当日、三重テレビのグループはテレビカメラどころかデジカメすら持っていないのだ。
なんと彼らは純粋に田植えを手伝いに来てくれたのである(笑)。
ま、しかし、ありがたいことだ。
他にも、大工のT橋、フォトグラファーと私の同級生でもあるガラヒ、そして田んぼ企画にずっと参加してくれている太田隊員と今井隊員も参加してくれた。
総勢10名というゼータクな田植えである!
軽トラにみんな乗って田んぼにGO!
ウソです(笑)。
こんな状態で国道を走ったらケーサツに捕まります。
田んぼ近くの駐車場で、絵面的に面白いからみんなで乗ってみようと、加納さんの演出です(笑)。
ひとりの体重60キロとしても10人で600キロ!
完全に積載量オーバーです!
サルシカ田んぼに到着!!
標高300メートルの場所にあるため、下にも緑の山々が広がり、そして上には経ヶ峰がそびえるという絶景。
はじめての人は感嘆の声をあげていた。
こんな素敵な場所で、キレイな山水を使ってつくる米が、マズイはずがないのだ!!!
隊長のワタクシによる簡単なあいさつのあと、唯一兼業で田んぼをつくっているキヨちゃんによる田植えの説明。
お試しである今年は基本機械で田植えをする。
無理をしない。
イヤになっちゃうと困るから(笑)。
機械はキヨちゃん所有のもの。
これらを有償でレンタルしていたら、とてもじゃないけれど米づくりなどできない。
そもそも今回だって電柵を購入した段階ですでに赤字なのだ。
パレットから苗の塊を外して田植え機に載せる。
そして肥料をボックスに投入する。
なんと、この機械は、田植えをしながら肥料もまいてくれるというスグレモノなのだ。
農作業経験まったくゼロの他の9人は、
「ほほーう」
「なるほどなるほど~」
「おおおおお、こんな仕掛けになっているのかあ」
と、やたらに関心して手が動かない(笑)。
キヨちゃんの運転で田植え機がいよいよ田んぼに!!
ガキゴキといろいろ機械を調整して、おもむろに田植えがはじまる。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
一同どよめき、そして拍手(笑)。
田植え機は規則正しく、文句も言わず、シャコシャコと苗を植えていく。
なんとすばらしいマシーンであろうか。
畦の手前で田植えマシン部分をあげてターン。
すると当然、大きなワダチができる。
それをトンボと呼ばれる土をならす道具でスリスリと直していく。
これが結構な重労働。
機械が入らなかった部分には、隊員たちが人間田植えマシーンとなって苗を植える。
しかしこちらは機械と違って「ああ、足が抜けない」だの「ああ、腰が痛い」だのうるさい(笑)。
あれ?
隊長は何をしているのだ、と思ってくれた方がいたら、どうもありがとう。
その頃、ワタクシはみんなから離れて畦の草刈り。
電柵に草が当たると、そこから漏電して、いざというときに役立たないのだ。
こうして目立たぬ仕事を、みんなの陰でやるのが、真のリーダーである。
サルシカ隊の隊長である。
が、ひとりであまりに孤独だったので、大工のT橋にも手伝わせる(笑)。
ひとしきりキヨちゃんが田植え機を終えたところで、田植機試乗会!!(笑)
まずは女性の今井さんが挑戦!!
あの~、めちゃくちゃ似あってますけど(笑)。
まったく違和感ないですけど。
今井さんは田植えプロジェクトのリーダー候補生なのだ(笑)。
引き続き、アナウンサーのナカクキが挑戦。
「ああああああ、まっすぐいかない~!! あああああああ、ダメダメ~!!!」
カメラも回っていないのにやたらうるさい。
しかも背後の苗はうにょうにょとヘビが這ったようになっている。
田植えはその人の性格を表すのだ。
男たるもの、まっすぐに生きたいものである。
こうしてサルシカ田んぼの田植えははじまった。
まだまだこのあとも大騒ぎ!
後半へとつづくのだ。