「たまりと草刈り作戦第1弾!」第205回サルシカ隊がいく

投稿日: 2013年05月23日(木)17:57

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写真/フォトグラファー加納(加納準)  文/サルシカ隊長(奥田裕久)

さて、サルシカ田んぼである。
今年4月からいろいろと準備を進め、ゴールデンウィークについに田植えを完了させた。

よしよし、これで一段落、と思っていたら大きな間違いだったのだ。
田植えをしてから世話が、思っていた以上に大変だったのである。

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山からの湧き水が流れる水路から、水を引き入れているのであるが、この水路の水の量がまったく安定しない。
上の田んぼが水を入れれば、見る見る間に水は細って、あげくの果てにはすっかり干上がってしまう。
逆に上の田んぼが水を入れなくなると、もう激流状態となる。

いくらワタクシたちの田んぼの水戸(みと、取水口のこと)を調整しても、そもそもの流れが変わるのだから、引き込む水量も大幅に変わってしまう。
だから、朝夕の見回りが欠かせないのだ。

早朝と、日暮れ。
中学校から帰ってくる娘を隣の集落まで送り迎えする・・・そこからワタクシの暮らす集落までは自転車通学禁止なのだ・・・そのついでに、田んぼを見てまわった。

ちなみに、津市美里町のこの界隈では、この田んぼのみまわりのことを「たまり」という。
たぶん「田んぼの見回り」が略されたものであろう。

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というわけで、田植えを終えて2週間ほど。
用事で行けないときを覗いて、ワタクシはほぼ毎日「たまり」を続けた。
水が少なくなっていれば水戸を開き、逆に多ければ少し閉じる。
また水路にたまった砂をしょっちゅう掻き出さなければならなかった。

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5月も下旬に入り、どんどん気温が上がってきた。
なんとこんな山すその地域でも気温が30度に到達する勢いである。

で、その気温の上昇と共にいきおいを増してきたのが、草である。

この草の野郎が、電柵に触れると、漏電していざシカさんたちがやってきても機能をしない。
だからこまめに草をからねばならぬのだ。
まったくもって面倒なことなのである。

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で、この日、力強い助っ人が来てくれた。
銭湯企画のケロリンである。

彼は仕事で広大な敷地の草刈りをしてきた男である。
もう彼にまかせちゃえば、ペンペン草も残らぬマルゲリータ状態にしてくれるはずなのだ。

最初はケロリンとワタクシのふたりで勝負しようと思っていた。
が、もうひとり助っ人がきてくれたのだ。

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ニッシーさん。
ひだのんさんのラン友である。
夜勤あけにもかかわらず、そのまま駆けつけてくれたのだ。
しかも草刈機を持って!!

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3人でやると早い早い!!
しかし隊長のワタクシは、前日に自宅の敷地の草刈り、その前の日に薪割りをしていて、もう最初から全身筋肉痛状態。
5分もしないうちに筋肉に乳酸がたまってくる(笑)。
うう、とか、ああ、とか声をあげて休んでばかりの役立たずであった。

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田んぼリーダーのキヨちゃんも仕事の合間に駆けつけてくれた。
実はもうひとつ、大切な作業があるのだ。
それは、ひだのんさんが担当してくれることになった。

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そのもうひとつの作業とは、水戸の手前に波板状になった畦ガードで柵をつくることだ。
水路から入ってくる水は、山の湧き水でひええええと悲鳴を上げるほど冷たい。
それが直接稲に当たるとよくないということで、入ってきた水を迂回させ、その間に太陽光で温めようという作戦なのだ。

美里町の田んぼではよく見られるものである。
これまで何をしてるんだろう、と思っていたが、そういうことだったのだ。

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ひだのんさんがキヨちゃんと共に水戸周辺の作業をしている間も、草刈り隊の3名がバリバリ、ギュインギュイン(笑)。
この日も気温30度近く。
汗がダラダラと流れる。暑すぎて意識が遠のく。

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続いて、ひだのんさんは補植作業に。
補植とは、田植えを機械でやるとどうしても隙間ができてしまったところに、手作業で苗を植えることである。
ひだのんさんは裸足で田んぼに入る。

「ひぇえあああああああおう!」

思いのほか冷たい水に、妙な悲鳴をあげる。

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みなさんは、田んぼの隅っこに苗が四角く密集したものが放置されているのをみたことがないであろうか。
ワタクシは前から、あれは何をしているのだろうなあ。
残った苗を捨てるのも勿体ないし、かといって植えるところもないから、とりあえずここに置いておこう、という、とりあえずの苗だと思っていた。

が、これは違うのだ。
補植用にある程度こうして置いておくのだ。
根が水に使っていれば、当分枯れることはない。

「あ、ここにもない! あ、ここもないなあ・・・・」

ひだのんさんは、穴あきを細かくチェックし、苗を補植していく。
几帳面な性格が要求されるのだ。

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そして作業開始から1時間半。
すべての作業が終了した。

草刈りチームは汗だく状態。
アヒアヒ、ビールちょうだいの状態。
が、真昼間から飲むわけにもいかぬ。

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こうして草刈りの第1弾を終えた。
9月の稲刈りまでの間に、いったい何度草刈りをしなくてはならぬのか。
考えただけでぞっとするのだ。

米づくりは大変だ。
でも面白い。

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「オツカレサーン、気をつけて帰れよ、ゲロゲロ」

サルシカ隊の面々はカエルに見送られ、秘密基地へと戻っていくのであった。