写真/フォトグラファー加納 文/サルシカ隊長
祭りの喧騒がアスファルトを伝ってじわじわと響いてきた。
ぶわーんと耳鳴りしている感じ。
埃っぽい匂いとわずかな熱気。
津まつりがはじまったのだ。
サルシカがブースを構える津市まん中広場には、三重大生が運営するバー、キッチンカーによる飲食店、生ビールの販売、NPOの展示と販売、そして音楽ライブの空間があった。
いつのまにかざわざわと人が入り込んできている。
「ほう、結構な人でなんだなあ、お、さっそくサルティを見に来た人がいるぞぉ」
と他人ごとのように眺めていたら、すずきっくすの「いらっしゃいませ」という言葉で我に返った。
そうであった、ワレワレ、うん、ワタクシも販売している一員なのであった。
客観的に感心してる場合じゃないのだ。
吊るしてあるサンプルをみる人、テーブルに並べられた商品をみる人。
お客さんは順調にふくらんでくる。
「ありがとうございました〜」
バカエミや太田さんの慣れない声が聞こえてくる。
どうやら売れているようだ。
今年の津まつりが開催されたのは、10月12日(土)と13日(日)。
2日間行われるのであるが、メインは2日目で、毎年1日目は2日目の1/3程度の人出しかないらしい。
確かに2日間を終えてから考えると、初日の午前中の人出はそんなに多くなかった。
が、サルシカブースには、知り合いがぞくぞくと(笑)。
しかもちゃんとTシャツを買っていただく。
まことにもってありがたいのだ。
感謝なのだ。
お昼ちょうど。
朝10時から休みなく続いていた音楽ライブが30分の小休止。
で、サルシカ隊長のワタクシとサルティ担当のすずきっくすが、ステージにあがってサルティの告知タイム!!
各サルティの特徴を述べ、限定50枚、今だけ、なんて言っていたら、まるで通販ステージみたいになってしまった(笑)。
しかも30分は長い!!
後半はTシャツの宣伝じゃなく、ただの笑えないコントみたいになってしまった。
まあ、いつものことだ。
が、今回忘れてはならないのは、その場所にかつてのワタクシの部下であり、シャチョー、副シャチョーという同士であるオリがいたことである。
ワタクシが東京でオリといっしょだった頃、少なくともワタクシは経営者で、カメラや人前で大声で話し、ヘラヘラと笑ってるなんてことは断じてなかったのである。
ワタクシはクールで厳しいシャチョーだったのだ。
ステージから降りてきたとき、オリの口元がわずかに笑っていた。
それを無視して彼の横に立つと、
「人間、変わるもんですね」とオリがポツリといった。
「先日、伊勢に着いた日にテレビに出てる奥田さんを見てひっくり返りましたけど、本当に変わっちゃったんですね」
なんとヤツはワタクシが出演しているテレビ番組をしっかりとチェックしていたのだ。
いじられ、よがり、変態的に楽しんでいるワタクシの姿を見られたのだ。
が、オリはワタクシの変化を悲しむ風ではなかった。
明らかに彼は笑いをこらえていた。
ワタクシはゴホンとわざとらしく咳をし、「いらっしゃいませ〜」とお客さんに呼びかけるのであった。
お昼すぎ。
三重を代表する重鎮がブースへとやってきた。
三重県商工会議所連合会および津市商工会議所の会頭の竹林さんである。
この人は講演や演説であることを必ず話し、大学生などの若者にも妙に人気のある人なのである。
その話とは・・・
『エンピツ型人間になれ!』
ひとつ、エンピツのようにまわりに木(気)を使う人間であれ、
ひとつ、エンピツのように一本芯の通った人間であれ、
ひとつ、エンピツのように身を削って世の中に尽くす人間であれ、
である。
実は今回、その竹林さんの似顔絵と『エンピツ型人間になれ!』のセリフをTシャツにさせてもらったのだ。
最初は恐る恐るお願いにあがったところ、「おう、ええぞ!」の一言でOKをもらったのだ。
竹林さんは売れ行きを気にしつつ、自分の似顔絵Tシャツを購入してくれた。
ありがたやありがたや。
津市の重鎮につづいてやってきたのは、津市のゆるキャラたち(笑)。
まあ次から次へとやってきてくれる。
こんなに応援していただいて、うれしい限りである。
なのに、今回ワレワレは津のゆるキャラを一切Tシャツにしなかった。
申し訳ない限りである。
来年はがんばるね。
午後3時ぐらいであろうか。
中学生の娘とその友だちがブースに遊びにやってきた。
すぐさまワタクシは子どもたちを働かせる(笑)。
だいたいオッサンが呼び込みしたって効果なんぞないのだ。
逆に怯えて客が逃げていくのだ。
それに引き換え、若い娘たちの声は、どんどん人を集める。
すさまじい吸引力である(笑)。
本当はえんえんと働かせたがったが、ワタクシだって娘の前ではやさしいパパでいたい(笑)。
で、泣く泣く30分で解放してやった。
呼びこみをしたり、接客をしたり、ドタバタしている間に陽がくれてきた。
6時半に集合し、すでに10時間以上が経過している。
足の裏、ふくらはぎ、腰がビリビリと痛む。
声を出しすぎて喉も痛い。
日焼けして顔も痛い。
もう全身痛いところだらけ。
が、津まつりは9時まで続くのだ。
7時過ぎ。
前葉津市長がやってきた。
まず音楽ステージに立って観客のみなさんにあいさつしていたが、そこでいきなりサルシカブース周辺に吊るされたTシャツを指さし、
「この晴れの津まつりの日に誰ですか洗濯物を干してるのは」
と、見事にワレワレを笑いものに。
津まつりの1週間ほど前、ワレワレはサルティの告知を兼ねて市長を表敬訪問し、サルティを無理やり着せたのを根に持っているのだ。
仕返しにきたのである(笑)。
その後、9時過ぎまで営業は続いた。
客が引き始めると、荷物の撤収。
津まつりの真ん中のスポットのため、荷物を放置しておくわけにはいかない。
なのですべて撤収するのだ。
そしてもちろん明日の朝、きょうと同じようにまた準備をするのだ。
考えただけでヘトヘトになるスケジュールなのでる。
疲れ果てた足を引きずり、すべての荷物を運び終える。
終わったのは午後10時すぎ。
みんなで終わりのあいさつをして解散・・・・。
考えてみれば誰も夕食を食べていない。
疲れはててはいるが、空腹。
睡魔が襲ってきてはいるが、ビールが呑みたい。
で、ワレワレは深夜営業のラーメン店にそのまま突入。
深夜なのに。
平均年齢40歳を軽く超えているのに。
ニンニクたっぷりのとんこつしょうゆラーメンをがっつりと。
良い子のみんなは真似をしないようにね。
疲れているときは、消化にいいものを食べないとますます疲れます。
おじさんたちはバカなのでこんなの食べてビール飲んでます(笑)。
てなワケで、それぞれの家に送って、秘密基地に辿り着いたのは午前0時を少し回ったころ・・・・。
5時間半後、明日の戦いがはじまるのである。
ああ。
次回で終わります。
もうちょっとお付き合いをば(笑)。