「この年になるとな、伝えていかなあかんと思うようになるんや。」
この言葉は、私が尊敬してやまない元・棟梁の言葉。
元・棟梁、現在は私の古巣である「ゆめ工房」の工房長さんです。
トップの写真が元・棟梁。
あっ、ピンクの服の方じゃありませんので念のため。
元・棟梁、照れ屋なので、この写真が限界です。
私がゆめ工房でお世話になっていたころ、元・棟梁と何人かのおじちゃんたちが、
茶粥がうまかった、うまかったと口々に言っていたことがあります。
私が育った明石でお粥というと、病気の時に食べるくらいのイメージしかないので、
え~って反応をしていると、おじちゃんたちが口々に、
「あんたは、ほんまにうまい粥を食ったことがないからそんなこと言うんや。」
と、非難ごうごう。
「なら、おいしいお粥を食べさせてください!!」と言うと、
「それができへんのや。」
???
なんでも、今の60代、70代のおじちゃんたちが、子どもの頃食べていたそうで、
作っていたのは、そのもう一つ上の世代ということらしい。
そんな、話をしていたのが、かれこれ2年前。
そして昨日、これを持ってきてくださいました。
ゆめ工房から発売されているレシピ付の茶がゆセット。
(多気町丹生のまめや、ふれあいの館、多気町波多瀬の元丈の館で購入できます。100円です。)
いろんな人に聞き歩き、試行錯誤を繰り返していたある日、元・棟梁のお隣の92才のおばあちゃんの、
「昔は米を洗わんかった気がするんや」の一言が決め手となって、レシピが完成したそうです。
このレシピが完成するのに、1年かかったそうです。
これはもう、作るしかありません。
っていうか早く食べた~い。
私の知らない本当においしいお粥!!早速つくってみます。
まず、お米の量はこんな感じ。
120gですから1合もありません。
これに1800ccから2000ccのお水を入れて炊くのです。
普通の炊飯の10倍以上のお水!!
そしてこのお米、御田々米(みたたまい)という世にも珍しいお米です。
これはですね、元・棟梁が保管していた、昔の畳をばんっとゆず畑に置いて
肥やしにしたところ、畳の原料に使われていた稲からなんと芽が出て、すくすく成長。
それを種籾にして増やした幻のお米なのです。
御田々米の名前はですね、ゆめ工房で勝手につけたものです、はい。
なぜ、御田々米かは、考えてみてくださいね。
ヒントはみたた米です。
御田々米については絵本作家の高橋直子さんが描いてくれたミニ絵本に詳しく紹介されておりますよ~。
(こちらがそのミニ絵本。勢和図書館でもらえます)
いざっ。
火は強めということでこんな感じでやってみました。
中火くらいの感覚ですね。
まずはお茶を煮だして、茶袋を取り出します。
ここが一つ目のポイント。
煮出しすぎると苦くなります。
私は大体1分30秒くらいでとりだしました。
そして一番重要なポイントは火力を一定で時々かき混ぜること。
お米が少なかった時代、こうやって少しのお米のかさを増やして食べてたんだろうなとか、
かまどで炊いてたはずだから、火力はこんな感じの一定かなとか、
以前、茶花(米がはぜて花みたいになること)が咲いたらあかんって言ってたな等々
当時に思いを馳せながら、心を込めて作ります。
できあがり!!
茶花の開いていないサラサラのお粥です。
さっそく主人と二人で食しました。
おいしいっ。
さらっとしてて、お茶の風味もよくて、本当に何杯でも食べられる。
おじちゃんたちが言ってたのは本当だったんだ!!
うれしくて、うれしくて元・棟梁に報告に行きました。
喜んでくれましたよ~。
そしてこの言葉。
「わしは、たくさんの人においしいお粥を知ってもらいたいんや。
お粥ってみんな馬鹿にするけど、赤ちゃんからお年寄りまで食べられるすごい食べ物なんや。
それに、日本で食糧危機の時代がくるかもしれん。
そうなったときは、みんなで食べ物を分けていかなあかんのやから。」
やっぱりこの人はすごい!!
温故知新・・・
古きを温め、新しきを知る。
そんな言葉が心に染み入った一日。
「勢和の家つなぎ」は、地域の方と移住者で作る任意団体で、
多気町「空き家オーナー登録制度」の空き家対策推進団体の指定を受けています。
多気町は、空き家オーナーさんの困りごとを一緒に考え対策を支援する「空き家オーナー登録制度」を2013年4月よりスタートしています。
問合せ:多気町企画調整課0598-38-1124(青木)