「帰ってきた秘密基地建造計画」第236回サルシカ隊がいく

投稿日: 2014年02月23日(日)15:02

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とうの昔に終わった過去の出来事・・・。
みな、そう思っていた。

横殴りの雪の中、かじかむ指先に息を吹きかけつつ釘を打ち続けたウッドデッキ。
泥沼と化した現場で寒さに震えながら運んだ枕木の山。
泥と汗、雪と涙にまみれたあの突貫工事。

「シベリア抑留の強制労働だ・・・」

凍てついた泥に目を落としつつ、いく人もの隊員がそんな不謹慎なことを言った。
さほどに過酷であった。
熾烈を極めた。

その秘密基地工事が再び帰ってきたのだ。

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(写真:モンちゃんといっしょに測量する大工のT橋さん。笑)

昨年の4月、一応サルシカ秘密基地は完成し、盛大にオープニングパーティを開催した。
その後も月に1度のペースでイベントを開催してきた。

が、そんな中で想定外のことがいくつかあったのだ。

まずひとつは、若い女性の参加者が多かった。
これは本当に想定していなかった。
まあ自分たちでいうのも何だが、基本的にサルシカ隊はむさ苦しいおっさんたちが中心となって活動しているグループである。
若いお姉ちゃんたちにとっては対局にある存在である。
が、なぜかサルシカ秘密基地は若い女性たちがぞくぞくと来た。
信じられぬことに、思いのほかおっさんたちもモテたのだ(笑)。

もうひとつは、地元のおじいちゃんおばあちゃんたちの参加も多かったということである。
もともと地域外の人を招いて地元を知ってもらうことが秘密基地の目的であった。
が、地元の人こそが、人と語らい、笑う交流の場を求めていたのである。

そして、特に地域のひとたちとは、
月に一度、コーヒーとパン程度のモーニングセットをみんなで食べてコミュニケーションをはかる「ふれあい喫茶」みたいなものをやろうと盛り上がった。
時には、有志がボランティアでおつまみを用意してビアガーデンをやってもいいな、という話になった。

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しかしサルシカ秘密基地は女性や年配者にやさしい施設ではない。
まずトイレは工事現場などに置かれる仮設のもの。
しかもポットン式。
若い女性でなくとも抵抗がある。
そのうえ和式で年配者にも使いにくいものであった。

そしてイベントのあとは必ず宴会になるため、宿泊者が多く、
トレーラーハウスだけではとても収容できなかった。

そこで老朽化により廃車となったキャンピングカーのサルシカ号を、新たに宿泊用としてトレーラーハウスの横に置こうということになった。

女性や年配者にやさしいトイレを!!
そして新たな宿泊スペースを!!

そんなスローガンと共に、サルシカ秘密基地の完成から1年が過ぎようとしていた2014年の2月、また追加の工事をスタートさせることになったのである。

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(大工のT橋さんによるサルシカ秘密基地増築部分の設計図)

地域のひとたちのコミュニケーションスペースとしての進化。
そんな目的で企画書を書き、補助金の申請から事業はスタートした。

が、補助金は2時審査で不採択となり、一時は継続させるか否かで悩んだ。
サルシカの理事会でも真剣に話し合われた。

地域の思いがあっての事業である。
なんとか実現させたい。
が、水洗トイレを入れるためには浄化槽も必要となり、必要資金は結構な額であった。

そして、サルシカ隊長の私としては、
「補助金ありきで事業を進めるのはおかしい! われわれは補助金を獲得するためではなく、必要だと思うことをやろうとしてきたのだ!」
という強い思いがあった。
他にも利用できそうな補助金や助成金があったが、そのためには事業の内容を変更しなくてはならなかった。
補助金のために事業をつくり、助成金のために事業の軌道修正をする、そんな組織にサルシカをしたくなかった。

で、結局、理事個人、サルシカのわずかな自己資金で着工することになった。
金なんぞなくとも努力と工夫でなんとかなるのだ!
してやるのだ、この野郎!!

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やるとなったらワレワレの行動は早い。
前回と同じく秘密基地建造プロジェクトの棟梁についてくれた大工のT橋さんは、果てしなく安く材料を調達してきてくれた。

本格工事のスタートする10日前。
杉の丸太が10本ほど、どがががががががと届けられた。

これは柱になる予定の木。
前回利用した電柱の廃材がもうなくなってしまったので、倒したままの木を運んできた。
その重量、大きさはすごいが、値段はすこぶる安い。
林業家のみなさんと山に謝りたくなる値段だ。

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杉の皮はぎから作業ははじまる。
皮をつけたままだとその間に虫が入りやすいのだ。

作業は、みつやのおとうちゃん、銭湯企画のケロリン、そしてすずきっっくすが手伝ってくれることに。

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秘密基地のある集落に灯油の配達にやってきたエネオス稲ちゃんも、あっさりワレワレに見つかり、そのまま作業を手伝わされることに(笑)。
秘密基地周辺では、おちおち配達もしていられないのだ。
見つかったら最後、間違いなく労力として取り込まれる(笑)。

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杉の皮むきは、ツリーハウスをつくったとき以来だ。
道具がないのでナタやカマで剥いていくのだが、これが疲れる。
腕だけじゃなく、肩や腰、そして足まで疲れる。

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5人で半日かかって10本の丸太をマルハダカにする。
隊長のワタクシは、この1日を確保するために前夜ほぼ完徹で原稿を書いていたたフラフラ。
が、しかし、このやり終えた気持ちよさはなんだ。

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そのままみんなでホームセンターに今後の材料の買い出し。
必要なものはすべて大工のT橋さんがメモにしてくれてあった。
この日、T橋さんは建前でどうしても抜けられなかったのだ。

荷物を秘密基地に搬入後、みんなで榊原温泉へいって汗を流す。
疲れ果て、そして冷えきった全身が、温泉の中でピリピリする。
うひー、とか、あひー、とか、みんなそれぞれ声をあげる。

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さあ、今晩は貰い物の野菜をたっぷりと入れた鍋で宴会だあ!!
餅つき大会のときにもらったビールもいっぱいある!!

「よーし、かんぱーい!!!!」

こうしてサルシカ秘密基地建造プロジェクトは帰ってきた。
秘密基地はさらにパワーアップするのだ。

次回は「帰ってきた御柱祭(笑)」の巻