薪ストーブは、心が温まる暖房器具である。
ガラスの向こう側でゆらめく炎は、静かに、しかし力強く私たちの体を温め、そしてほんわりと心まで癒してくれる。 体の芯から温まるのは遠赤外線のせいであろう。 でも、私にはこう思える。 詩的というかずいぶん大げさな表現かもしれないが、まあそんな感じがするのだ(笑)。 |
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薪ストーブはキッチンにもなる。
厚手の鍋に食材を放り込んでくつくつ煮込めば、おいしい料理ができあがる。 |
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また薪ストーブは芸術にもなる。
炎を鑑賞しつつ、お酒を傾ける夜は、本当にすばらしい。 このひと時のために、1日をがんばっているとすら思える(笑)。 |
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薪ストーブは節約暖房か?
これは使い方による。 |
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これが1束の薪です | |
まあこれは極端な例かも知れないが、いずれにしても薪を買っている限り、間違いなく灯油より高い燃料になってしまう。 では、どうすればよいのか。 自分で調達すればいいのである。 |
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間伐材や廃材など、薪を自分で調達すれば、基本的に燃料代は無料である。 しかし、木を切るにはチェンソーが必要だし、使いこなすのは大変。 木を運ぶにはトラックなども必要になってくる。 薪割りは重労働で腰が痛くなる。 |
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写真上から・・・ いつもお世話になっているTさんに、また薪をいただくことに。 栗林の栗。 半分ほど切っていいという。 Tさんにも手伝ってもらって次々に栗の木を切っていく。 2回に分けて運んだが、その木の量およそ1トン。 薪は当然割らなくてなりません。 |
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しかも割った薪は水分が多いため、1年以上乾燥させる場所も必要になってくる。 お金はかからないが、労力と時間、そしてそれなりの敷地が必要不可欠なのである。 |
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1シーズンでこれだけの薪が必要! 薪を集めるのは大変だが、使うのはアッという間なのだ!お金といっしょである(笑)。 しかも、もうひとつ大きな問題がある。 それは薪ストーブ自体のお値段。 |
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薪ストーブはエコ?
薪ストーブと取り扱って十数年・・・ファイヤープレイス三重の加納さんを訪ね、薪ストーブとエコについていろいろ |
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・・・今年はずいぶん薪ストーブが売れているそうですね?
加納「いやあ、ありがたいことに例年の2倍に達するいきおいです」
・・・原油の高騰ですとか環境に対する意識の変化が影響してるのでしょうか。 加納「全国的に売れてるので、そういう影響もあるんでしょうね。ただ私たちはずっと同じ商品を同じ話をして売ってきたので・・・今の状況には正直驚いてます」さて、本題の薪ストーブとエコについて伺うことに。 ・・・薪ストーブは二酸化炭素の排出量がゼロという話がありますが。 加納「はい。薪となる木は、二酸化炭素を吸って成長してきたわけです。それを薪ストーブで燃やせば、当然二酸化炭素は排出するんですけど、これまでに吸った分を大気中に戻すだけという理屈で、プラスマイナス、ゼロという考え方なんです」 ・・・ちょっと屁理屈っぽく聞こえますが。 ・・・どういうことでしょう。 加 納「木材の輸入が自由化して以来、木材の値段はどんどん下がって、国内林業は壊滅状態です。木を大きく育て山を守るために間伐が必要なのですが、その費用 も出なくて放置されている山が目立っています。人工林は人が手を入れないと荒れます。小さな木がどんどん立ち枯れしていきます。がんばって間伐をしている ところもありますが、間伐された細い木は値段もつかないため、倒されたまま放置されることが多いのも現状です。立ち枯れや放置された間伐材はやがて腐って 自然に戻りますが、しかし腐る際に、メタンガスを発生させるんです」 ・・・メタンは二酸化炭素の21倍も温室効果のある温暖化ガスですよね? 加納「そのとおりです。だから腐らせるのであれば、薪にして有効に使うべきなんです。そうすれば薪ストーブはとてもエコな暖房器具になるんですよ」 |
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私たちは、津市近くの山に入ってみた。 間伐がされ手入れがされた山、そして荒れたままの山、違いは一目瞭然である。 手入れがされていないのは林業関係者の責任ではない。 そして木材の輸入自由化で林業を壊滅的な状況に追いやったのも国である。 林業では食べられず、若い者は山から町へ仕事を求めて出ていった。 いま山に残るのは、先祖の山を守ろうとがんばる高齢者たち。 しかし間伐をしても金にならないため、人を雇うことすらできず、結局そのままになっているのが現状なのだ。 ←手入れがされず倒木だらけの山。 |
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間伐されていない山。光が入らず、倒木が目立つ。土砂崩れのあともあり | |
きちんと間伐された山。下草も生えている。しかし作業はボランティアだ | |
薪ストーブは節約暖房ではない。 すごく環境にやさしいともいえない。 でも、使い方や、使っている人のちょっとした努力で、エコな暖房になることは間違いない。 そして何よりも、めちゃくちゃ楽しい暖房であることは、薪ストーブユーザーのほとんどが、笑顔で保障してくれるはずである。 「大変だけど、楽しい」・・・って(笑)。
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第6回「薪ストーブ特集」
投稿日: 2008年12月10日(水)14:59