「いざ水洗トイレをつくるのだ!①」第249回サルシカ隊がいく

投稿日: 2014年04月15日(火)12:09

s249-01写真/フォトグラファー中谷のお父ちゃん  テキスト/サルシカ隊長

「快適にうんこをしたい!」

これは万国共通、老若男女の願いである。
現在のサルシカ秘密基地のトイレは、どうヒイキ目にみても残念ながら快適とはいえない。

まず仮設トイレである。
工事現場に置かれているプラスチックのボディのやつである。
しかも水洗ではない。
個室中央に虚無ともいえる空洞がぽっかりと口をあけている。
そしてほのかに臭い。
換気扇みたいなのを回しているので室内の匂いはそんなにひどくないが、
風向きによっては周囲こそが臭い(笑)。

若い女性が遊びにくる秘密基地。
おじいちゃんおばあちゃんもやってくる秘密基地なのだ。

水洗で清潔。
洋式で身体にやさしい。

そんなトイレをわれわれは自分たちでつくろう!!
われわれサルシカ隊は、快適なうんこをするために立ち上がったのである!

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業者さんによる浄化槽工事、前田さんを中心とした排水口工事はほぼ完了していた。
そして!
四日市の解体現場から程度のよい便器を獲得するという作戦も成功裏に終わっていた。

いよいよトイレ本体の工事だ。
4月12日(土)、そして19日(土)20日(日)がトイレを中心とした秘密基地の水回りの工事の予定日であった。

12日のこの日は、基礎をつくったりの事前準備である。

朝7時半。
隊長のワタクシはサルシカ秘密基地の焚き火スペースに火をつけた。
その向こうで軽トラのピックアップキャビンが朝日に照らされる。
きょう、みんなにお披露目しようと、昨夜、大工のT橋さんの工房から運んできたのだ。

s249-03写真:右から太田隊員、トイレの前田隊員、大工のT橋、そしてサルシカ隊長

午前8時半。
じわじわと隊員が集まってくる。
秘密基地に来ると、まずみんなコーヒーを入れて飲む。
寒いときは焚き火にあたる。
そしてえんえんと無駄話をする。
ようするになかなか作業に入らないのだ。

が、今回はそこに軽トラのピックアップキャビンがある。
まずもちろんみんなそれに乗る(笑)。
あーだこーだと盛り上がる。
ま、いつもと同じなのは、結局なかなか作業に入らないという点だけだ(笑)。

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みんなで写真を撮りまくる。
なぜかつくった本人の大工のT橋も、

「いやー、なかなかいいですね〜、誰だろ、こんな素敵なキャビンをつくったのは〜、ああああ、いいなあ〜」

と、シャッターを切りまくるのだ。

もうみなさんはすっかり忘れてしまったであろうが、大工のT橋は寡黙な男であったのだ。
しずかに金槌をふるい、カンナを引き、ときに夕焼けにむかってハモニカを吹いたりしていたのである。
それが今やすっかりケーハクな大工になってしまったのだ(笑)。

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写真を撮ったら、トーゼン中で寝転ぶ。

「もうきょうは作業をやめて、このままここでみんなで昼寝しましょうよ」

大工のT橋は棟梁らしからぬ話をし、そしてまたへへへへと笑う。

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そして。
さすがに作業をはじめようぜ、とみんなで立ち上がった瞬間、大工のT橋が忘れ物に気づき、工房に取りに戻る。
出鼻をくじかれ、手持ち無沙汰になったわれわれは、サルシカ号(キャンピングカー)のオーニングを取り外す。
サルシカ号はもう屋根の下に定住したので、オーニングは必要ない。
で、パーツを欲している太田さんにプレゼントすることにしたのだ。

みんなで力を合わせてオーニング外し。
が、これは本来の作業ではない(笑)。

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なぜか大工のT橋はなかなか帰ってこず、代わりに伊勢の柳本さんが顔をだす。
近くの山に作業で入るらしい。
そのまえに作業中のわれわれを力づけにきてくれたらしいが、なにぶんわれわれはのんびりと遊んでいる(笑)。
こんなことで本当にトイレはできるのか。
快適なうんこはできるのであるか。
働かざるものうんこするべからず、なのである!!!!

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開始予定時刻をどれほど過ぎたころであろうか。
ようやく大工のT橋が戻り、そして津観音副住職の密伝さんがやってきて、なにやら突然に作業がはじまった。
まずはトイレをつくる場所の地ならし。
そこに束石を設置していく。

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T橋「隊長、ちょっとサルシカ号を前へ動かしてもらえますか?」
隊長「は?」
T橋「いや、だから、トイレの壁がつくれないんで、ちょっと前に出してほしいんです」
隊長「動かないよ。もうバッテリーも燃料もないもん。それにここに設置するときにジャッキアップして水平とってあるんだよ。もうイヤだよ、動かすの」
T橋「それは困りましたねぇ、じゃあ片側の壁はなくていいですか」
隊長「いいわけないだろ!」

てなわけで、定住させたサルシカ号を再び動かすことになった。
がっつり固定されたジャッキを外すのは大変である。
みんなでブチブチ文句を言いながら作業する(笑)。

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しかも一方にはウッドデッキがすでに設えられ、その下に潜らないとジャッキが外せなかった。

「ワタクシが参りましょう、潜りましょう」

副住職の密伝さんは手を合わせ、ウッドデッキの下へと入っていく。
下界には虫とヘビと閻魔さまがいるのだ。
気をつけねばならぬのだ。

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そして再び隊長のワタクシはサルシカ号の運転席に座った。
前回の工事で最後のドライブをしたはずだったが、またここでハンドルを握る日が来るとは!!!
が、今回の動力は人間である。

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「サルシカ号、発進〜!!! おらみんな押せ〜!!!」

ワタクシの号令で、人間エンジンが火を吹く。
怒りの汗を吹きながら(笑)。

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もうまもなくお昼の時間であった。
が、ここから驚きの快進撃で作業はすすんだ。

「なんだ? なんだなんだ? なぜきょうはみんなこんなにすごいんだ!!?」

中谷のお父ちゃんは作業の手をとめず叫ぶ。

「それはね・・・」

そこにいる全員が、みな同じことを思いながらも口にせず黙っていた。

「それはね、雨が降ってなくて快適な天気だからですよ。
 雨男の中谷さんがいるのに晴れてるから、作業がはかどってるんですよぉ」

それがみんなの気持ちであった。
さて、午後も快進撃の工事はつづく。

(後半へつづく)