第18回「金柑のマーマレード」

投稿日: 2014年05月10日(土)08:30

kinkan0写真・文/メグー

春です。
タケノコ、フキにカンゾウと、我が家の食卓も春づくしのメニューが続いてますが、今回はおかずではなく春のめぐみスイーツのお話です。

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ご覧ください、こちらのジャム。
そのままパンにつけたり、ヨーグルトに入れたり、お湯割りにしたりパウンドケーキに混ぜたり、お醤油と合わせてお肉を照り焼きに…と、夢が広がるこの一品。
さあ、この美味しい春のめぐみの正体は…?

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そう、金柑!
それはもうあちらこちらのお家にあるようです。
去年は散歩途中に「わー、金柑、いいですねー!」と日向ぼっこするおばあちゃんたちに声をかけまくり「…持ってくか?」の一言を引き出した私。
さあ今年も散歩をしてウヒヒ…と企んでいたところ、「金柑いっぱいもらったけど、半分どう?」とメールが届きました。
M子さんありがとう!

さて、この金柑。
見た目ツヤツヤで本当に美味しそうなのですが、生でいただくと渋みがあり舌がピリピリします。
子供の頃、道草ついでにかじったりしてましたが、まあ、生ではそんなに食べられるものではありません。
でもちょっとした苦行を乗り越えれば、上記の美味しいスイーツが待っています。
それでは早速、作ってみましょう!

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よく洗ってヘタを取りたっぷりの水で沸騰させ、皮が破けたらザルに上げて軽く水で洗います。
指で中身を押し出して、皮を千切りにします。

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はい、ここからです。
ここからが苦行。

種を取ります。
大きい種も小さい種もできるだけ丁寧に。
取っても取っても出てきます。
取れども取れども金柑の種はなくならず、じっと手を見たくなります。が、見ていてもなくならないので黙々と手を動かします。

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金柑30個の種を取るのに、ええ私は1時間半かかりましたとも!
これを苦行と呼ばずになんと呼ぼう。

しかしこれさえ終われば、勝ったも同然。
皮とみじん切りにした中身を、金柑の1/4の量の砂糖とひたひたの水で煮詰めたら完成です。

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部屋中に立ち込める金柑の爽やかな甘い香り。
ツヤツヤと輝く橙色。
喉元過ぎればなんとやらで、頭の中は金柑の香りでいっぱい。

そしてフフフ、これだけでは終わらない。
なんと今回はジャムをより美味しくいただく為に、パンを焼きました。

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プレーンのパンにたっぷりのジャムをつけて。
甘さの中に金柑特有のほろ苦さと金柑の香り。
そして金柑ジャムを練りこんだパンは、生地全体がしっとりと甘く、何もつけなくても十分に美味しい!何よりこの金柑の爽やかな香りこそがごちそうです。美味しい!!

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そして翌日は、金柑ピールに初挑戦。
ヘタを取って洗った金柑を半分に切ります。
そして再度、苦行のスタートです。

種を竹串で取ります。
ホジホジとひたすら取って行きます。
なんで金柑ってこんなに種が細かいんだろう?
なんでタモリはいいともをやめちゃったんだろう?
様々な疑問が頭をよぎりますが、雑念と種がなくなるまで、手を動かし続けます。
 

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取り終わったら金柑を輪切りに。
金柑の1/3の量の砂糖とひたひたの水で、柔らかくなるまで煮込みます。

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部屋中に立ち込める金柑の爽やかな甘い香り。
ツヤツヤと輝く橙色。
喉元過ぎればなんとやらで、頭の中は金柑の香りでいっぱい。
どこかで読んだ文ですが、気にしない!

そして最後の苦行です。
続けると気が狂うと噂される「刺身の上にタンポポを置く」作業のごとく、ひたすら延々と金柑をクッキングシートの上に並べていきます。

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「金柑が私で、私が金柑!?」と少し頭がおかしくなったところで、夫にバトンタッチ。
「俺が金柑でお前も金柑!?」と二人しておかしくなったところで、作業は一旦終了です。

疲れた!しかしながらこの美しさ!
ウットリです。

 
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オーブンの低温焼きでもできますが、外には眩しい4月の太陽。
車の中に入れて、お日様にお任せします。
 

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1日後。表面は乾いてますが、裏側はまだべとつきます。裏表をひっくり返す最後の苦行。
そして2日後。最低でも3日はかかるだろうと思ってましたが、2日で十分に乾きました。
車の中で乾かしたのが良かったようです。
 

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カラカラに乾いた金柑ピールは、人によっては砂糖をまぶしたり、湯煎したチョコレートでコーティングして仕上げるようですが、
今回はそのままで十分に甘く美味しくできたので、これで完成。
ほんのりと苦味が美味しい大人のおやつです。

さて最後に、私を苦しめた種について。
作業中、ヌルヌルと私を手こずらせた種ですが、作業が終わってみると、なんだか手がしっとり。
そういえば柚子の種で化粧水が作れると聞いたことが…と思い出しGoogle様に聞いてみると、金柑でもできることが判明!
あのヌルヌルには、なんと保湿成分に加え美白成分もあるとか。
作り方は簡単で、焼酎に漬け込んで一週間で出来上がり。

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冷蔵庫に入れて、1日の終わりにハンドクリーム代わりに使ってます。しっとり?。
ちなみに金柑ピールを煮る時に余った金柑シロップは、みかんの缶詰めとゼラチンでゼリーにしました。
 

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捨てるとこなし、丸ごと全部使える春のめぐみ「金柑」。
作業は少し大変ですが、一年に一度、頑張ってみてはいかがでしょうか。

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ごちそうさまでした!