写真・文/メグー
美里では、一年の終わりにお家でお餅を作るのが慣わしのようです。
家族総出で餅をつき、たくさんできたお餅はあちこちのおうちに振舞われます。
美里に移住して以来その恩恵にあずかり、うれしいことにお餅には不自由しない我が家。
さて、早いものでもう6月・・・というこの時期になぜお餅?と思われたかもしれません。
フフフ、美里では6月でもお餅が美味しく食べられるのですよ。
なぜなら、乾燥あられをいただいたから!
一年くらいは余裕で保存ができるようで、美里の直売所でもわんさか売ってるこの田舎あられ。
今回のめぐみごはんは「美味しい乾燥あられの食べ方」をご紹介します。
まずはあられについて。
今回あられをくれたM下さんによると、田舎あられはお餅を小さく切って乾燥させたもので、あらかじめ干しエビや青のり、ゆかり等を餅に混ぜていろんな味を作るそうです。
家に家によって味付けが異なり、それぞれにこだわりがあるとのこと。
お話を伺うだに、ぬか床やお味噌のように「これがウチの味!」という自負のようなものを感じます。
おばあちゃんから受け継がれていく家の味。うーん、かっちょいい!!
さて、いただいた細長い形のあられの元は、レンジで3分くらいチンしたら食べられるそう。
早速お皿に並べてチンします。
焦げないようにドキドキしながら見守ります。30秒ほどでムクムクと膨らんできます。
面白い!虫みたい!ムラをなくすため、軽く混ぜてさらに30秒×5回。
端の方がなかなか膨らまずに不安になりましたが、混ぜてチン!を繰り返しているうちに、ちゃんとみーんな膨らみました。
出来たて熱々のあられをかじると、海老の香りがフワー。緑のあられはアオサの香りがフワー。程よい塩味、サクサクの食感!
これはもう手が止まりません。
息子が鷲掴みしてものすごい勢いで食べ、あっという間になくなってしまいました。
そこで第2陣を欲張ってたくさん並べてチンしたところ、お皿からあられが溢れ出しました。
さらに均等に熱が加わらず、とにかく面倒くさいことに!
でも、もっといっぱい食べたい!
そこでもっと大量に作る場合の方法です。
こちらの方法は「美里町のぐりとぐら」と名高い姉妹の妹、ジグ木工所の平澤さんに教えてもらいました。
紙袋シャカシャカ製法!
用意したのはステラおばさんのクッキーの紙袋。ここにザラザラとあられを入れます。
そしてまさかのあられを入れられたステラおばさんの屈辱も一緒にレンジで30秒チンします。
取り出してみたところ、全然膨らんでない。もう1分チンすると…やったー!ちゃんと膨らんできた!
ムクムク膨らむところが見られないのがとても残念ですが、シャカシャカ振って30秒→シャカシャカを繰り返します。
できました!紙袋にいっぱいのあられです。
おー、しあわせ。早速お茶を淹れていただきます。
お茶があるとますます手が止まりません。日本人でよかった!
そしてさらに今回は特別に、例のアレを試しちゃいます。
それは、あられ茶漬け!
むかーし、実家の祖母が食べていたような。
鈴鹿が発祥のご当地グルメ?なんですね。
「和製シリアル」というキャッチコピーを見つけ、なにかエールを送りたい気持ちに。
作り方はいたって簡単。温かいお茶をドボドボとかけるだけです。
湯でもお茶でもOKとのことですが、今回はほうじ茶で作ってみました。
サクサクあられに、惜しげも無くドボドボかけますよ。
ジュワワワワ!と中華料理のおこげに餡をかけた時と同じ音!
食欲がムクムク湧いてきますが、同時に新雪に足跡をつけて歩くような罪悪感が襲ってきます。
ああ!せっかくサクサクなのに…!
サクサクあられを救い出す勢いで箸をすすめます。
するとお茶に浸って柔らかくなったあられは口の中で溶け、お湯に浸らなかったあられは、その対比でよりサクサクと感じられ「あー!こういうことね!薄々勘付いていたけどやっぱりねー。」となぜか上から目線で納得。
干しエビと青さ、やさしい塩味がお茶に溶け、あられがトロリとお餅本来の甘みとやわらかさを取り戻し…お腹がほっこりと満たされていく…。
ちなみに夫は「このエビ味、どん兵衛の後載せサクサクに似てるね。」と一刀両断。え?う、うん、そうかも…?と何か温度差を感じつつ完食。
それにしてもお茶をかけるだけで、おやつから一気に軽食に。
小腹がすいた時にかなりイイです。
そして思ってたよりずっと美味しかったです(←失礼)。
さあ、まだまだ終わりません!続いて乾燥あられを揚げてみたいと思います。
こちらの四角い乾燥あられ。油で揚げて食べると美味しいとか。
お鍋に油とあられを入れて、低温で揚げていきます。
シーンと静まりかえった台所に、次第にジクジクと油の音が。そしてあられもふくらみ始めました!火はあくまで弱中火、じっくりと。
ほんのり色付いたら油を切って、熱いうちにお塩をまぶします。
ここで味見をしたら、おーサクサク!全然油っぽくない!カラリと美味しく揚がりました。ワーイ!
そこで私の食いしん坊タマシイに火がついた。
そういえば「かりんとうあられ」なるものが、巷で流行っていると聞いたぞ。
ムクムクと湧き上がる欲望と、砂糖大さじ2、水大さじ2をフライパンに投入します。
砂糖水がグツグツと言い出したら、先ほどのあられ(塩を振っていないもの)をザラザラと入れて、菜箸でかき混ぜながら絡めていきます。
しっかりと絡まり、キャラメルの香ばしい匂いがし始めたら、クッキングシートの上にくっつかないように並べ、冷めたら完成です。
この即席で作ったかりんとうあられ。もう手が止まりません。
塩味あられ→かりんとう、しょっぱい→甘い→しょっぱい→甘いの無限ループ!しあわせすぎるー!
最後にお茶で落ち着いて、なんとも大満足なおやつタイム。
色んな食べ方、色んなお味。どれもとっても美味しくて、いやー、あられって侮れない!
最後に、美里で育ち美里をこよなく愛している友人に「あなたにとって田舎あられとは?」と質問してみたところ、「家に常にあるもの。やっぱりうちのが一番美味しい!」とステキなお返事をいただきました。
田舎の家庭に受け継がれたほっこりやさしい田舎あられ。
本当に市販のあられなど、目じゃないです。
みなさまもぜひ味わってみてはいかがでしょうか?
ごちそうさまでした!