第24回「粒マスタード」

投稿日: 2014年07月25日(金)08:42

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マスタード。
絶対必須の調味料かと問われれば、NOと答えるかたも少なくないと思います。
我が家も、なぜこんなものを手作りするようになったのやら。
夫の答えは「作れるってきいたから」。
作れるものは、作ってみよう!そうしよう!というわけで今回は、昨年から作り始めた我が家の大ヒット調味料「粒マスタード」をお送りします。

本来はマスタードシード(通販等で購入できる)で作るようですが、我が家では「からし菜の種」で作ります。
見た目は菜の花によく似ていて、川沿いの土手に黄色い花をワサーと咲かせていることが多いです。
からし菜自体もおひたしや炒め物にして食べると美味しいです。
菜の花との違いは、葉の付け根の部分で見分けるようですが、我が家はいつも葉や種を一口かじって見分けてます。
辛かったら、からし菜。簡単で確実な方法。

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土手に咲いているのを春の間に確認し、鞘がカラカラに乾燥し始めた5月下旬。
梅雨が来る前に、種を取りに出かけます。
持ち物はブルーシートとからし菜をカットするハサミ、ゴミ袋。
夫がカットしたからし菜を、どんどんとブルーシートの上に積み上げます。
それを私が足でフミフミ。
乾燥した鞘からはじけた種が、ブルーシートの上にどんどんと溜まっていきます。

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ある程度溜まったら、ブルーシートを揺らして種を底に沈めます。
種と鞘が上下に分かれて、底に種が溜まってきます。
上に溜まった鞘を取り除いて、大量の種が顔をのぞかせるうれしい瞬間。

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鞘を手で取り除いたら、ほら!

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「ほらほら、一緒にふみふみよー」と息子も一緒に楽しく過ごしていたのは、10分くらいのことかしら。
その後はぐずり泣き出す息子を抱っこしてあやしながらの作業です。
5月下旬とは言え、日よけのない川辺には太陽がいっぱい。
幼児虐待と通報されないかヒヤヒヤしつつ、作業を繰り返します。

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そんなこんなで採れた種。
家に帰って、ご飯を食べて、さあ、ここからが大変な作業です。
細かいごみを吹き飛ばしていきますよ(夫が)。

実は私、あまりの暑さに熱中症?なのかダウンしてしまいました。
「めぐみごはんに書くから後はよろしく〜」と言い放ち布団へダイブ。
ほとんどの作業を夫がこなしました。
さあ、夫のがんばりをご覧あれ。

ざるに入れて大きなゴミを取り除いた後、扇風機の前で、パラパラと種を落としていきます。
細かいごみや殻は風に吹き飛ばされて、種は下にそのまま落ちる。
これを数回繰り返し、細かいごみを取り除いていきます。

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まあ、これが大変そう。
ごみは飛ぶわ、種は散らばるわ。
かき集めては繰り返し、それでも混在する細かなゴミ!
おそろしい、この作業に巻き込まれてなるものか、と「気持ちが悪いよう、きっと熱中症だよう」と甘えた声をだして作業からは離脱を余儀なくされた風を装います。

ちなみに後々調べてみたら、下記のような方法が。
唐箕(とうみ)をダンボールで自作すれば楽に分別できそうです。
来年はこうしてみよう、そうしよう。

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ゴミが取れたら、洗濯ネットに入れて洗います。
ひろげて乾かしたら、なんてきれいな粒粒!

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ベランダに掃除機をかけてここで一旦作業は終了。
でもここまできたら、後は簡単な作業のみ。
夫、お疲れ様でした。

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さあ、数日種を干して、水分を蒸発させたらいよいよマスタード作りです。
ウフフと取り出したら夫に種を奪われました。
「美味しい(簡単な)ところだけ持っていこうとは!これは僕が完成させる!」。

手間のかかるマスタード作り。
もはやからし菜の種はわが子同然!と父性本能を刺激された夫が、これらを完成させることに。
瓶を煮沸消毒し、からし菜の種100グラムに対して大匙1のお塩を入れます(写真は種400グラム)。
ブンブンシェイクして、お酢をひたひたになるまで注ぎます(常にひたひたの状態を保つように日々継ぎ足します)。

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明らかに作りすぎです。
これから種がお酢を吸って1.5〜2倍量に膨らむことを、夫はわかっているのか。
瓶の7分目は入れすぎだろうと思いますが、口を出すとブーブー言うので、黙って見守りますよ。
ククク、己の愚かさを思い知るがいい!

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2〜3日後、瓶の蓋を押し上げんばかりにいっぱいに膨れ上がってます。
ビビル夫。
やばい、やばいといいつつも、瓶を移し替える作業を明らかに面倒くさがってます。
ちょっと早いけど、もういいや!とフードプロセッサーを取り出します。

フードプロセッサーにドボドボと種を入れ、ガーッと回します。
このあたりは好みですが、様子を見ながらお酢を足し、しっかりドロドロになるまで回します。
種をおすそ分けした友人は、あえてフードプロセッサーにはかけずに、プチプチとそのまま食べるそう。
種の中身が辛いので、辛いのが苦手な方はあんまり種を潰さない方がよさそうです。

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それにしても撹拌してると、みるみるとマスタード臭がしてきます。
「痛い!目に染みる!」とからし菜の反抗期にあった夫。
それでも混ぜるぜ、撹拌するぜ!と涙を流しながらフードプロセッサーに向かいます。
がんばれ夫!ゴールはすぐそこだ!

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ぐるぐると混ぜること数分、いい感じにぽてっとしたら作業は終了です。
味見をしてみたところ、まだまだ皮の苦味が強いです。
後はこの状態で3〜4日常温で、その後冷蔵庫で1ヶ月ほど放置して発酵させます。
発酵させることで次第に皮の苦味が取れ、酸味の中にもピリッとパンチの効いた美味しいマスタードの完成です。
これ本当、市販のマスタードでは辛味がまるで物足りなくなります。
「市販のマスタードがカンガルーなら、我が家のマスタードは力石徹だね!」とよくわからない例え話で夫と盛り上がりつつ、
さあ、食してみましょう!

いつものポテトサラダにほんの少しのマスタードを加えて大人味にしてみたり、ハニーマスタードチキン、豚肉のソテーにマスタードソースなんてオサレで面倒くさいことはいいません!
なんといってもコレ!

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この瞬間のために作っていると言ってもいい。
ソーセージ!ビール!ソーセージ!
ビール!ソーセージ!ビール!
たまに野菜&ピクルスでもう気分はドイツ!
ビールもいつもの「もどき」ではありません。ザ・プレミアム!
すべてはこの一杯のビールのために!

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張り切ってウインナーを用意したものの、実は今年作ったものは少々発酵力が弱かったようで、残念ながら少し苦味が出てしまってました。
もう少し撹拌してお酢を足し熟成させたほうがよさそうですが、まあこういった苦味も手作りの醍醐味。
味の変化を楽しんでいきたいと思います。

「それにしても美里に住んでから、ほんと色々作ってるよね」
夫と話しながら夏の宵は更けていきます。
「同じ津市で車で数十分なんやけど、市街地の家のベランダでからし菜の種を吹き飛ばしとんのってなんか、想像できやん。ここに住んでるからやっとるんかもなー」と夫。
いつかソーセージも手作りで作りそうな予感。
ブンブンと返事をする網戸の外のカナブン。

さて夏が近づき、もうそろそろ梅雨も終わりそう。
たくさんの夏野菜をいただいてウハウハなので、次回は何か夏野菜を取り上げてみる予定。

お楽しみに!