「秘密基地にヤギさんがやってきた!メエメエメエ!」第269回サルシカ隊がいく

投稿日: 2014年08月16日(土)16:50

s269-01

サルシカ秘密基地にヤギがやってくることになった。
前々から、雑草をもしゃもしゃ食べてくれる草刈マシーンが欲しかったのだ。
該当する生き物としてはウシ、ヤギ、バッファロー、インパラなどなどが考えられるが、ウシは巨大すぎるし、バッファローは危険である。
インパラはそもそも手に入れるのが大変だろうし、ヤツのジャンプ力をもってすれば、サルシカ秘密基地の柵などひとっ飛びである。
で、いろいろ考えた結果、ヤギがほしい、と思っていたのだ。

そんな折り、
大工のT橋さんから、「ヤギはいりませんか?」とメールがきた。
なんでも彼のお父さんがどこからか4頭の仔ヤギを手に入れてきたらしいのだ。
うち2匹はすでに外国の方に肉にして(笑)販売し、もう1頭も予約済だという、肉として。

で、残りの1頭のメスをいらんか、というわけである。
お値段なんと5000円。
うちの格安アメショの1万円より安い(笑)。

で、家族で該当ヤギを見せてもらった結果、いろんな人に相談した結果、飼うことにした。
大工のT橋さんのお父さんにその旨を伝えると、

「わかったあ、で、どうする? 肉にしとくかあ」

まさに落語のようなオチのような展開なのであった。

s269-02

その週末。
サルシカ隊の工作員たちに緊急招集がかかった。
ヤギを移動し、そしてヤギの小屋をつくりあげるのだ。

急な呼びかけだったにも関わらず集まってくれたのは、中谷のお父ちゃん、そしてヴァナゴンの太田さん、そして大工のT橋さんとワタクシの4人である。

まずはヤギの移動。
ヤギは大工のT橋さんの工房のそばの空き地で半ば放置プレイされていた。
大工のT橋さんのお父さんがいわく、

「ヤギは外へ出てるから、オスの方を柵に入れて、メスの方だけ持っていってくれぇ、どっちも首輪とロープでつないであるから簡単やろぉ」

と、いうことであった。
が、ワレワレが工房そばの空き地にいくと、あきらかにヤギたちはロープを解き、フリーダムに闊歩していた。

「おいおいおい、こんなの捕まるのか」

ワレワレの声に中谷のお父ちゃんが落ち着いた声で答える。

「だいじょうぶだいじょうぶ、ヤギは笛とかの音色に反応するから、ボクの鼻笛に酔いしれて、おとなしくこっちへやってくるよ」

ほんまかいな、と思った。
が、中谷のお父ちゃんは本気である。
腰を下ろしてじわじわヤギたちに近づき、そしておもむろに鼻笛を鼻におしつけて吹きはじめた。

曲は「ふるさと」。
選曲が悪かったのか、ヤギたちは何も反応しない。
お父ちゃんはさらにオクターブあげて吹く。
すると、ヤギたちは明らかに迷惑そうな、いや困惑した表情を浮かべて雑草の奥へと入っていくのだ。

「ぜんぜん効果ないやないですか、中谷さん!!」とワタクシ。
「おかしいなあ、うちのネコのハルさんには効果あるんだけどなあ」
「やはりヤギとネコは違うんじゃないですか、種族が違うんですから」

太田さんがまじめに朴訥に語る。
この人の語りはじわじわとブローのように効く。
お父ちゃんは何事もなかったように立ち上がり、「よーし、みんなで追い込むぞぉ!」と、あっさりと作戦変更した。

s269-03

4人のおっさんたちは大声をあげつつヤギを追って走った。
が、ヤギたちはするりとワレワレの間をすり抜けていく。

「あかん! 無理や!」
「こんなことしてる間に日が暮れる〜」
「その前にワシらが死ぬ〜」

で、単純に追いかける作戦中止。
出入口にかけられていたアミを発見し、それで罠をしかけて追い込む作戦を考えた。
ヤギの追い込み漁である(笑)。

「よーしゃ、そっち行ったあ!!」
「ほーらヤギヤギヤギ、そっち行け〜!!」

おっさん4人は必死の形相でヤギを追いかけた。
ヤギはメエメエと悲鳴をあげる。
アミの方にヤギが行った。
が、またするりとワレワレの間をすり抜けようとする。
その時!
中谷のお父ちゃんが横っ飛びにいったあ!!
どう!と腹から地面に落ち、カエルがつぶれるような妙な声を出しながら、なんとかヤギの足にしがみついた。

「やったあ!!!」
「捕ったど〜〜!!!!!」

おっさんたち4人は吠えた。
もはや狩猟民族系のおやじと化していた。

s269-04

鳴き叫ぶヤギたちを引き離し、メスを方を軽トラの荷台に載せた。
嫌がるのを無理やり。
メエメエメエ!!
暴れまくるので、中谷のお父ちゃんと太田さんが荷台に乗ったままヤギを押さえていくことにした。

荷物を押さえるためなら荷台に人を載せて走ってもいい、と確か聞いた記憶がある。
今回は本当にヤギを押さえねばならぬ。
でないと、ヤギが荷台から飛び降りて死んでしまうのだ。
ヤギの命がかかっているのである。

s269-05

なんとか秘密基地にヤギを運ぶことに成功した。
作戦開始からすでに2時間経過。
これから小屋をつくることができるのであろうか。

が、続いての悲劇がそこで起きた。
あまりに大変な出来事だったのでここからの写真はない。

ヤギを秘密基地のツリーハウスにつないで、みんなで冷たいお茶を飲みつつひと休みをしていたら、いてはならないところにヤギちゃんがいるのだ。
こちらを向いてメエエと鳴いているのだ。

「ああああああああ!!!」

おじさんたちは悲鳴をあげて飛び上がった。
ヤギの首輪からロープが外れていた。
結びが弱かったのだ。

ヤギは秘密基地から道路に出て、山の方へと軽い足取りで走っていった。

「もうだめですね」大工のT橋さんが落ち着いた声で言う。
「そもそも人にまだ慣れていないうえに、はじめての場所で逃げっちゃったんじゃ、もう捕まりませんよ。残念でしたね、隊長」

「いやいやいやちょっと待て、ヤギが飼えなくなるのはかまわんが、この集落でヤギが野生化したらどうするんだ? ただでさえシカやサルに畑を荒らされて困ってるのに!!」

ワタクシは半べそであった。
いつも野菜をくれる近所のおじいちゃんおばあちゃんの畑をヤギが食い荒らすのだ。
しかも巨大化凶暴化し、ときに人を襲ったりする、あああなんてことだ、どうおじいちゃんおばあちゃんに謝ればいいのだ!!

「つかまえよう!!」ワタクシはサルシカ隊の隊長である。
こういう危機にこそ、リーダーシップを発揮せねばならぬのだ!

「大工のT橋さんは軽トラにのって集落の上部に向かって!
ワタクシもいっしょにいく!
上から車でヤギを下へ追い戻そう!
中谷さんと太田さんは下でアミをもって待機!!
ヤギが来たら、またジャンプでよろしく!!」

そこからはまさに奇跡の連続であった。
集落の上へ向かっていたヤギは、ワタクシの軽トラと出会い頭に対面。
怯えて下に逃げた。
ワタクシは車を降りてそれを追った!
大工のT橋さんもワタクシの声を聞いて走ってくる。

「そっち!そっち!ああ、あっちはダメ〜!!」

大工のT橋さんはヤギの懇願している(笑)。

ヤギはワタクシの家の方へ入り込んだ。
玄関の柵のところに追い詰められた。
おっさんたち4人がじわじわ追い詰める。

ヤギの顔を浮かぶ緊張。
こわばるおっさんの顔。

ヤギが動いた。
正確には飛んだ。

今度はワタクシが飛んだ!
きええええええ、と奇声をあげつつ。
そしてヤギを羽交い締めにした。
ワタクシは、いやワレワレはやったのだ!!

s269-06

確保されたヤギさん。
今度は犬のモンちゃん用のハーネスで。
人間に追い掛け回され、すっかり怯えている様子。
秘密基地の床下に潜り込んで出てこない。

s269-07

2回に及ぶヤギ捕獲作戦ですでにお昼の時間を回っていた。
みんなで近くのお店にランチを食べに行き、ようやくヤギ小屋の制作に入る。
よく考えたら、きょうの主題はこれだったのだ(笑)。

s269-08

時間がなくなってしまったので、イチからつくるのではなく、あるものを利用してつくろうということになった。
電柱でつくったツリーハウスというか物見台の下がちょうどいいサイズだったので、そこに壁と屋根をつけて完成にしようではないかということになった。

この日、壁までは完了。

s269-09

翌日。
中谷のお父ちゃんも太田さんも参加不可で、前夜合流した大工の坂下さんが屋根作りを。
プロなので仕事が早い。
屋根作りは坂下さんに任せて、ワタクシはヤギの世話と準備。

s269-10

そしてその日のお昼。
ヤギ小屋は完成!
大工のT橋さんにわけてもらった廃材を利用。
なかなか格好いい小屋ができたのだ。

s269-11

その翌日から、秘密基地の下にある薪置き場へヤギさんを置いて、草を食べてもらうことに。
が、移動させるのが大変。
首輪を引っ張っただけで、その場にへたり込み、もう絶対に動かない。
引っ張ってもずるずる引きづられるだけ。
大捕物帳を繰り広げたので、きっと大きなトラウマをつくってしまったのだね。

ちなみに名前は、「ニコちゃん」に決定。
娘と娘の友だちが勝手につけてました(笑)。

で、ヤギにお好き嫌いがあるのですね。
ニコちゃんはカラムシという大きな葉がついた草が大好き!
写真のまわりに写っている草ですよ。
ニコちゃんに会うときは、ぜひこのカラムシをあげてくださいね。

s269-12

数日後。
集落に暮らす西川のお父ちゃんが、ヤギの寝床用に稲わらをくれることに。
よく乾燥しているので、気持ちいいベッドになる。
しかも食べることもできるのだ(笑)。

一部を小屋に敷いて、残りは濡れないようにサルシカ号の上に保管。

s269-13

そして!
サルシカ秘密基地にニコちゃんがやってきて5日目。
ようやく手から草を食べてくれるように。
まだ最初こそ極端に脅えるものの、慣れてくればこの通り!

s269-14

小屋からワイアを伸ばしてあげて、自由に草を食べることができるようにしてあげた。
が、問題はすぐさまワイアを絡めてしまうこと。
気づくと、ニコちゃんはぐるぐる巻きになって苦しんでいる。
うーん対策が必要だ。

s269-15

毎日ニコちゃんに餌をあげ、語りかけているうちにどんどん心を開いてくれている。
ときにはこんなリラックスしたラブラブなことも。

みなさん、秘密基地にニコちゃんを見にきてあげてくださいね。
どうぞエサもあげてください。
暴れたり襲ってきたりはしません。
でもまだまだ怯えていますので、そっと近づいてあげてください。
そしてやさしく声をかけつつ草を食べさせてあげてね。

心優しいおじちゃんたちからのお願い・・・・でした!!(笑)