 |
囲炉裏でくつろぎながら話をうかがう。左/サトーさん 右/隊長 |
|
 |
御年63歳。見た目以上に気持ちは若い! |
|
「私は生まれも育ちも東京なんやわ。浅草に近い下町の子でね」
サトーさんは三重弁と東京弁が入り混じった言葉を話す。
28歳で大手自動車メーカーに就職。
全国の販売所を次々にまわる転勤族に。
「でも娘が年頃になってきて、さすがに引越しばかりはイヤだと泣きつかれましてね。で、転属を依頼して、まあ三重に暮らすことになったんです」
サトーさんは津市に隣接した隣の市に自宅をお持ちである。この山すその家は時折過ごすセカンドハウスである。
「この家は定年の2年前に購入しました。もう私は定年を迎えたのでずっとこちらで過ごしたいという気持ちもあるのですが、まだ娘が嫁いでおらんし、妻も仕事をしてるしねぇ」
お嬢さんは今年中に結婚予定。
3年後ぐらいにはこちら中心の生活に切り替えたいという。
それまでは週末田舎暮らし。
サトーさんだけは、気が向いたらフラリとやってきて畑仕事して山に入って遊んで帰っていく。 |
|
|
|
|
|
そもそもサトーさんが田舎暮らしをしよと思ったきっかけは何なのだろうか?
「インターネットを見てたら、田舎暮らしでセカンドライフ・・・みたいな情報がいろいろ出てきてねぇ。唐突にコレはいいなあ、と」
そしてサトー夫妻の第二の家探しがはじまる。
「最初はね、海沿いの家を探してたんです。私は海のそばで釣り三昧の生活をしたかったんです。磯釣りが大好きですしね。
しかしウチの奥さんは海のそばに生まれて海の怖さを知ってるからそれを嫌がってねぇ」
そしてこの津市の外れにある集落の、こちらの家と出会う。
選んだ理由は、もちろん2階からの眺め。
そして、自宅から近いこと。定年してしばらくは通うわけで、その負担が大きくないところにしたかったという。
「いやぁ、ここでの暮らしは本当に満足してますよ。この建物がというより、この土地、人が本当に素晴らしい!」
本当に心の底から満足してらっしゃる顔でサトーさんはいう。 |
|
|
|
|
|
例えばこんなエピソードがあったという。
「ある日、ここに来たら畑の様子がおかしい。よう見たら、耕してあってそこにナスやらキュウリが植えてある。集落の人がやってくれたんですよ。たまにしかこないから大変だろうって」
「よそ者だからって敬遠なんかしないしね。本当にいい人ばかりですよ、このあたりの人は」
田舎暮らしを楽しむには、家も眺めも重要ではあるけれど、それ以上に重要ななのは、やはりそこに暮らす人々との付き合いなのである。
|
|
|
|
|
 |
|
サトーさん宅には、かなりの広さの畑もある。そこで奥さんと2ショットで。 |
|
|
|
|
ずいぶん作物をつくっていらっしゃるようですが・・・。
「いやぁ、ほとんど経験なんかなくってね。近所の人に教えてもらいつつ、のんびり楽しんでやってます」
「しかし思ってもなかったのは、夏場の草刈りの大変さ。あんなに草が早く生えるとは知らなかったし、それを刈るのがあんなに重労働だとも知らなかった。夏は草刈をしにこっちに来てるようなもんですよ(笑)」
|
|
|
|
|
|
やはり目指すは「自給自足」ですか?
「いやいや、自給自足なんて実際にはムリですよ。そんなのやろうとしたら今度は気持ちに余裕がなくなっちゃう。年金をうまく使いつつ、生活していくつもりです」
お嬢さんは何とおっしゃってますか?
「私のことは変わり者だと思ってるでしょうねぇ(笑)。でもここは気に入っていて、婚約者とここで過ごしたりしています」 |
|
|
|
|
|
田舎暮らしで一番重要だと思うことはなんでしょう?
「地域にどう馴染むか、に尽きると思います。それが本当に大事です。
私は集落でのお付き合いには必ず参加するようにしています。
最初は不安に思うこともたくさんありましたけど、今は本当にお付き合いが楽しいです」 |
|
|
|
|
|
将来について・・・
「元気でいたいからこそ早くこっちで永住したいですね。80歳、90歳になった時のことはあまり考えていません」
これから三重で暮らしてみようと思っている方にメッセージを。
「三重は気候が温暖で、観光地も多いし、元々住んでいた人でなければ、退屈しないところだと思います。
ぜひみなさんも三重県に遊びにきてください」
「古民家ものがたり」
-見晴らしの家ー 終 |
|
|
写真:加納フォト(加納準) |
|