「またまた帰ってきちゃったサルシカ秘密基地建造プロジェクト①」第286回サルシカ隊がいく

投稿日: 2014年12月10日(水)14:41

s286-01
写真/フォトグラファー加納(一部を除く) テキスト/サルシカ隊長

サルシカ秘密基地の第1期工事がスタートしたのは、2012年10月のことであった。
2日間でウッドデッキ、トレーラーハウスの屋根、事務所を建造し、わはははははと笑って終了する予定であった。
が。
ワレワレの目算はまったくもって甘く、工事は第2回、第3回と続いて年を越えてしまい、完成は2013年の3月であった。
で、2013年4月に一応完成披露パーティを開催し、たくさんの人に祝福されてサルシカ秘密基地は稼働したはずであった。

が。
思っていた以上にたくさんの人が訪れ、宿泊していくものだから、そもそもの宿泊スペースが絶対的に足りなかった。
そして女性や年配者の利用も想定以上にあったため、さすがに仮設ぽっちゃんトイレというわけにはいかず、快適な様式水洗トイレをつくることになった。
それが2013年10月からスタートした第2期工事。
しかも営業可能なキッチンもつくることになったので工期はえんえんと伸び、完成したのは2014年3月、つまり今年の春であった。

その後、ガス工事をしたり、シャワーを設置したりとじわじわ補強し、ついに今年10月には地域のためのコミュニティ・カフェとして営業をスタートさせたのであった。

が。
が、ばかりだが、が!
サルシカ秘密基地のメインスペースはやはり眺望最高のウッドデッキである。
冬になると風がまともに吹き抜け、寒くて耐えられない。
これでは冬の間カフェどころか宴会もできないではないか!
これではいかん!!
いかんのだ!!

とういわけで、秘密基地の防風防寒を行うことになった。
ついに工事着手から3年目のスタート。
第3期工事のはじまりなのだ。

s286-02

が、なぜか話は三重県を代表する観光地のひとつ、鳥羽からはじまるのである。
サルシカ秘密基地のある津市からおよそ80キロぐらい。
高速を使っても1時間半ぐらいかかる。
決して近いところではない。

サルシカ秘密基地の工事を翌日にひかえたその日。
隊長のワタクシと妻のM子はその鳥羽の今浦という港の桟橋にいた。

s286-03

牡蠣を買い求めにやってきたのである。
鳥羽のパールロード(焼き牡蠣ロード)で「焼きがきの孝志丸かきっこ」という店をやっている浅尾さんは番組などの取材で何度かお世話になった人である。
1ヶ月ほど前にも店を訪ね、秘密基地工事の宴会には焼き牡蠣を振る舞いたいので大量に用意してもらいたい、と伝えてあった。
で、工事直前の前日。
わざわざ鳥羽まで買いに来たのである。

だってね。
サルシカの秘密基地工事はいつも大変なのよ。
もう重労働でどろどろになってヘロヘロになるのさ。
せめて夜ぐらい、うまいもん食って酒のんで騒いでもらわにゃ申し訳が立たぬのだ。

そういうワタクシの気持ちを察してか、浅尾さんは店ではなくて桟橋にわれわれを呼び寄せ、海から引き揚げてきたばかりの牡蠣をドカーンと用意してくれた。

s286-04

しかも!
「ついでに釣りをしてチヌを捕ってきたのでぜひお刺身にでもして食べてください!」
なんて言いいながら魚を活き締めにしてくれるのだ。

殻つきの牡蠣250個。
チヌ2枚。
養殖マダイ1枚をクーラーボックスに入れてわれわれは津へと戻った。
秘密基地の戦いはもうはじまっているのだ。
ここで手を抜いてはいかんのだ。

s286-05

が・・・!!
余分に牡蠣を買ってきて、味見だと称して前夜祭をしてしまうのがワレワレである。
明日は重労働が待っているのに。
明日の夜たっぷり牡蠣が食べられるのに。
なのにやっちゃうのだ。

ここで前夜祭をやってしまったイケナイ隊員たちを明記しておこう。
まず、隊長であるワタクシ(笑)。
副隊長のキヨちゃん。
前泊の大山さん。
研修生の中谷のおいちゃん。
同じく研修生の上出のおっちゃん。
そしてM子である。

この日のためにわざわざ購入してきたたこ焼き機でオリーブオイルをぐつぐつ煮立たせ、そこに刻んだガーリックと牡蠣を投入。
いんちきアヒージョである。
当然ワインも用意して飲む。
じゃんじゃか食べて飲む。
今書いていて改めて思うが、本当にわれわれはバカである(笑)。

s286-06

2014年11月29日の土曜日。
工事のスタートは朝の9時であった。
どんより曇った重い空が広がっていた。

s286-07

前泊の大山さん、飲んじゃったのでそのまま泊まっちゃった研修生の中谷&上出のおとっつあんコンビ。
そして棟梁の大工のT橋さんがめずらしく朝早くからやってきて4人で準備をはじめていた。
9時前になると、キヨちゃん、フォトグラファー加納をはじめ、ぞくぞくと隊員たちが集まりはじめた。
さあ、工事のスタートだ。
仔ヤギのミルちゃんは何がはじまるのかといつも以上にそわそわしていた。

s286-08

棟梁はいつも通り大工のT橋さんで、工事班長は中谷のお父ちゃんが担当。
このふたりによって、今回は事前に緻密な設計がなされていた。
これまで行き当たりばったりの工事であったが、さすがにワレワレも学んだのだ(笑)。

s286-09

工事班長の中谷のとうちゃんによってまず工事の工程の説明。
ウッドデッキをすべて波板で作った戸で覆ってしまえ、というのが、まあ工事の全容であるが、なんと今回はサンプルの戸板まで作られているのだ。
気合の入り方が違うのだ。

s286-10

さて、作業がはじまった。
まずは戸板を建てる前にデッキの隙間を埋める作業である。
どれだけ戸板を立てて風を防いでも、床が隙間だらけだと下からどんどん風が入ってきてしまう。
隙間に合わせた木を用意してそれで隙間を埋めていく。

s286-11

が、隙間が一定でなく、狭いところもあるので、板を電動カンナで削って調整しつつ入れていく。
人数がいるのであっという間に隙間がうまっていく。

s286-12

一方、大工のT橋さんはひとり、戸板を受ける鴨居づくりを進めていた。
最近ケーハクな笑いを浮かべていることが多いT橋さんだが、この日は妙にまじめだった。
秘密基地工事をはじめたばかりの頃の、寡黙で渋い男に戻っていた。
いったい何があったというのだ、T橋さん(笑)。

s286-13

鴨居は前面、背面、側面の3ヶ所につくるのであるが、あっという間に背面と側面の2ヶ所を仕上げてしまった。
すばらしいのだ。
工事は何もかもが順調であった。
こんなに順調に進んだことはこれまでになかったことである。

s286-14

が・・・・!
工事をはじめて2時間後の午前11時。
雨が落ちてきた。
最初はポツポツだったが、途中から冷たい雨がザザ振り。

「あああああああああ〜、やっぱり降ってきたああ!!」

隊員の何人かが声をあげた。
そして、中谷のとうちゃんと大山さんをみんなで見た。

この二人が揃うと絶対に雨が振るのだ。
これまでの工事でも二人がいっしょのときはすべて雨。
もしくは大雪!(笑)
もうトンデモナイ雨男コンビなのだ。

外に放り出してあった材料やテーブルなどを慌てて片付け、ブルーシートで覆う。
ここまで順調であっただけに残念である。
果たして工事は中断なのか。
それとも続行か。

激しく悩みつつ、次回へと続くのである。