銭湯いこにVol.35「桑名の七里のわたしゆ①」

投稿日: 2014年12月20日(土)10:20

sk035-01写真/写真師マツバラ(松原豊)  テキスト/サルシカ隊長(奥田裕久)



なんと!
前回のサルシカ銭湯企画は、今年の1月であった。
ということは、およそ1年ぶりの銭湯めぐりである。

久しぶりの銭湯企画ということもあって、銭湯リーダーのケロリン桶太郎(写真右)の力の入りようはすさまじかった。
今回お邪魔する銭湯に事前にロケハンに行き、周囲を歩くポイントもチェックしてくれていた。

「今回はふらりと銭湯のまわりをめぐって飲みますよ! だからそういうつもりで準備しましょう!!」

ケロリンはそう通達してきた。
で、銭湯めぐり当日。
一同は三重県津市美里町の山中にある、サルシカ秘密基地に結集したのであった。



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酒を飲む以上は車に乗れない。
かといって電車でいくのは無理がある。
ということは、ひとりドライバーとして犠牲になってもらうしかない。
残念ながらサルシカの銭湯企画メンバーの中には下戸はひとりもいない。
どちらかということ、大酒飲みの集団なのだ(笑)。

で、みんなで真剣に会議をした結果、恐ろしい企画が編み出された。



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あみだくじ、である(笑)。
中央の「禁」マークは、禁酒という意味である。
つまりここを引き当てたものは、今回ドライバーとして参加することになる。
当然、一滴もお酒は飲めない。

「おおおお〜、なんと恐ろしいあみだだ!!」
「頼む!! 外れてくれ〜!!」
「銭湯企画で酒が飲めないなんて気が狂う〜」
「あああああああ、心臓どきどきしてきたああああ!」

40歳以上のおっさんたちの騒ぎようではない(笑)。
で、あみだくじの結果・・・・。



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あろうことか、「禁」を引き当てたのは、隊長であるワタクシであった!!!

「もうオレ行かない! 熱が出てきたみたいだから家に帰って寝る!!」
「卑怯者〜!!!」
「オレは隊長だぞ、隊長権限でもう1回あみだをやる!!」
「ずるい〜!!」
「誰だ、こんな企画を考えたのは〜!! くそ〜、タクシーを呼べタクシーを!! もうタクシーでいくぞ!!」

もう出発前から大モメなのである。
ワタクシが(笑)。



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サルシカのロケ車(アルファード)に乗り込み、いざ出発!!
もちろん運転するのは隊長のワタクシである。

「いいねぇいいねぇ、アルファードは広いねぇ、宴会できるねぇ」
「ビール飲んじゃおうか、ひひひひ」

後部座席でそんなことを言っているのは、写真師マツバラとケロリンである。
とんでもない奴らなのである。

「あのね、オレがあみだくじで当たったのは行きの運転だからね、また帰りは帰りでくじびきだからね、わははは」

ワタクシもしつこいのである。

「なんという卑劣な男じゃ〜」
「もうサルシカ隊やめるぞ〜」
「隊長、潔くない!!」

「ふん、酒を飲んだあと気をつけるんだな、オレはこっそり帰るかも知れないからな。なんだったらひとり2000円で駅まで迎えにいくけど。どうだ、このやろ」

ええ、ええ。
ワタクシは所詮こういう男なのである(笑)。

それにしても。
銭湯へ向かうだけで、これだけの文字数と写真を使ってしまっているのだ。
まったくワレワレは何をしているのであろう。



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サルシカ秘密基地のある津市美里町を出て、芸濃インターから伊勢自動車道へ。
そのまま東名阪自動車道に乗り継いで、降りたのは桑名インター。
そう、はまぐりで有名な桑名ですな。

今回お邪魔する銭湯は、桑名市の船馬町。
七里の渡跡のすぐそばであった。

七里の渡とは、熱田から桑名までをつなぐ海路である。
海路七里あったことから「七里の渡」と呼ばれていたらしい。
当時このあたりは東海道五十三次の42番目の宿場町として大変なにぎわいであったという。

ちなみに、渡跡に立つ大鳥居は、ここから伊勢路に入ることから「伊勢の国一の鳥居」と呼ばれている。



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あたりにはその名残らしい風景が残っている。
古い料亭や宿も残っていた。



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さて、そろそろ本日の銭湯へ向かおう。
今回は、選挙戦のまっただ中ということもあっていつものメンバーが集まらなかった。
代わりに研修生の中谷のとうちゃん、上出さんが休日をとって参加。
平均年齢とおじさんレベルを一段とアップしての銭湯企画であった。



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しかも。
上出さんはビデオカメラを回しての取材も敢行。
写真師マツバラによるスチールと合わせて、ダブル取材なのである。

銭湯へ向かう道中。
ケロリンとワタクシは「なぜワレワレは銭湯をめぐるのか」「銭湯文化とは何であるのか」を熱く語る。

かつて銭湯は裸の社交場であったのだ。
人が集い、語らう、人より場であったのだ。

銭湯の行き帰りに下駄を鳴らして町を歩き、買い物をしたり、ときに赤ちょうちんで一杯やったりと、地域経済を循環させるひとつであったのだ。
その銭湯がいま、どんどん消えている。
三重県だけでいうと、この銭湯企画をはじめた3年前は49軒の銭湯があった。
が、2014年の今、36軒しか残っていない。
わずか3年の間に、なんと13軒もの銭湯が姿を消したのだ。
いまこそ銭湯の魅力を伝えたい。
そして銭湯のよき文化を記録に残しておきたい。
それがサルシカで銭湯企画をはじめたきっかけであったのだ。



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七里のわたしゆは、七里の渡跡から徒歩数分のところにあった。



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外観は比較的新しい。
現在、桑名市に残っている銭湯はここだけだという。



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この日はやたら寒かった。
早く中に入って湯船に身体を沈めたかった。
いつものように暖簾の前で撮影を終えて中へ入ろうとすると、上出ディレクターから「待ったあ!」の声がかかるのだ。

「はい、じゃあここからビデオの撮影だから。はい、隊長とケロリンが先に暖簾をくぐって。そのあとみんな続いて」

指示に従い、ようやく中へ入る。
さあ風呂だ風呂だ、と服を脱ぎはじめると、また上出ディレクターが言う。

「あ〜、服を脱いじゃダメダメ! もう1回外へ出て! 今度は暖簾をくぐって入ってくるところを撮るから。さっさと外へ出る!!」

もう悪魔のようなのだ。
しかも、その様子を見て写真師マツバラが、

「あ、その構図いいねぇ、じゃ、スチールも撮るからもう一度!! はい外へ出て!!」

などと言い出す。
もう、なかなか風呂へ入れないのだ。



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そんな仕打ちを受けてようやく中へ入る。
暖かい。
招き猫が出迎えてくれた。



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そしてフロント式の番台から、ご主人が笑顔で迎えてくれた。

「撮影も大変やなあ。出たり入ったり。まあゆっくり温まってって」

が、ワレワレはこのあともなかなか風呂に入れないのであった。
思いがけないトラブルが待ち構えていたのである。

風呂に入らないまま次回へと続く(笑)



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