「熱気球で空散歩!」第295回サルシカ隊がいく

投稿日: 2015年02月25日(水)18:30

s295-01写真/大工のT橋 テキスト/サルシカ隊長

「隊長〜、気球を飛ばすんで乗ってみませんか〜」

そんなメールが飛び込んできたのは、数日前のことであった。
熱気球〜、おおおおお〜、これは絵になるではないか、おもしろいではないか〜、と一気に盛り上がったものの、ワタクシは高いところが大の苦手。
前回はパラモーターに飛行にお誘いしてもらったが、強風のため飛べず、胸を撫で下ろしつつ、一目散に逃げ出す始末だったのだ。

「どうしよどうしよ・・・」

ワタクシは悩んだ。
サルシカの企画としてはとてもやりたい。
ワタクシ個人としてはとてもやりたくない(笑)。

が、ビデオ撮影スタッフはやる気まんまんだった。
さっそく撮影機器の準備をしながら、

「これは行くべきだろ、このチャンスを生かさずしてどーする! 行け行け、どーんと翔べ!」

真顔で言うのであった。

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というわけで2月の某日の早朝。
国道1号線にほど近い鈴鹿の河川敷。
熱気球を飛ばすメンバーと関係者が集まったのであった。

今回熱気球を飛ばすのは、朝日ガスバルーンクラブのみなさん。
そう、テレビのコマーシャルでもよく見ますね、朝日ガスエナジーさんの社内クラブ。
その会員のひとりであり、サルシカ隊員でもあるバルーン海原氏(写真中央の赤い服)に誘っていただいたのである。

一方の空を見上げる一同。
決して「朝焼けがキレイだな、きょうも一日楽しく過ごそうね」などとぼんやり考えているわけではない。
風船を飛ばして風向きのチェックをしているのだ。

この日はもうベストな気圧配置で、微風状態。
気球には最高の天候ということであった。

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テトラポッドみたいな帽子をかぶっているのは、サルシカ秘密基地の配管工事をしてくれたパイプ佐野氏。
バルーン海原氏の幼なじみでもある。
今回は、地上班として手伝ってくれることに。

風の強さはいいのであるが、方向がよくない。
このままここから飛ばすと、鈴鹿の市街の方へと飛んでいってしまう。

「そんな場合どーするんですか?」

ワタクシが間抜けなことを聞くと、バルーン海原は、

「街中に着陸するわけにはいきませんから、そのまま海まで飛んで海中へ下りるしかないでしょうねぇ」

なんてことを平然という。
熱気球は上下のコントロールはできるけれど、方向は自分では決められない。
風まかせなのだ。

「仕方ない、場所を変えましょう!!」

一同は車に乗り、別のポイントへと移動することになった。

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移動したのは、鈴鹿のおとなりの亀山。
田んぼが広がる場所で風のチェック。
風船にヘリウムガスを入れ、飛ばす。
ここは風が強い。
山が近くにあると、少し場所を移動しただけで風向きも強さも変わる。

「ここはちょっと風が強すぎますね、方向もあまりよくない、次へいきましょう!」

また車に乗り込み移動。
どんどん津市の方へと移動していく。
つまりわれわれが朝、眠い目をこすって走ってきた道を逆走していく。

「これならいっそ秘密基地から飛ばせばよかったですねぇ、わはははははは」

バルーン海原はワゴン車のハンドルを握りながら笑った。
車はいよいよ津市に入る。

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「ひょっとしたらもう今日の飛行は無理じゃないのか。
ま、それならそれでいいや・・・」

ワタクシは密かにそう思っていた。
車が停まる。
今度は津市安濃町の田んぼの中であった。

また風船を飛ばし、地図を広げて航路をチェック。

「どーせダメなんでしょ」とワタクシはもう半ばあきらめつつ、あたりをぷらぷら歩いて鼻くそをほじったりしていたのだ。
すると、「飛びます」との声。

みんな一気にすごい勢いで動きはじめる。

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まず農道にブルーシートを敷き詰めた。
ここにバルーンをひろげる。
会社の看板的存在でもあるので汚してはいけないのだ。

ワゴンからガスタンクやカゴを出して組み立てはじめる。
もう飛ばないと思い込んでいたワタクシは急に焦りはじめた。
腹が痛くなったとか、お財布を忘れちゃったとか、乗らなくていい理由を探しはじめた。
が、あっという間に気球はその姿を現していくのである。

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まずバルーンを巨大な扇風機である程度膨らまし、そこに熱風を送ると、あっという間に起き上がる。
その高さ26メートル。
イヌを連れて農道を散歩していたおじいちゃんが、「なんじゃなんじゃあ」と驚いていた。

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バゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!
炎が何メートルも吹き上げる。
すさまじい音、すさまじい熱気である。
近くにいると怖い。

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「はい、隊長、飛ぶから乗って」

バルーン海原は「さあトライブに行くから助手席にのって」ぐらいの調子でワタクシを誘導する。
思わず乗り込んでしまってから、

「あのさ、命を預けてだいじょうぶ??」とワタクシ。
「うん、たぶん」とバルーン海原。

あのね、こういう時はね、「たぶん」じゃなくて、「絶対!」なの!
怖いの!!
これから飛ぶのも怖いし、頭の上でバゴゴゴゴと火を吹くのも怖いの!!

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涙目になってみんなを睨みつけていたら、もうすでに飛んでいた。
音もなく、振動もなく、すべるように空へゆっくりとあがっていく。
あまりに唐突だったので、「あれ?」という感じだった。
いつもなら悲鳴をあげるような高さにあがっても全然怖くなかった。

「じゃあね〜」

ワタクシはみんなに手を振りながら空へと舞い上がったのだ!

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高さ100メートル。
全然怖くない。
なぜだ?
逆におもしろい!
楽しい!
音もなく飛んでいるときは、本当に鳥になった気分だ!

「みんなね、最初に乗ると鳥になった気分だって言いますよ。それで病みつきになるんです」

バルーン海原は地上班と無線で連絡を取りつつ、GPSで場所を確認しつつ気球を飛ばす。
ま、飛ばすといっても方角は風の向くままなのであるが。

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この日は2つの気球を飛ばした。
これは地上班が撮影したもの。
気球に乗っているチームは本当に優雅であるが、地上班は大変!

気球が飛び立つや否や、ブルーシートやら扇風機やらを急いで車に詰め込み、気球を見上げながら車で追いかけるのだ。
空を飛んでいる気球は道など関係ないが、車は道を探しつつなので大変だ。
カーナビを駆使して「あっちだ!こっちだ!」と叫びつつ走る。

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高度をどんどんあげていく。
高さが変わると風向きも変わるのだが、この日はすべての高度でいっしょ。
つまり高さを変えることによって進行方向を変えることができない。
いい風のときは元の場所に戻ることだってできるという。

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優雅で楽しいけれど、自然が相手なので気が抜けない。
バルーン海原はワタクシには笑顔を向けつつも、緊張した面持ちで高度やら進行方向をチェックしている。

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高度260メートル。
山のふもとから飛んだのに、もう海がみえた。
こうして見ると、われわれが暮らす三重県津市の平野部なんて小さなもんだなあ。

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着陸したのは、田んぼ。
あぜにカゴを当てるようにして静かに降りた。
またブルーシートを敷き、そこにバルーンを倒していく。

気球が降りてきたものだから、近くの人たちが大勢集まってきた。
ワタクシもバシャバシャと写真を撮られる。
異星人か有名人になった気分(笑)。

バルーンをあらかた片付けたところで、クラブのメンバーが子どもたちをバルーンのカゴに乗せて記念撮影をしていた。
子どもたちの嬉しそうな顔。
きっといつか、彼らもバルーンで空をとぶことであろう。

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朝日ガスバルーンクラブのみなさん、今回は本当にお世話になりました!
自分の住まう地域を空からみて、なんか自分が少し変わったような気がします。
そして、高所恐怖症を克服できたような気が・・・(笑)。

次の機会がありましたら、またぜひ誘ってください!!
飛びたいっす!!!

参考リンク:http://www.asahigas.co.jp/balloon/