「今年の田植えは手で植えるのだ!!」第311回サルシカ隊がいく

投稿日: 2015年05月14日(木)09:27

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写真/稲垣博文(一部は松原豊)  テキスト/奥田裕久

2013年からはじまったサルシカの米作り。
三重県津市美里町細野地区の休耕田を借りてスタートであったが、昨年の2014年は、サルシカ秘密基地のある美里町平木区でも田んぼをはじめた。

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その平木区の第二田んぼでは、バインダという手押し式の古い機械で稲刈りをし、結束した稲をはさ掛け。
一週間ほど天日干しして脱穀した。
田んぼの所有者であり、稲作や畑の先生をしてもらっている西川の父ちゃんの指導で、昔ながらの米作りに挑戦したのだ。

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コメは手間ひまをかけた分だけおいしくなる。
そのはさ掛けのサルシカ米がうまくないわけがなかった。
羽釜で炊いたごはんは、つやつやで、歯ごたえも甘みもしっかりとあった。

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これは昨年の収穫祭の様子。
あまりのおいしさに、もうみんな大コーフンであったのだ。

であれば!
今年はもっと手間ひまをかけようではないか!
ということになった。

そう!
田植えも人力でやるのだ。
手植えだ!!

環境がどうだとか、耕作放棄地がどうだとか、そんなことは一切関係なく、ただただおいしい米が食べたいという欲望まるだしの理由で、手植えイベントが行われることになったのである(笑)。

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2015年5月10日、日曜日。
その日は少し風が強いものの、ドピーカン!!
しんどい農作業をやりたい変態たちが、なんと20名以上もサルシカ秘密基地に集まった。

まずはサルシカ隊長のワタクシから挨拶。

「えー、みなさん、よくぞ集まっていただきました。
 田植えをやっていただく以上、これから草刈りやら草刈り、草刈りなど、とことん最後まで面倒を見ていただきます!(笑)
 泥と汗にまみれて闘いぬき、秋にはおいしいごはんをみんなでいただきましょう!!」

ま、これは冗談ではないのだ。
田植えと稲刈りはみんな集まってくれるが、地味な草刈り作業にはあまり参加してくれない。
ですんで、ホント、みなさんよろしくお願いします(笑)。 
 

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そして秘密基地から田んぼへと歩いて移動。
ちなみに今回田植えする田んぼは、車ではいけないところにある。

人の家の庭を通り、横を通り抜けていくしかないのだ(笑)。

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その、人のうちというのが、西川のとうちゃんの家である。
今回の先生だ。

「は? 手で植える〜? そんなんオレもしたことないぞ〜」

最初に相談したとき、西川の父ちゃんはカカカと笑って言った。

「わざわざそんな大変な思いをしたやつがおるんかあ〜。そんなん誰も来ぉへんやろ〜」

が、20名以上もきた(笑)。
で、ますます西川の父ちゃんは笑うのである。

「まあ、ようけ来たのぉ、そんなに田んぼしたいなら、空いとるとこいっぱいあるでどんどんやってくれ〜」

もう上機嫌なのである。

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現場となる田んぼは、西川さんの家のすぐそばであった。
今回のために西川さんが事前に耕し、水を入れ、代掻きをして整えてくれた。

そして数日前。
半分ほどを機械で田植えしてあった。

最初から無理をせず、笑って楽しめる程度にしようという作戦である。

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田んぼにいるオタマジャクシ、アメンボに参加者たちは大喜び。
子どもより大人の方が騒いでいる。

機械で田植えをしていても、角の部分や植え残し部分は手で補植する。
だから西川の父ちゃんも、サルシカ副隊長で農業担当のキヨちゃんも植え方は知っている。
簡単なレクチャーをみんなで受けたあと、いよいよ田植えのスタートである。

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西川の父ちゃんが蔵の中から引っ張り出してきてくれた田植え用の紐をつかって、苗を植えるラインをつくる。
まずこの紐を縦にひく。
紐には苗を植えるポイントごとに赤い印があるので、縦のポイントがわかるわけだ。
そのポイントに合わせて今度は横の紐をひく。
すると今度は横のポイントがわかる。

こうやってなるべくまっすぐ整然と苗を植えていくわけである。

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みんなてきぱきと動き、滞りなく進んでいく。
うーん。
これは面白くないのだ。

やはり、トラブルというか、まあ今日の場合であれば、思い切り田んぼの中ですっ転んで泥だらけになるとか、そういう事態が発生しないと面白くない(笑)。

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「いや〜、田んぼに入るなんて初めてですよ〜、温かくて気持ちいいなあ。
 ボクの足が自然に優しく包まれてるって感じがするなあ」

そんな詩的なことを言っていたのは、昨年、東京からこの美里町に拠点を移した劇団「第七劇場」の劇団員の小菅くんである。
今後は、第七小菅と呼ぶことにする。

ワタクシはターゲットをこの第七小菅にしぼった(笑)。
そんな自然の優しさと温かさに包まれたいなら、全身で味わえばいいのだ。

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で、ワタクシは、全身で幸せを感じている第七小菅をいきなり後ろから突き倒した(笑)。

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第七小菅は「ああああああああ!」と悲鳴をあげ、ビシャっと膝と手をついて倒れる。

「な、な、な、何をするんですか〜!!!」

何が起こったのかわからず、当たりを見回して叫ぶ。
が、泥のまみれ方が足りない。
面白くない(笑)。

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で、サルシカ隊長のワタクシは、捨て身の覚悟で第七小菅にのしかかる!

「ぎゃ〜、やめてやめて〜!! パンツの替えを持ってないの〜!!」

そんなことは知らぬ。
ワタクシはさらに体重をかけるのであった。

こうして無事に田植えイベントははじまった(笑)。
が、この第七小菅の思わぬ(笑)ハプニングにより、まさにこのあと泥沼の様相となっていくのであった。

次回、たぶん苗を植える(笑)。