「茶摘みリハなのだ」第318回サルシカ隊がいく

投稿日: 2015年05月24日(日)08:22

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2015年2月からスタートしたサルシカ菜食カフェ。

最初は、われわれサルシカが育てた野菜や米を中心にした菜食ランチを楽しんでいただくのみのカフェであった。
でもせっかく、山の中にまで来てもらうのだ。
もっと楽しんでもらわないと申し訳ない。

というわけで、4月より、種を撒いたり、苗を植えたり、と、農業体験つきのカフェになった。
今後は野菜の収穫や稲刈りなどなど、自分たちで植えて育てた野菜をすぐさま食べていただく、そんな究極の地産地消カフェへと成長させたいと思っている。

この5月の体験つき菜食カフェは、茶摘み!
本来ならば、この準備の様子を紹介しつつ、さらに予約を募る・・・という予定であったが、すでに定員いっぱいとなっている。
興味を持たれた方、ごめんなさい。

今回の企画は、過去最速で予約が埋まった。
募集開始からわずか12時間!

驚いた。
そして、みなさんの熱い期待に怯えをなした(笑)。
イベント当日、失敗しました、アハハでは許されない。

で、われわれサルシカのスタッフは事前にきっちりとリハーサルをやることになったのだ。

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さて。
サルシカ菜食カフェが営業するサルシカ秘密基地があるのは、三重県津市美里町の最深部、平木という山あいの集落である。

この集落では昔から、田んぼの周辺でお茶を育ててきた。
田植えが終わったあと、自分の家で飲む1年分のお茶を収穫し、蒸し、手でもんでつくってきたのだ。

が、いまや、お茶をつくっている家はわずか1軒。
小さな茶畑のほとんどは手入れをされず、草に覆われている状態である。

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で、昨年。
われわれサルシカ隊は、放置されていた茶畑のひとつを借り受け、手入れをさせてもらった。
肥料をまき、日陰となる木を切り倒し、お茶の生産へと乗り出したのである。

この写真の茶畑は、集落で唯一お茶をつくっているTさんの家のもの。
われわれサルシカの茶畑はこんなに美しくない(笑)。

われわれのしょぼい茶畑で茶摘みリハーサルをしてしまうと、本番のときに摘んでいただく新芽がなくなってしまうので、今回はTさんの畑の2番茶を採らせてもらうことになったのだ(笑)。

西川の父ちゃんにもヘルプしてもらい、手で新芽を摘む。
2時間やっても、「え、これだけ?」という量にしかならなかった。

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秘密基地に戻ると、いつもの釜で火を起こす。
年末恒例のサルシカ餅つき大会のときは、この羽釜と蒸し器でもち米を蒸しているのだ。

それで今回は茶葉を蒸す。

平木で唯一お茶をつくっているお父さんとお母さんに先生として来ていただく。
事前にいろいろと教えていただき、準備もしてもらった。
本当にありがたい。

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茶葉を蒸すのはほんの一瞬。
お母さんは「湯気をかける程度」と言っていた。

それでも、一瞬にしてお茶の香りがあたりにひろがる。

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テーブルにむしろを広げ、湯気をかけた茶葉をそこで揉む。
むしろは、西川の父ちゃんが家にあったものをわざわざ持ってきてくれた。

いまTさんの家でも、ビニールのシートを敷いてお茶をもんでいるらしい。
しかし昔はみんなむしろでやっていた。
むしろの方が余分な水分を吸収してくれるのでよりよいお茶ができるという。

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「お茶はなあ、揉むというより、手のひらで押すみたいな感じでゆっくりと体重をかけていくんやに」

もうお茶を作り続けて60年。
おかあさんは手慣れた手つきで作業する。

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農業研修生のよしえちゃんも体験。
おかあちゃん曰く、「この子は素質あるわ」とのことらしい。

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もみ終わったら、今度は外のテーブルに敷いたむしろの上に茶葉をひろげる。
これはおとうさんの仕事。

「おお、ええ香りやのぉ」

サルシカ隊長であるワタクシがこの集落に引っ越してきて8年。
ワタクシはこのおとうさんの笑顔が大好きだ。

平木の祇園さん(夏祭り)に落語家の林家菊丸(当時は染弥)さんに無理を言って来てもらって、集落限定の贅沢な寄席をやったとき、このおとうさんが泣きながら笑っていた。
落語のあと、「オレぁ、こんなに笑ったんは人生ではじめてや」と笑い、そしてまた泣いた。

この時の思いが、この集落での活動の原点であるような気がする。

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この日、はるか遠くの岩手県から、わざわざこのサルシカ秘密基地へ視察にやってきてくれた人がいた。
金ヶ崎という町で地域おこし協力隊として活動する2人で、地域の人たちが気軽に集まれる拠点づくりを検討しているという。

Tさんがつくったお茶を飲み、お土産にいただいた金ヶ崎のようかんを食べつつ、情報交換。

われわれサルシカの取り組みはどう映ったであろうか。

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そうこうするうちに、太陽の光をいっぱいあびた茶葉が半乾きに。
ここでまた揉む。
葉の状態によっては2度、3度と乾燥と揉みを繰り返すという。

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農業研修生の中谷の父ちゃんも揉む。

「いやー、人生56年、ボクもあれこれたくさん揉んできましたからねぇ、アハハハ、揉むのだけは上手なんですよ」

エロい笑いを浮かべつつ冗談をいうが、おかあさんはスルー(笑)。

「ちょっと中谷さん、揉むの強すぎ! もっと優しく! 手のひらでこねるように!」

56年・・・人生まだまだのようだ(笑)。

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作業した日は夕方まで天日干し。
夜はウッドデッキの中に入れて夜露がかからないようにした。
そして翌日も朝から外へ。

お昼すぎには、もうパリパリに乾燥していた。

おかあさんがわざわざ秘密基地に様子を見にきてくれる。

「もう大丈夫やに。湿気やんように保管しといたらええ。もう飲めるで飲んでみ」

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夕刻。
農作業を終えた研修生と、草刈りと薪割りを終えた隊長のワタクシは、襟を正し、この平木で育ったお茶をいただくことに。

が、あえてここではその感想も詳細も書かない。
これは茶摘みイベント当日のみなさんにお任せしたいと思う。

参加いただけない方にも、しっかりとレポートを届けますね!!