銭湯いこにVol.42「志摩編②〜離島で銭湯探索!?」

投稿日: 2015年06月16日(火)09:25

001写真/写真師マツバラ(松原豊)  テキスト/サルシカ隊長(奥田裕久)



サルシカ銭湯企画部のリーダー・ケロリン桶太郎の念願である定期船で志摩の銭湯をめぐる旅。
賢島を離れ、英虞湾に浮かぶ離島・間崎に上陸。
いよいよ、サルシカ銭湯企画初の、離島の銭湯探索がはじまるのである。

「いや、間崎島には営業している銭湯も跡地もありませんよ」

銭湯研究家のケロリンはこともなげに言う。

「ボクが知っている限りでは、この島に銭湯があったという情報も耳にしたことがありませんねぇ」

「いやいやいやいやいや、じゃあなんでここで下りたんだよ!」とワタクシ。
「ま、しいて言えばここに島があったからですかね」とケロリン。
「あはははは、いいねぇ、無目的最高だねぇ」と中谷の父ちゃん。
「いやいや、目的は銭湯だから! これは銭湯企画だから!」とワタクシ。
「ビールは? ビールは売ってんの??」これはやはり写真師マツバラ。
「ビールはもういいの!!!」ワタクシ。

まったくもって前に進まないツアーなのだ。



D3B_1483-150610-web-fin


まず、先ほど定期船から見えた白い浜に行ってみることにした。
そこは人工的につくられた砂浜であった。
どうやら季節になると海水浴場になるらしい。
離島で海水浴。
おお、なかなかよいではないか。

なんたって銭湯企画なので、タオルも着替えも持っている。
みんなで泳ごうか、という話になったが、おっさんの汚いケツは誰もみたくないであろうし、遊泳期間かどうかもわからないので、ここはひとつおとなしく足をつけて遊ぶだけに。



D3B_1523-150610-web-fin


「ねえ、これって何っていう貝?」
「知らないのかい? これは貝じゃなくてウニの殻だよ」
「ああん、私ってバカ」
「何を言ってるんだよ、そこがかわいいんじゃないか」

波打ち際でなんだかいいムードになっているケロリンと中谷のとうちゃん。
太陽が照りつける海辺は、おじさんをもときめかせてしまうのであろうか(笑)。



D3B_1521-150610-web-fin


「もうさ、このままあの二人置いてきぼりにして船乗っちゃう??」

写真師と笑うワタクシ。
そもそも、この銭湯企画は、なかなか風呂に入らないシリーズとして認識されつつあるのである。
今回なんぞ、銭湯のない離島をめぐり、しかもおっちゃんたちはイチャイチャしているのである。
もう銭湯なんて遥か彼方なのである。
煙突どころか煙すら見えないのだ。



D3B_1566-150610-web-fin


靴を這いて島内を歩いてみることにした。

前回も書いたが、間崎島(まさきじま)は英虞湾に浮かぶ島で、湾内では賢島に次いで面積が大きい。
集落は島の南西部にあり、116人(2013年4月1日現在、住民基本台帳人口)が暮らしている。

集落の規模だけで言うと、サルシカ秘密基地のある津市美里町の平木とほぼ同レベルである。



D3B_1579-150610-web-fin


離島名物の細い路地をいく。
鳥羽の離島にもこういう人ひとりが通るのがやっとの路地が迷路のように広がっている。

ひとつ気づいたのであるが、鳥羽の離島は家の壁はみな青であった。
志摩はみなピンク。
これにはなにか意味があるのであろうか。
誰か知っている人がいたら教えてもらいたい。



003


細い路地のすぐ横に人の生活がある。
人の姿はまったく見えないけれど、その気配を感じる。

ここはあまり観光客がどかどか入っていっていい場所ではない。
人の家にお邪魔するぐらいの気持ちで立ち寄るのがよいと思う。



D3B_1609-150610-web-fin


この島にはなんと酒屋さんが1軒あるという。
港で釣りをしようとしていたお父さんに聞いたのだ。

飲食店も八百屋さんもないのに酒屋さんがある。
なかなかすばらしい島ではないか!!

「ビールビール!! よーしその酒屋までいこうじゃないか!!!」

そんなわけでわれわれは島唯一の酒屋を探していた。



D3B_1607-150610-web-fin


「こんな細い路地の奥に店なんかあるのか」
「あともうちょっとだけ行ってみようか」

そんな会話が出た。



D3B_1598-150610-web-fin


そして、ついに酒屋さんを発見!!!

「あったあ!!!! あったよぉ!!!!」
「隊長、中の冷蔵庫でビールが冷えてるよ!! やったああ!! 見つけたよぉ!!!」

われわれの目的は銭湯である。
が、われわれは細い路地を十分すぎるほど歩いた。
汗を流した。
隊長のワタクシも二日酔いが完全に抜けて「のみたい!」と思った。

そして戸を開けようとすると・・・・ガシッと鍵がしまっていた。
嘘だろ、と思った。

「うそ、やすみ!!?」

写真師はぴょんぴょん飛び跳ねて店の中を覗きこみつつ、「すいませーん、誰かいませんかあ! ビールが欲しいんですけどお」と叫んだ。

が、返事はなく何も動かない。
ただ戸の向こうの冷蔵庫の中でビールが汗をかいて冷えていた。



D3B_1658-150610-web-fin


いまこの島でビールを売っている店はない。
ビールを飲むためには、島民の家を1軒1軒訪ねて「ビール1本おめぐみください〜」としがみつくしかないのだ。
飲めないとなるとますます飲みたくなる。
ゴキュンゴキュンと喉を鳴らして流し込みたくなる。
ビールビール。
ああ、いかん、ワタクシまで写真師のようになっているではないか(笑)。



D3B_1662-150610-web-fin


港の船の待合室。
チケット販売はすでに平成26年に終わってしまっている。
昨年までここで乗船券を売っている人がいたのだ。
船を待つお客さんとの語らいが聞こえたのだ。



D3B_1680-150610-web-fin


が、船を待つのはわれわれだけであった。
結局、間崎島で人にあったのは釣りをしようとしていたおじさん2人だけであった。



D3B_1700-150610-web-fin


時間通りにやってきた定期船に乗り込んだ。
先程と同じ船であった。
あちこち循環してまたここへ戻ってきたのだ。
というわけでカジを握っているのも同じ船長であった。

もう屋上のテラス席へはいかなかず、エアコンの効いた客席で涼んだ。

「和具に着いたらまずビールを飲もう」

みんな同じことを考えていた。

次回、銭湯がチラリでも出せればいいなあと心から思う(笑)。