銭湯いこにVol.44「志摩編④〜だけどボクたちにはお湯がない」

投稿日: 2015年06月18日(木)09:38

001写真/写真師マツバラ(松原豊) テキスト/サルシカ隊長(奥田裕久)



志摩を定期船でめぐる旅が続いている。
賢島〜間崎島〜和具へと船を乗り継いできた。
もうお昼過ぎだが、たい焼きを食べたのでとりあえず空腹というわけではない。

このシリーズも今回で4回目である。
さすがにそろそろ銭湯を訪ねなくてはならぬのではないか。
読んでくれている人も「いい加減にしろ!」と思っているのではないか。

サルシカ隊の総責任者である隊長のワタクシは密かに不安になっていたのである。

そんな時、ケロリンが唐突に「じゃ、そろそろ銭湯へいきましょうか」というのである。
前触れもなんもなしにである。
しかも、そこはたい焼きを食べたお店から歩いて数分のところだという。

「もー! あるならあるって言ってよ〜、ケロリン〜」とワタクシ。
が、ケロリンは浮かぬ顔で、「銭湯はあるんですけど、お湯がないんです」という。
つまりもう営業していないのだ。

「でも建物はそのまま残っていますから、とりあえず行ってみましょう!」

われわれはあまり気持ちが盛り上がらないままその銭湯へと向かったのであった。



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元銭湯だったところは、和具のバス通りに出てすぐのところにあった。
ガス屋さんの奥がそうで、ガス屋さんが経営していたのだという。



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銭湯の名は「常磐乃湯」。
ケロリン桶太郎のHP「いこに!三重県の銭湯」を見てみると、ケロリンは2004年にこの銭湯を訪れ、湯船に身を浸している。
10年前までは確かに営業していたのだ。

>>ケロリンのHPで「常磐乃湯」の情報を見る

隣のガス屋さんを覗くと、若い店主らしき人がいた。
銭湯の中を見せてもらいたいとお願いをすると、こころよく了解してくれた。

少し店主さんにお話を聞くと、ケロリンが入った直後に営業をやめていた。

「地元の人ですごい賑わっていていいお風呂だったんですけどねぇ」

ケロリンはつくづく残念そうに何度も言っていた。



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風呂場を覗かせてもらう。
覗かせてもらうのであれば、やはり女湯から。
これは男のサガである(笑)。



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銭湯の中は営業していた時のままで、物置となっていた。
荷物を片付ければすぐさま営業できそうな感じである。



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料金表も当時のまま。
10年前は300円だったのだなあ。
2015年の今、三重県の銭湯は基本400円の入湯料である。



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湯船もそのまま残されていた。
ホコリもほとんどかぶっておらずきれいなまま。
せっかくなので入らせてもらう。

「ふひ〜」

と言ってみるが、やはり寂しい。
ここで汗を流せたらどれだけ気持ちのよいことか。



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2004年にここを訪ねた時のケロリンのレポートを引用しよう。



ガイド
国道260号線のバイパスと旧道が志摩町役場で合流し和具の街中へと進みます。
途中和具浦へ抜ける繁華街に至る交差点がありその少し先の右側が常盤湯さんです。

外観
住居兼店舗兼銭湯の複合型ビル銭湯で入口は建物中央部にあります。

内部
あまり広くない脱衣所にはロッカーだけでは足らないのか丸籠が置かれていてロッカーよりも利用する人は多いようです。
また湯あがりの洗面台になぜか伊勢崎市のパチンコ店の平桶がありました。

風呂場
左右にカランがあり奥の壁面が浴槽になっています。
湯桶は南志摩浴場組合の宣伝入りで和具サクラホールというパチンコ店の名前が底面にあります。



マニアックなレポートである(笑)。



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「本当にたくさんの人でにぎわってたんだよなあ。
 惜しいなあ、本当にいい風呂なのに・・・」

ケロリンは自分でも写真を撮りながら何度も何度も言う。
たぶん彼の目には、ここで湯に入り、身体を洗い、裸で笑って語り合う地域の人たちの姿が見えているのだ。



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ようやく銭湯に入ったのに、汗を流すことも出来ず、気持ちもどんよりしたままであった。
気分を変えて、明るく旅を続けようではないか。
そのためにはおいしいものを食べなくてはいけない。
そしてビールだ!(笑)

いつもなら安い定食屋を見つけて飛び込むわれわれであるが、今回はあえてお寿司屋さんに入ることにした。
くるくる回っていない本物の「大黒屋」さんである。



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まずはビールでカンパーイ!!!
二日酔いのワタクシと反省中の中谷の父ちゃんは、この日はじめてのビール!
ケロリンと写真師は賢島を出発した定期船で飲んで以来(笑)。

離島を歩きまわり、和具でも結構歩いたのでもう喉からから。
液体と泡が全身をめぐる。

「か〜〜〜!!!!! うんめえ!!!!」

4人が一斉にそんな声をあげたもんだから、店のお母さんが笑っていた。



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ケロリンと写真師が注文したのは上握り。
注文をした時、お母さんが「うちの寿司はワサビと醤油じゃなくて、甘ダレとカラシなんですけど、それでいいですか?」と聞かれた。
話を聞いてみると、志摩市和具の寿司がすべてそうではなく、このお店のオリジナルだという。
先々代のおじいちゃんがはじめたときから、このお店は甘ダレとカラシだったらしい。
せっかくなのでそのオリジナルで勝負。



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甘ダレにカラシを溶いて食べるのが本流らしい。
注意したいのはここのカラシ。
本気でガツンとくる。
そこらへんの和ガラシと同じようにたっぷりつけると、泣く。
ケロリンも写真師も泣いていた(笑)。

が、うまい。
昔なつかしい寿司の味がする。
ずっと記憶の底に眠っていた何かにスイッチが入ったみたいな感じである。



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隊長のワタクシと中谷の父ちゃんは、そぼろ寿司。
とある魚のそぼろで、それが何かは聞いたのであるが企業秘密だというのでここには書かない。
これもしみじみとうまい。
いろんな魚でそぼろをつくったらしいが、その秘密の魚じゃないとこの味とふんわり感は出せないそうだ。
こちらもカラシと甘ダレでいただく。

来年はこの伊勢志摩でサミットが開催される。
もう今から注目されている地域である。
三重に暮らすわれわれだからこそ、海外メディアも大手国内メディアもなかなか気づかないであろう、小さな店やイベントの情報を提供していきたいものだ。


大黒屋
住所:三重県志摩市志摩町和具3039-2
電話:0599-85-0366
営業:不定(ランチ営業)(不定休)



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さて。
お腹がいっぱいになった。
ビールもひとり2本ずつ飲んでしまっていい気分。

和具から御座まではバスの旅である。
定期船でめぐる志摩の旅はまだまだつづく。