女性たちが血に飢えたケモノのように「ふんがーっ」と猪肉の足に食らいつき、互いに「がるるるるるぅ」と威嚇しながら肉を奪い合っていた。
砲丸投げの記録保持者である寿実ちゃんが、腕力で奪いとった肉をくわえ、秘密基地をのしのしと歩いている姿をみて、まわりの男性たちは悲鳴をあげて逃げていた。
まさに末期的な光景であった。
アルコールと肉は人をここまで変えるのだ（笑）。
「はい、おまたせしました〜、オックステールスープができましたよ〜」
大きな寸胴を持ってキッチンから出てきたそのシェフ森田の声で、女たちは人間の世界に呼び戻された。
酒に酔い、夢うつつになっているものも、現実に引き戻された。
そしてのそのそと立ち上がり、まるで配給を受けるようにオックステールスープの列に並ぶのであった（笑）。
これが、冥界から人を呼び戻した奇跡のオックステールスープ。
その濃厚で透き通った味わいのスープを一口飲めば、もう胃袋から生き返る。
熱い旨味が口にひろがり、食道を伝わり、そして胃袋から全身に広がる。
「くは〜〜！」
誰もが声をあげた。
骨からこそげ落ちる肉もたまらぬほどうまい。
胃袋が鉄で出来ている者たちは、このスープにごはんを投入し、ずずずずずとすすっていた。
そして至福のため息をついていた。
昨年、美里に劇場をつくり、活動の拠点を東京から三重県津市に移した第七劇場の面々が、ずいぶん遅れてやってきた。
芝居のワークショップをこの津でやっていたという広島の劇団といっしょであった。
まだ手付かずのままであったローストチキンを温めてドカーンとテーブルに出して歓迎する。
生ビールもワインも日本酒も焼酎も出しておもてなしする（笑）。
この頃から、やすからに夢の世界へと落ちていく者たちが続出。
ヴァナゴン太田はハンモックでゆらゆらと夢の中。
バルーン海原はイスにもたれたまま夢の浪漫飛行（笑）。
大山さんもいつのまにか離れたソファで気絶中。
こっちはイスと意識から滑り落ちて、そのまま地に張り付いてしまった2人。
とても大人の所業とは思えない（笑）。
が、この日。
一番アルコールにただれたサタンと化したのはこの男であった。
中谷の父ちゃん。
いつもなら真っ先に倒れて寝てしまうのに、この日は体調がよかったのかずいぶん遅くまでがんばっていた。
その分アルコールが思考を乱し、ダークサイドへと落ちてしまった（笑）。
写真は、誰かれ構わず、頭突きを食らわせている中谷の父ちゃん。
「オレの石頭はすごいんだぞ、どれ、試してみようか」
と、言いつつ本気で頭突きをかますのである。
「ゴッ」
という音がして、頭突きをくらった相手は見事によろめく。
それを見ると、中谷の父ちゃんは満足気に笑って次の相手を探すのだ。
「わー、くるなくるなぁ！！！」
「ゴッ」
「ぎゃ〜！！！！」
「ああああああ、助けて、私はカヨワイ女なんだから・・・」
「ゴッ」
修羅場であった。
これを修羅場と言わず何を言うのであるか。
何人もの頭突き被害者を出しておきながら、唐突にコト切れたかのように寝る中谷の父ちゃん。
軽トラの荷台でシートをかぶって寝ている。
頭突きの悪魔が寝たかどうか決死の覚悟で撮影された写真。
ああ、神よ、頭突きの恐怖は去ったのだ・・・（笑）。
こうしてビアガーデンは終わった。
多大な犠牲者を出して（笑）。
翌朝。
夜中に降りだした雨があがっていたが、霧が重く立ち込めていた。
まだ6時にもなっていないのに、基地からは明るい声が聞こえていた。
ゴキゲンに片付けをする父ちゃんの声である。
基地には10人近くの人が泊まっていたらしい。
そのほとんどが二日酔い。
頭も胃も、この霧のように重かった。
シェフ森田もゲンキであった。
朝から楽しそうに鼻歌を歌いながら朝食の準備をしてくれる。
なんとフルーツの盛り合わせ！！
ここはリゾートホテルでしょうか！
それとも高級クラブ？？（笑）
「こんなの錦のクラブで注文したら3万は取られるぞ」
などと、朝からアホな話で盛り上がる。
朝食のメインは、しじみの味噌汁と、きのうのテールスープでつくった雑炊。
同じ器に入ってるからわかりづらいだろうけれど、これがうまかった。
しみじみと。
みんな二日酔いでメシなど食えぬと言いつつ、おかわりをしていた。
幸せは飲んでいるときも感じるものだが、飲んだ朝こそ改めて染み入るものなのだなあ。
みんな、本当にしみじみと、しずかに、今の楽しさを噛み締めて、ビアガーデンイベントは終了したのであった。
料理を担当してくれたシェフ森田さん！
本当にありがとうございました！
さて。
ビアガーデンイベントは8月にも開催の予定です。
22日ないしは29日の開催になるかと思います。
次回は、屋台を囲んでのビアガーデン！！！！！
今回参加した人も、出来なかった人もぜひご参加ください〜！！！！！
