2008年2月22日(金)深夜~2008年2月23日(土)未明
-最初は遠足気分だったのに-
冬でもアサリが採れる。
いやいやそれどころか冬の方がアサリの身がプリプリしていてウマイのだ、という情報を、M子とバカエミの二人がどこからか聞きつけてきた。
そこで、大潮である2月23日の土曜日、隊員およびその家族で、東海地方でも指折りの潮干狩り名所である三重県津市の御殿場海岸に「寒中潮干狩り」にいこうではないかということになった。
無論、その段階では昼間の話である。
23日の干潮の時間は午後1時5分。
「じゃ、午前11時に各自お弁当と水筒をもって海岸前に集合ね」などと、完全に遠足気分だったのである。
なのに、何の運命のいたずらか。
楽しい遠足は、忍耐と悶絶のバトルロワイヤルとなっていくのである。
前日の22日(金)。
隊長の私と妻のM子は、明日の戦いの場となる御殿場海岸を視察した。
言っておくが、決して抜け駆けしてこっそり掘りにいったわけではない。
隊長たるもの、常にみんなより一歩先を見ていなくてはならないのである。サルシカ号や隊員たちの車の駐車スペース、そしてトイレなどの確認をしなくてはならないのである。
忙しくて面倒くさくて、イヤでイヤでたまらなかったけど、隊長だから仕方なく行ったのである。ホントである。
浜にいくと、ウェーダー(胴長靴のことね)をはいたおっちゃんたちが何人もいるのである。
本日の干潮まではまだ2時間以上もあるが、もうすでに準備万端で、右手にジョレン、左手にバケツを持ち、ワクワクソワソワしているのだ。
こういうおっちゃんたちに何故かM子はモテる。
おっちゃん達は、夫の私のことなど完全に無視して、M子を波打ち際へと連れていき、アサリがとれるスポットなどを教えるのである。
M子がおっちゃんたちに聞いた情報によると、
「いま確かにアサリは採れる」
「確かに身はプリプリでウマイ」
しかし・・・と続くのである。
知っている人にはごく当たり前の話であろうが、潮の満ち引きは1日に2回ずつある。
ややこしい話はバッサリ省略するが、極端にいうと、春から夏は昼間の干潮の方がよく引き、秋から冬は夜中の干潮の方がよく引くのである。
アサリは年中ずっと海にいる。
しかし潮干狩りが春先から夏までベストシーズンといわれているのは、この潮の状況と、あとは私たちが水に入って心地よいか否かが大きな問題であったのだ。
その話を聞いてM子はすぐさま決断した(いやそれは隊長である私の仕事なんですけど・・・)
「潮干狩りは今晩に変更よ! ただちにみんなに連絡!」
もはや私には決定権も命令権もないのである
こうして「寒中潮干狩り」は、「真夜中の極寒潮干狩り」へと変更になったのである。
M子から緊急連絡を受けたバカエミは、
「ええ~、今晩!? そりゃ行きたいけど・・・私も一応3児の母やしなぁ・・・いくらなんでもカッチャン(おっさん方言バリバリのジャニーズ夫)に怒られるわぁ」
などと殊勝なことをいうのである。
しかしその後、別の用事でバカエミの仕事場を訪ねると、彼女は新品のヘッドランプをすでに頭に装着しているのである。ピカリと点灯しているのである。
「さっき銀行に行ったついでに買ってきたんさ。子どもの面倒はカッチャンがみとってくれるて。お兄ちゃんとこも一緒にOKやに。で、何時にどこ?」
もう行く気も準備も万全なのである。
一緒にいきたいであろう夫を軽やかに見捨てて、ミッドナイト潮干狩りなのである。
そしてその日の午後、仕事の打ち合わせで隊長宅を訪ねたカメラマン準は、ウェーダーを着込んでいる隊長の姿を目にするのである。
そして潮干狩りが今晩に変更されたことを知らされると、
「お前なぁ、そんないきなりな変更で、それも真夜中って、みんな無理やろぉ」
と、ごもっとものなことを言うのである。
うん、準くん、オレもそう思ったよ。
でもみんなOKだって。
M子もウェーダーとヘッドランプを買いに行ったよ。
すごい結束力と行動力だよ、M子率いるサルシカ隊って(涙)。
みんなの動きを知ったカメラマン準は、仕事の打ち合わせなどすっかり忘れ、同じく参加表明をしていた「ちゅーそん」を誘って、すぐさま釣具屋にヘッドランプと潮干がリセットを買い求めに走ったのであった。
-そしてサルシカ隊ついに出撃!-
冒頭にも書いたが、今日はまだ平日である。
お仕事バリバリの金曜日である。
なのにみんなさっさと潮干狩りの準備をしている。
本当にみんな大丈夫なのか?
遊びのまたなら家族も仕事も捨てる??
いよいよサルシカ隊の面々が深夜の海岸に終結!