「獣害用金網を張りまくれ!」第339回サルシカ隊がいく

投稿日: 2015年08月19日(水)09:39

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シカ、イノシシ、サルなど。
地方における獣害の被害は無視できないレベルになってきている。

サルシカが畑や田んぼをやっている三重県津市における近年の獣害被害額(年間)の推移は以下の通りである。

平成19年度 5,200万円
平成20年度 5,700万円
平成21年度 4,100万円
平成22年度 4,000万円
平成23年度 4,400万円
平成24年度 4,000万円
平成25年度 3,900万円

平成20年度をピークに減少しているが、依然として年間およそ4,000万円もの被害を受けている。
まさに農家にとっては死活問題。
国、県、市もその対応に追われているが、その数値、金額がすごい。

獣害対策費の推移 (防護柵の設置距離)
平成19年度 1,800万円 (52.9キロメートル)
平成20年度 2,900万円  (112.6キロメートル)
平成21年度 3,300万円 (160キロメートル)
平成22年度 4,800万円 (221.4キロメートル)
平成23年度 3,500万円 (270.4キロメートル)
平成24年度 5,400万円 (313.9キロメートル)
平成25年度 7,300万円 (359.3キロメートル)
平成26年度 1億300万円

津市郊外はもはや獣害用の防護柵だらけなのである。
恐ろしい金額と労力がつぎ込まれている。
地域に根ざすNPO法人として畑や田んぼをはじめたサルシカであるが、農業の行く末を考えると、気持ちが暗くなる。

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サルシカ第一田んぼを借りている三重県津市美里町細野地区では、防護柵や必要な金具などを現物で至急を受け、その設置作業を地域のみんなでやっている。
とはいえ、農業従事者がそもそも少ないし、高齢化もしている。
で、われわれサルシカ隊も出動となったのである。

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この日参加してくれたのは、滋賀県から徳田夫妻、薪ストーブユーザーのカラフル松田、ギターひきの丸ちゃん、鼻笛大工の池ちゃん、三津谷のお父ちゃん、たまたま基地へ遊びにやってきた芝野さん、そしてスタッフである中谷のお父ちゃんと隊長のワタクシ、計9名である。

この人数は地域からの参加者より多かった。
しかし普段イベントばかりでなかなかこうした奉仕作業に参加できないサルシカなので、ここは一気に大量投入! 秘密基地の建造計画で身につけたサルシカ型カンバン方式で、とりゃあああああと一気にやっつけてやろうという作戦なのである。

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細野地区がこの防護柵を設置しはじめたのは3年前のこと。
田んぼが広がる経ヶ峰のふもと数キロをぐるりと囲むのであるが、もうあとほんの少しを残す状況であった。

まずは金網や杭などの資材を運ぶ。
これは人数がいると早い。
あっという間に終わる。

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続いてアミを固定する杭(ポール)を立てていく。
まずエンジンつきのドリルで地面に穴を開け、そこにポールを差し込む。
そして写真にあるような道具でガコンガコンと打ち込んでいくのだ。
これが重労働。
お盆がすぎ、かなり涼しくなってきたが、汗がすぐさま流れる。

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その杭に金網を張っていく。
高さ1メートルほどのアミを上下に2枚。
つまり2メートルの柵にする。

下の作は、L字になっていて返しがついている。
イノシシは地面を掘って下をくぐる。
だから、L字の接地面にアンカーを打ち込み、それを防ぐ。

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ワタクシ以外、みんな初めての作業。
最初こそ手間取っていたが、コツをつかめば早い。
杭を打つ、下のアミを張る、上のアミを張る、資材を運ぶ・・・流れが出来ると、どんどん進む。

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流れ作業は1箇所でも手間取るところがあると、すべての作業が滞る。
だから、遅いところに人を補填し、スムーズな流れをつくる。

「いったいサルシカの人たちは普段何の仕事をしとるんや??」

地域の人たちはそのあまりのスピード、効率化に驚いていた(笑)。

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田んぼの畦から農道へ・・・
午前8時に作業をスタートし、午前10時の休憩までに、300メートルぐらいの柵が完成していた。

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が、そこから難関が待ち構えていた。
杭を打つ農道の橋がコンクリで整備されているゾーンに入った。
コンクリ用のドリルでズドドドドと穴を開け、そこに杭を打ち込んでいかねばならない。

この作業が大変。
一気にスピードが落ちる。

ポールが進まないと、他の作業も止まってしまう。
で、みんなでアミ張り作業にシフト。
人数がいるので次々に進む。

コンクリ穴あけ係は「もっとゆっくりやってくれ〜」とすごいプレッシャーの中で作業を続けるのであった(笑)。

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が、お昼までにその地獄のコンクリ部分もクリア!!
金網も上下すべて張って午前の部、完了!!

どうだどうだ、サルシカ隊だってやるときはやるのだ!?
酒を飲んで暴れているだけじゃないのだ(笑)。

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お昼は、隣の集落にあるサルシカ秘密基地に戻ってお昼ごはん。
手伝ってくれたみんなにこころばかりのおもてなし。

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サルシカの畑で採れた野菜を中心に!
サルシカ農天カフェのメニューを楽しんでいただいた。

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午後。
キリのいいところまでやってしまいたいという営農組合長の要望を受け、2時間ほど残業!
トータルして500メートルほどの防護柵を張ったであろうか。
疲れたけれど、達成感があった。

この防護柵が完成すれば、それぞれの田んぼを囲っている電柵などがいらなくなる。
作業が楽になるし、景観もよくなる。

あと、もう少しだ。

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「おーい、クマが入ったぞぉ!!!!」

山へ出入りするための口から走りこんで遊ぶのは隊長のワタクシ。
この出入口には、わずかに穴を掘り、そこにグレーチング(大きな網目のやつね)で置いて橋みたいにするという。
こうすると、ケモノたちは怖がって中に入らないのだそうだ。

なるほど。

いろいろ勉強になるな。

さて。
9月になると、いよいよ稲刈り!
またみなさんのご協力、参加をお待ちしております〜!!!!!