確かわれわれは次期プロジェクトのための店舗を探しているはずであった。
が、いつの間にか商店街の探索になってしまっているではないか。
しかし。
津の九龍城と呼ばれる(勝手にわれわれが呼んでいる)大門商店街のうえに、なんと住居があるという!
しかも見学をさせてくれるというではないか!!
ここで脱線せずに、どこで脱線せよというのか!
といわけで、われわれは正々堂々と脱線!
その不思議な空間とやらを見せてもらうことにした。
「ここからあがるんですよ」
と、近澤さん。
商店街の外にさりげなくある階段を登っていく。
誰もがすぐさま気付くようなところにあるのに、これまで気づかなかった。
突然ぽっかりと開いた魔法の国への入口のようだ。
階段は信じられないほど急であった。
まるで入る人を拒むように。
今回われわれはこうして取材させていただいたが、興味本位であまりフラフラ入らないでいただきたい。
人が住んでいる空間なのだ。
今回は近澤さんに住民の方何人かに声をかけていただいたうえで上がらせていただいた。
そしてここが商店街の上。
まさかこんな空間がアーケードの上にあったとは!!!
小さな町がそこに存在した!!
かなり空き家も目立つ。
荒れている部分もあるが、きれいに整頓されたところもあり、不思議な感じ。
ここだけ時間が止まっているかのよう。
まさに昭和の世界だ。
さらに階段を登って3階というか屋上へ・・・。
間近に津観音が見えた。
こんな角度からみるのははじめて。
この階段をつたってアーケードを渡ることもできる。
かなり錆びていたので渡るのはやめておいた。
屋上で近澤さんとこの商店街の魅力について語る。
いろいろ問題があるのかも知れないが、それにしてもここはすばらしい。
まさに本物の昭和のテーマパーク!
小さなお店を次々に並べていく・・・・。
地域に少しずつ賑わいを生み出し、大きな渦にしていく・・・。
ああ、われわれが描いている夢の世界がここにあるではないか!!!
具体的なことはまだ何もみえないけれど、とにかく「いっしょに何かやりましょう!!」ということで近澤さんと固い約束をする。
きっとここから、何かがはじまるに違いない。
時間はかかるだろうけれど、そんな予感がする。
こうしてディープな大門商店街の探索は終わった。
大満足であったが、肝心の店はまだ決まっていない。
困ったものだ(笑)。