写真/トイレの前田さん 文/サルシカ隊長
もう子どもと同じなのだ。
新しいものがやってくると、すぐに使いたくて使いたくてたまらない。
たとえ雨であろうとも、雪が降ろうとも、われわれは行くのである(笑)。
高級ゴムボートのパックラフトが届いた翌日。
中谷の父ちゃんと隊長のワタクシは、試し漕ぎに出かける予定を組んだ。
最初は池かダム湖にパックラフトをそっと浮かべ、その機動性などをチェックしようと思っていた。
すると、
サルシカ秘密基地のトイレを作り上げた「トイレの神様」こと前田さんが、
「明日は休みで暇だから車を出していいよ。
ゴムボートのピックアップ係をやろうか」
と、申し出てくれたのだ。
いきなりのチャンス!!!
が、天気予報は非情にも雨。
で、朝6時の段階で雨が降っていたら中止。
でなければ決行!
ということで、その日の朝を迎えたのである。
朝。
今にも雨粒が落ちてきそうな曇天であった。
一瞬どうしようかと迷ったが、中谷の父ちゃんはすっかり着替えて行く気まんまんの状態(笑)。
「いきますか?」
「無論!」
てなわけで、中谷の父ちゃんの軽トラに道具を放り込む。
すべて放り込んでも上の写真の状態。
パックラフトは重さが3.4キロと非常に軽い。
しかも小さく折りたためる。
パック(リュックね)に入れて持ち歩けることから、パックラフトと名付けられているのである。
さて、
今回くだる川であるが・・・・
津市の雲津川!
Wikiで調べてみると・・・・
奈良県との県境に位置する三峰山に源を発し、八手俣川や長野川、中村川などを併せ伊勢湾に注ぐ。
河口には雲出古川との間に三角州がある。
上流の支流八手俣川には君が野ダムがあり桜の見所として知られている。
雲出川上流にはリバーパーク真見という施設及びキャンプ場があり下流には瀬戸ヶ渕と言う渓谷がある。
津市香良洲町の河口にある正三角形に近い形をした三角州は、教科書で採りあげられている事例がある。
歴史的には、江戸時代には津藩主を慰める「鮎とり行事」が催されていたといわれ、そのことから鮎釣りで名高い川にもなっている。
毎年8月1日に行われる「万灯流し」は、鮎に感謝をこめる意味合いがある。
ということである。
三重県の県庁所在地である津市を流れる川の中でも、一番自然豊かな山あいを流れる川である。
しかも。
サルシカ秘密基地がある津市美里町から、なんと車で30分も走らないうちに到着できてしまう川である。
今回は榊原ゴルフ倶楽部のすぐそば、亀ケ広という桜並木で有名な河原からアプローチすることにした。
パックラフトのピックアップ・ドライバーを務め、なおかつ地上から撮影するカメラマンを担うトイレの前田さん。
協力ありがとうなのだ。
亀ケ広の河原でパックラフトを組み立てる。
といっても、電動の強力ブローで一気にふくらませるだけなので、あっというまに完成!!
このお手軽さがいい!
ちなみに写真左が、中谷の父ちゃん。
そして右がサルシカ隊長のわたくし、オクダね。
片手でひょいとつかみ、川へと運ぶ。
風がなければ、女性でも簡単に運べる重さである。
大体カヌーの場合だと、川にカヌーを浮かべた段階で汗だく。
もうひと仕事終えた感じになってしまうが、パックラフトの場合は川での勝負に体力を温存できる。
新品のパックラフト、KOKOPERRIのキャストウェイを川に浮かべる。
「さあ、いよいよ出発だ!」
しばし、いろいろ試して漕いでみる。
船底が平べったいゴムボートだから当たり前だが、非常に挙動性がいい。
パドルを入れると、敏感に反応する。
思っていた方向に頭を向けてくれる。
扱いやすい船だ。
安定性はもちろんいい。
船のうえで動いてもバランスが崩れることはない。
問題の直進性であるが、これが思っていた以上にいい。
期待してなかったこともあるが、かなりしっかりと前に進む。
ダッキーと同じく尻は左右に振るが、右に左に暴れることはない。
「いやー、いいんじゃないの、この船!」
「いいよいいよー、これなら本格的な川下りもできちゃう」
「もう最高だね!」
「うんうん! 最高最高!」
などと浮かれていたら、すぐさま出てきた瀬に突入。
いきなり、かなりの段差を落ちる。
「ぬわあああああ!」
中谷の父ちゃんはよそ見をしていて、後ろを向いたまま瀬に突入したが、沈(ちん)なし。
水も入り込むことなく、するとかわしてくれた。
が、雲出川は浅いところが多く、また大きな石や岩がごろごろしているため、ときおりケツにガツン!と岩の頭があたる。
船は大丈夫だが、ケツが大丈夫じゃない(笑)。
で、近くの河原に船をつけ、シート部分のエアクッションの空気を追加していれる。
最初はあまり入れすぎるとクッション性が悪いかと思ったのだが、結構パンパンに入れておかないと、岩の頭の衝撃がそのままケツにくる。
かなり船底をこすったので、チェックをしてみたが、大きな問題なし。
思っていたよりこの船は丈夫そうである。
再び川に出る。
水が増え、流れが緩やかになってきた。
雲出川は、上流にも民家が多いので、決して水質がきれいとはいえない。
が、ときおり目の前から人工物がすべて消え、覆いかぶさる緑と水面だけになることがある。
これぞ川下りの醍醐味。
ああ、気持ちいいなあ、と心から思う。
まだこの時点で午前7時半(笑)。
しかも金曜日。
川と並走する県道に、ようやく通勤の車が目立ちはじめた。
運転手さんが「なんだ?」という顔でこちらを見ているのがわかる。
すまぬすまぬ。
平日の朝からすまぬ。
川の流れも、心も、おだやかに、静かに流れる。
そしてこのままゆるゆると、後篇へとつづくのである。
一部ですが、動画版もあります。
こちらをどうぞ。