これは鶏白湯ラーメンである。
サルシカ秘密基地の用務員で、農作業員である、中谷のおとうちゃんがつくった渾身の作品。
最初に言っておくが、かなりうまい。
そりゃあ、三重県トップクラスのあの店やその店にはまだまだ足元にもおよばないけれど、そこらへんにあるチェーンのラーメン店と比べたら、第1コーナーぶっちぎり! 余裕のパスなのだ。
コトコトと煮出したスープ。
あえて詳細は書かないが、最初にダッチオーブンを使うことがおいしさのポイントであるらしい。
そして馴染み深いある食材を使用することによって、うまみとコクが増す。
とろみがついて麺にからみつく。
麺をすすり、スープをすすり、「ああああああ」と感嘆の声をあげるのだ。
見ていただければわかると思うけれど、父ちゃんのラーメンは鶏系と昆布魚系のダブルスープ。
この9月。
降り続いた雨で農作業がまったく出来ず、暇を持てあました中谷の父ちゃんは、サルシカ秘密基地のキッチンに閉じこもり、スープを煮出す日々であったのだ(笑)。
そして、ひとつの方向性を見出した。
いわゆる黄金比のような味のバランスを、ラーメンスープの中に見つけたのだ。
そこから、もはやサルシカの定番となった「脱線・逸脱・迷走」の人生がはじまったのである(笑)。
サルシカ秘密基地では、軽自動車をベースにした軽キャンカー制作の日々が続いている。
ここしばらくは、仕事を終えた大工の坂下さんが暗くなってから秘密基地にこもり、こつこつと軽キャンカーの木工部分を制作しているのである。
この日。
隊長のわたくしは用事があり、秘密基地に戻るのは夜9時になるかならないかという時間であった。
いつもなら、大工の坂下さんと「あーでもないこーでもない」と相談しつつ作業をしているのに、今晩はまかせっきりで申し訳ないなあと思いつつ、急いで車を走らせたのである。
が・・・・。
秘密基地に戻ると、なぜかたくさんの車が駐車場に止まっており、何人もの人間がデッキでテーブルを囲んでいた。
そして楽しそうに談笑しながら、ラーメンをすすっていたのだ。
もちろん大工の坂下さんもその中にいた。
サルシカ軽キャン制作企画において、木材調達と食事担当をしている中谷のお父ちゃんは、毎晩作業に励む大工の坂下さんに手作りラーメンを食べさせようと、この日も朝からスープを煮出していたのだ。
が、ラーメンをつくるとなると、どうしても6杯から10杯程度のスープを一度に煮込む。
で、ラーメン試食会と称してFacebookで呼びかけたところ、夜だというのに何人もの人間が秘密基地へ駆けつけてきたというのだ。
恐るべしラーメンの力である。
しかも。
ラーメンをつくるにあたっては、わけのわからんドラマ設定がなされていた。
ラーメンを作るのは、異国からやってきた留学生ぽぽちゃん(中谷のおとうちゃんね)。
彼は農業の勉強にはげむ一方、生活費を稼ぐため、ラーメン店で夜な夜な働いているのだそうだ(笑)。
何に対して一生懸命に取り組むぽぽちゃんは、ついにラーメンの湯切りの技のひとつである「天空落とし」を身に着け、農作業で痛めた手首をかばいながら、「おりゃあああああ!」とアミを振るうのであった。
もうここまでくると、申し述べることがない。
好きなだけやってなさい、という感じである。
そんなぽぽちゃんの渾身の作が、こちらのラーメン。
今晩は、鶏ではなく、豚で勝負!
とろみとんこつ風。
そのとろみは、すさまじく、天◯一品のあのスープを凌駕するほどである。
鶏白湯に比べると、完成度はまだまだであるが、これはこれでイケるのである。
そのぽぽちゃんラーメンを食べようと、この夜中、山中の秘密基地にやってきた面々がまたすごい。
東海地方だけにとどまらず、もはや日本中のラーメンを食べつくす勢いの大食漢ちよぞーさん。
1日3食ラーメンを食べつつ筋トレをしている炭水化物筋肉男のみずのっち。
三重を代表するラーメン通が来ていたのだ。
そこにもはや伝説のグルメブロガーとなりつつあるM子も参戦!
すさまじい試食会になっていたのであった。
このラーメンにはデフォでサルシカの新米ごはんがつく。
とろみとんこつスープに浸した海苔でめしを巻いて食べるのだ。
そりゃあうまかろう。
しかし。
留学生ぽぽちゃんは何をめざそうというのか。
われわれサルシカはどこへ向かおうというのか。
すごいメンバーが結集し、麺、スープのブラッシュアップがなされた。
噂によると、10月2日のサルシカ新米収穫祭の日の夜、またまた特別ラーメン試食会が開催される予定であるという。
新米の収穫会になぜラーメンなのか。
その意味を知っているものは誰もいない(笑)。
まあ、ここまで来たら突き進むまでだ。
がんばれ、ぽぽちゃん!!!