いよいよ町の中心地へ・・・。
これまで以上に川はひどくなるのか。
もう耐えられないよ、これ以上は!
今回、岩田川をくだっていて気づいたことがあった。
それは誰も川を眺めていないこと。
橋を渡っている人はいるが、みんな匂いと光景を避けるように急いで渡っている。
マンションの窓からも、堤防からも、橋からも、本当にどこからも眺めている人がいないのだ。
挨拶をする人も、話を聞く人もいない。
まるで地上から人が消えたようだ。
なんだから見捨てられたような気分になる。
川に意思があったら、たぶん同じ思いであろう・・・。
ようやく見つけた人は、測量の人たちであった。
仕事じゃないと、誰も見ない川、それが岩田川なのである。
川が汚いから無関心になったのか。
無関心だから川が汚くなったのか。
午前11時を超えた。
少しずつ潮が満ちてきている。
まだ逆流とはいえないが、水の流れはまったく止まり、一生懸命パドルを漕がないと進まない。
橋げたには牡蠣がいっぱいくっついている。
このあたりは既に海水が入り込んでいるのである。
海水が出たり入ったりしているせいか、匂いもゴミも逆に目立たなくなってきた。
いよいよ津市の中心地へ!水上マーケットといわれている地域を背景に・・・。
水面から見ると、普段より建物が高く見える。
おお、津市がいつもより都会に見えるのだ。
橋はたくさんの車が行き交い、ビルもたくさんあるが、やはり川を見ている人はいない。
つまり私たちに気づいてくれる人はいない。
こんな辛い思いを(勝手に)してるのに・・・女子高生のひとりかふたりが通りかかって、
「がんばってー!!」
と応援してくれっていいじゃないか、なんてイジケた気持ちになってくる。
特に芸人の染弥さんは、人に見られてナンボの商売である。
その思いは私より強いらしく、川に面した窓に向かって「コンニチワー」を連発していた。
しかしよく考えてみれば、まさか川から挨拶されるとは誰も思っていないので、たぶん家の人は玄関に「はーい」と走っていて、誰もいないので「ま、いたずらね!」などと怒っていたかもしれない。
だとしたら、非常に申し訳ないのである。
この場を借りてお詫びするのである(笑)。
ディレクターのビデオテープが途中でなくなり、ADが考えに考えた結果、編み出したひも付きパス!
しかしあえなく水面に落下!
「ああああああああああああ!」
みんなで悲鳴をあげている瞬間である。
国道23号線にかかる岩田橋をまもなくくぐる・・・。これももちろん初めての体験!
染弥さんが大声で挨拶したら、ようやく足を止めて返事をしてくれたおばちゃんたち。
この二人が最初で最後。
それも無理やり川の方を向かせた・・・という結果であった。
23号をこえて情緒ある阿古木橋へ・・・。
川幅が一気に広くなる。
前方に海の広がりが見えてきた・・・!!
海の少し手前で上陸!
津の中心地が見渡せる。背後の山は経ケ峰。
岩田川の河口付近はアサリ採りの人たちでいっぱいであった。
キレイとはいいがたいが、海水が入り込んでいるおかげで、ヘドロ地獄の中間地帯と比べると、かなりマシ。
みなさん、大粒のアサリをとってます。
ドブ川だ、ヘドロだって言ってちゃイカンです。この川はまだまだ生命力豊かなのですね。
地元のおじいちゃんにインタビュー。
この川は30年ほど前までは泳げるほどキレイだったという・・・。
岩田川くだり完了!
テレビ撮影もすべて完了!
さあみんなで片付けるべ。
今回、岩田川をくだって思ったこと・・・。
それはやはり、川を眺めている人が本当に少ないということ・・・。
大げさなことを書くけれど、人は川と共に生きてきた。
文明は肥沃な川岸で誕生し、多くの音楽、絵画が川の流れから誕生した。
川は人の生活を潤し、癒すはずなのに・・・。
もうひとつ驚いたのは、思っていた以上に生命が豊かであったかこと。
アサリもすごかったけれど、鳥の数も種類も豊富だったし、カメや魚もいた。
見た感じはヒドイけれど、
また匂いもヒドイけれど、
実はほんのちょっとの努力で、
みんなの意識改革で、
この川は生まれ変われるのかも知れない・・・と、
期待とこめつつ思った。
今度、川のそばを通りかかったとき、ぜひ川面を眺めてください。
汚れているか、きれいか。
何かがいるか・・・?
関心を持つところからスタートだと思います。
私たちもこれまで以上に「川」を見つめていこうと思います。
いつもと違ってちょっとマジメに・・・。
林家染弥さん、
三重テレビの取材チームのみなさん、
そしてサルシカ隊員のみんな、
お疲れさまでした!