いま、軽自動車をベースにしたキャンピングカーは国内でどれだけの車種がつくられているのであろうか。
軽キャンピングカーだけの専門誌も数誌ある。
その専門誌をざっと見てみただけでも、50以上の軽キャンカーが日本各地のビルダーでつくられているのではなかろうか。
サルシカにはキャンピングカーの所有者が多い。
隊長のわたくしも、10年以上、ハイマーというキャンピングカーに乗ってきた。
それだけにこだわりがある。
で、次は軽キャンカーだと狙いを定めたところで、
実際に軽キャンカーの販売店やビルダーを訪ね、実車を見て乗り込んで何台も試乗をした。
「おお!」という車は確かにあった。
「これでいいかな!」と思ったものも確かにあった。
が、テーブルの位置や、ちょっとしたレイアウトや、シートの色や、それこそ使っている素材において、
「自分の好みとちょっと違う・・・・」
と、思っていたのも事実である。
アウトドアを楽しみ、仕事で使い、そして日常の生活の足にもする車。
目立ち過ぎたらイヤだし、かといって存在感のないのもイヤ。
タフでがしがし使うキャンピングカー。
使えば使うほど味が出る車がほしかった。
これだけたくさんある既存の軽キャンカーを選ばず、自分たちでつくる道を選んだ以上、妥協はしたくなかった。
自分がとことん納得し、気にいる車にしたかった。
先日、軽キャンカーのテーブルを床に固定する金具の制作をお願いした堀井工作所へ、トイレの前田さんと共に再訪した。
「金具をつくる準備ができましたよ〜」
と、連絡をもらったのだ。
工作所というより、鉄工所といった方がいい堀工作所の作業場にベース車のエブリイを入れる。
なんかSFチックな光景。
堀井さんはまず、事前に作ってくれていた金属パーツを実際に車に当てて確認。
ぴったりとはまる。
「おお、さすが!」
と、わたくしは思わずうなったが、プロの職人さんとしたら当たり前のことなのであろう。
ニヤリと笑っただけで作業を続ける。
ネジで固定するための穴を開ける。
しっかりと採寸して、何度も確認する。
失敗したらやり直しはきかないからね。
専門的な作業がつづくので、隊長のわたくしは写真を撮ること以外に特にすることがない(笑)。
溶接用の防護マスクを見つけて遊ぶ。
作業の手伝いをしているトイレの前田さんに「写真を撮って〜〜」とお願いしてひんしゅくを買う(笑)。
一方、前田さんは前田さんで、仕事でお世話になっている堀井工作所なので、ちょいとお仕事のお手伝い中。
心優しき男なのだ。
大きな工作機械で金属板に穴を開けていく。
小さなドリルから大きなドリルへ。
どんな作業も慎重に。
堀井さんのまじめな性格がその姿に現れている。
おお、ばっちり穴が空いた。
実際に車に当ててみると、パーフェクトにはまる。
わたくしは再び「さすが!」と言ってしまう(笑)。
車内で溶接。
パーツとパーツをつなぐ。
角度を確実にとらないといけないので、実際にパーツを車に当てながら溶接する。
テーブルを支えるパイプもその角度に合わせてカット。
いろんな機械がある。
機械がなかったら、どれもこれも大変な作業である。
最終仕上げの溶接。
ジジジジジッと豪快に火花を飛ばす。
これ一回やってみたいんだよなあ。
が、わたくしが手を出すとろくなことがないのでここはじっと我慢(笑)。
パーツを最終確認。
仕上げの溶接をしている間に少しパーツの角度が変わってしまったらしい。
金槌で叩いて角度を調整。
2回めで、もうぴくりとも動かないほど、かっちりとおさまる。
堀井さん、本当にありがとうございます!!
帰り道。
ここまで調整とお手伝いをしてくれたトイレの前田さんと、東海地方のソウルフードである寿がきやラーメンへ。
まだ午後3時ぐらいでさすがにお腹が空いていなかったので、ふたりでデザート。
しかもお揃い(笑)。
ホームセンターでいろいろ買い物をしてサルシカ秘密基地へと帰る。
秘密基地へ返ってくると、いるはずの中谷の父ちゃんがいない。
テーブルボードの仕上げと、あるパーツのはんだ付け作業をお願いしていたのだが、いったいあの人はどこへいったのか。
もはや工場と貸しているウッドデッキスペースのテーブルのうえには、先ほどまで作業していたらしい道具類がそのままになっている。
「これはラーメンを食べにいったに違いない!」
トイレの前田さんは推察する。
「きっと材料が足りないかないかホームセンターへいって、そのまま大澤屋でラーメンのコースやに、これは。
たぶんもう今日は帰ってこうへんな」
果たしてその推測はかなりの角度で当たっていた。
ただし、大澤屋はすでに閉店時間を過ぎていたので、あろうことか、わたくしとM子の行きつけの割烹やまきにいき、松茸の土瓶蒸しとやらを注文してビールを飲んでやがった。
もはや確信犯的エスケープなのだ(笑)。
キャンピングカーのパーツはともかく、わたくしの妻M子に「もう我が家のお米がなくて明日の娘のお弁当のぶんもないので、申し訳ないけれど今日中に精米をしておいてくださいね」という切実なお願い事まですっかり忘れておるのだ。
我が家の明日のごはんをどーしてくれるのだ!(笑)
これは一度、きびしい反省会を設けなければならぬ。
で、前田さんとわたくしは、堀井さんにつくってもらったばかりの金属パーツと、購入してあったテーブルのパーツを塗装。
つや消しの黒でスプレーすると、一気に高級感がでる(感じがする。笑)。
そして車に金具を取り付ける。
床カバーの布を切り、断熱材をカットし、テーブルの軸をさしこむパイプを床から屹立させる。
「おお、まるでゾウさんのアレのようだな」
わたくしがそう言うと、前田さんはすかさず、
「見たことあるんかい、ゾウさんのアレ!
アホなこというとらんと、しっかりそこ押さえて!!」
ふたりがかりで作業をしていたので、このあたりの写真はない。
無事に固定できたテーブルの軸に、なぜかまだ塗装が終わっていない天板を手で添えつつ載せてみる。
「なかなかええんちゃうの!」
トイレの前田さんもご満悦。
天板の塗装、そして高さの調整がまだ残っているが、ひとまず大きな仕事が終わった。
サルシカ軽キャンカーは、着実に進んでいる。