「美里の真珠米、神宮奉納」第452回サルシカ隊がいく

投稿日: 2016年10月21日(金)20:17

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写真/松原 豊   宮田雄平       テキスト/奥田裕久

10月16日。
「三節祭」と呼ばれ、神宮の最も由緒深い祭典のひとつ、神嘗祭の日。

わたしたちサルシカのメンバーとボランティア、そして地域のみなさんと力を合わせてつくっている「美里の真珠米」を伊勢神宮に奉納させていただいた。

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きっかけは、三重大学名誉教授の渡邉明先生との出会い。

渡邉先生は、県内外の企業などが農商工の連携をはかるグループ「農商工連携を目指す会」を主宰。
毎年、神嘗祭の日に、伊勢神宮内宮に農産物や加工食品を奉納してきた。

今年で9回目。
今回は過去最大の25社が参加。

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掛川市の「掛川茶振興協会」も参加し、掛川市の松井市長も同行。
他にも「アオキーズ・ピザ」を展開しているアオキーズ・コーポレーション、相可高校まごの店、中京医薬品などなど、大企業から中小の加工業者、生産者が集まった。

こんなそうそうたるメンバーの中に弱小NPOであるサルシカも入れていただき本当に感謝している。

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なぜ奉納なのか?

それはわれわれ地域のみんなとサルシカの決意表明である。

いま、津市美里町は休耕地や耕作放棄地が驚異的なスピードで広がっている。
そのいくつかをわれわれサルシカが借り受け、地域のお父さんたちとボランティアのみんなで耕作をしている。

生活排水が入り込まない、山の清流のみでつくった米は実にうまい。
田んぼに入り、手で植え、天日干しした米はさらに甘くうまい。

しかし、米や野菜を売っても、苗代と肥料代にしかならないのが現状。
とくに最近は獣害がひどく、さらに収益が悪化している。
そして、作り手がぽろりぽろりとウロコが落ちるようにいなくなっているのだ。

なんとかせなあかん。

三重県津市美里町で米をつくる。
いまも作っていて、がんばっている人がいる。
まずはわれわれも、ボランティアも、そして地域でがんばっているお父さんお母さんたちを奮い立たせなくちゃいかん。
声援を送らねばいかんと思ったのだ。

神様にわれわれのがんばりと米を知ってもらい、そして加護を受けてさらにがんばろうと考えたのである。

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朝7時前。
内宮の入口にあたる宇治橋の鳥居前に到着した。
すでにいっしょに奉納する人たちが大勢集まっている。

われわれは早朝5時半に津市美里町のサルシカ秘密基地に集合し、高速に乗って伊勢までやってきた。
県外の人たちはもっと早く出たか、伊勢で前泊である。

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代表者が全員集まって写真撮影。
われわれも同行の写真師マツバラによって写真撮影。

午前8時過ぎ。
いよいよ奉納の行進がはじまる。

われわれは25社中22番。
30分近くまってようやくスタートとなった。

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看板を持って先頭を歩くのは、サルシカ農業部門のリーダーであり、副隊長のキヨちゃん。
看板には、「奉納 特定非営利活動法人サルシカ 経ヶ峰の清流が生んだ 美里の真珠米」と書いてある。
われわれが汗水たらしてつくった米である。

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米を担いでいるのは、サルシカ秘密基地のある美里町平木区の自治会長の野田さん。
後ろで担ぐのは、サルシカ第一田んぼを管理してくれている西川さん。

70台と60台のおっさんたちに重いものを担がせ、われわれがあとからのほほんとついていくのはいかがなものか、と思ったが、お父さんたちが担ぎたいというのだから仕方ない(笑)。

「辛くなったらいつでも行ってくださいよ、すぐ後ろの寿実ちゃんが控えてるので、すぐさま担がせますから」

そんな声をかけつつ行進する。

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寿実ちゃんは、今年まさにチャレンジの年であった。
サルシカの一大事業である「おばんざいバルすみす」をオープンさせ、ひとりで切り盛りしている。

すみすは単なる飲食店ではなく、三重県の食材をPRする場でもある。
そしてサルシカの「美里の真珠米」も使っている。

「ここまで無事にお店をやらせてきてもらった感謝の気持ちも込めて奉納したい・・・」

前夜は遅くまでお店であったが、ほとんど睡眠をとらずの参加であった。

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砂利道を一歩一歩踏みしめながら進む。
秋の冷たい風が清々しい。

身体の奥にまで冷たい風が入ってくる。
身も心も引きしまる。

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手洗い場で手をすすぐ。
奉納するお米は地面には置けないので、折りたたみの椅子を持ってきていて、それに置いている。

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奉納は神楽殿にて。

「よろしくお願いいたします」

と、われわれの米を託す。

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そのあと、内宮正殿へと移動。
25社、計250名の移動。

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ここから撮影禁止なので写真はないが、正殿の中に入って特別参拝というのをさせていただいた。
みんな初めてのこと。
いい経験をさせていただいた。

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今回の奉納で一番うれしかったこと。
それは、平木という小さな集落で米作りをつづける自治会長の野田さんと西川さんがすごく喜んでくれたことである。

「これは来年もがんばって奉納せなあかんなぁ」

と、話してくれていたのが、何よりも感動的であった。

われわれもがんばる。
たとえ険しくしんどい道であっても、なんとか継続できる道すじを見つけていく・・・。

そう決意をして頭をたれた。