「店をつくる」
普通は、業者に発注してお店の造作をつくってもらい、営業をすることをそう言う。
が、われわれサルシカの場合は違う。
本当にイチから自分たちでつくる。
解体工事からはじまり、大工工事をし、壁を塗ったり貼ったりし、そして内装のイッサイガッサイまですべて自分たちでやっていく。
先立つものがないからやっているのであるが、
もはやこれはサルシカの伝統であり、文化として昇華しつつある(笑)。
汗水流して自分で店をつくれば、そりゃあもう異常なほど愛着がわく。
しかもたくさんの仲間がそれを支え、応援してくれる。
オープン前から強力な応援団が存在してくれるのである。
こんな力強いことはない。
で、工事である。
大きな工事はイベントにして、大人数でわーっと一気にやってしまうが、そこに至るまではやたら地道である。
地道に準備をしておかないと、たくさん人が来ても作業は進まない。
だから、事前に細かいことを調査し、道筋をつくっておき、本部隊の到着を待つのである。
「歌声サロンまりりん」の女将というかママのまりりんは、ひたすら壁紙を剥がす。
朝から晩まで剥がす。
これを剥しておかないと、本部隊の塗装チームが来ても作業ができないからである。
「ああ、もう指がいたい〜、もうイヤや〜」
泣き言をいっても許さない。
作業が終わるまで店の鍵をしめて外に出さないようにする(笑)。
そんなひどいことをするのは、決して隊長のわたくしではない。
工事班長の中谷の父ちゃんである(笑)。
三重県津市大門。
大門商店街。
われわれサルシカは、その1角に一気に2店舗を出す。
1店舗は商店街が工事をし、完成後にわれわれが運営する委託方式なので、業者さんによってしゅくしゅくと工事が進められている。
その委託式店舗の隣が、まりりんのお店。
委託式店舗の店長である「みずのっち」もお手伝い。
まあ、みずのっちは、この2店舗の総括店長でもあるので、やらねばならぬのだ。
ガリガリ、ゴリゴリ。
接着剤と共に残った壁紙の薄い裏紙を剥がす。
最初のうちは笑い話をしつつゲンキにやっているが、長くやっているとどんどん会話がなくなる。
陣中見舞いのゲストがやってくると、ゲンキなポーズ(笑)。
業者さんによって工事されているみずのっちのお店は、どんどんカタチになっていく。
外側がほぼほぼ出来上がってきた。
木目をそのまま活かしたお店にする予定である。
天井もつくりはじめた。
ここにはカヌーが吊るされる予定である。
別の日。
津市美里町の山間にあるサルシカ秘密基地にマスターとママがやってくる。
おばんざいバルすみすをオープンする際、たくさんの食器や備品をもらって備蓄していたのだ。
それをそれぞれのお店のために分配。
「これは私がもらう〜」
「いやちょっと待て、それはオレが先に目をつけてたんやで!」
「そんなん名前書いてないやん〜」
「ずるいわ、まりりん〜」
みずのっち、圧倒的に劣勢(笑)。
一方、サルシカ隊長のわたくしは名古屋へ。
古い友だちで、サルシカのメンバーでもある「さっさん」が建築会社とストーブ屋をやっている。
今回、委託されるみずのっちのお店のコンセプトは、キャンプスタイルのバーである。
キャンプといえばファイアー!
そう、キャンプファイヤーが必要ではないか!!
というわけで、わたくしは店の中で焚き火を楽しめる方法を探しまくっていたのだ。
したらば!
さっさんの会社が、エタノールをつかった安心安全で炎を楽しめるストーブがあるというではないか!!!
さっさんの会社を訪ねると、なんと自社ビル!
しかも横浜や富山なんぞにも支店があるという。
で、事務所に案内してもらうと、おいおいなんだかすごいおしゃれなストーブが燃えてるぞ〜!!
「あ、これよ、エタノールストーブ。
こいつは結構高いけどね、かっこいいでしょ、ひとつどう?」
ひとつ、どうって言われてもねえ。
店の施工費、オープン費用すべて足しても買えません!(笑)
で、わたくしはいまサルシカの財政状態がいかに逼迫緊迫した貧窮状態で、ひもじい思いをしているかをとくと申し上げ、しかし理想の炎が必要なのだとお願いしたのである。
「じゃ、これなんかどう?」
と、出してくれたのが、左上の円柱型のエタノールストーブ。
これならばテーブルの中央に設置して、炎を楽しめるという。
「おおおおおおおお!!」
これならば、炎を囲んで語らい、食べ、飲めるではないか!!!
まさに理想であった。
でもサルシカにお金はない(笑)。
で、ここだけの話、
さっさんに原価(それ以下かも)で、わたくし個人に売ってもらい、それをさっさんとわたくしからお店へプレゼントというカタチにすることに。
ありがとう、さっさん、なのだ。
参考までにさっさんの会社のリンクを。
http://www.icaa.jp/
その後も工事は続いた。
まりりんのお店の天井の塗装。
「わたしなあ、お店の中はぜ〜んぶピンクにしたいのぉ!!」
てなわけで、天井もピンクに。
白ペンキに赤をまぜ、調合するみずのっち。
一度塗りしたあとの様子。
もう一度塗って、下地やムラが見えないようにする。
大工事のときに天井を塗っていると、壁塗り作業なんぞができないので、これも事前に。
その頃、お隣のみずのっちのお店にはカウンターが設置され、トイレも設置。
どんどん進んでいた。
天井も張られ、キッチン部分の工事も進む。
街にはジングルベルの音楽が響いていた。
もうすぐクリスマス。
ビッグな工事イベントの日が近づいてきていた。
中谷の父ちゃんは作業項目、必要な道具や材料を洗い出してリスト化。
津の町をぐるぐる走って調達していた。
次回からいよいよ大工事イベント。
また、あの戦いの日々がやってくる・・・・・・・!!!