おとなの悪ノリ。
これほどタチが悪いものはない。
熟年がアイドルだと言い張り、熟女アイドルのカラオケのお店をつくるのだと地団駄を踏んだ。
アイドルが踏むとかわいいが、熟女が踏むと地面が揺れる。
そこまで言うならやってみようじゃないか。
やるならとことん本気で。
本物のアイドルにしてやる〜!!!
てなわけで、なんと、お店「歌声サロンまりりん」が完成すらしていないのに、まりりんのポスター撮影をすることになったのだ。
むろんそのポスターは店のまえにででんと貼られ、名刺やポスターにも使われるのだ。
撮影場所になったのは、三重県津市美里町にある劇場「Théâtre de Belleville(テアトル ドゥ べルヴィル)」。
店の照明関係を担当してくれている「ひかりの魔術師」こと鳴海さんが率いる劇団「第七劇場」の拠点である。
そして、サルシカ秘密基地の居候劇団員「イブキング」の舞台である。
そして!
その劇場をスタジオにして待ち構えていたのは、写真師マツバラ!
サルシカ隊長のわたくしの珍妙なレポートの同行者であり、プロのカメラマンであり、一応写真の学校の教師である。
写真集も出しているし、日本のあちこちで個展もやっているプロである。
その写真師がまりりんのポスター写真を撮影する。
しかも、見よ!
この撮影の装置を!!
もう本気!!
気合入りまくりなのだ!
「うふふ、着替えてきたで〜」
いかにもアイドルらしいスタジオ撮影にうれしさを隠しきれないまりりん。
そして客席には、メイクや着替えのアシストとして控えるM子。
とんでもないお姫さまファッションで出てきたまりりんを見て、いったい何がはじまるのか、そのありえない状況に笑えが止まらない。
撮影前に、
デザイナーの橋本さん(左)、サルシカ隊長のわたくし(真ん中)、まりりん(右)と打ち合わせ。
「隊長、写真はこんな感じでいいですか」
「まかせる」
「大きさはこんなんで?」
「まかせる」
「まりりんさんうるさいんですけど、どうすればいいですか?」
「まかせる」
デザイナーの橋本さんは、参考のため、アイドルのポスターをいろいろ持ってきていた。
「やっぱり早見優だな」
「松本伊代だろ」
「いや、俺的には河合奈保子だな」
デザイナー、カメラマン、プランナーの3人は盛り上がる。
しかも橋本さんは、りんごなどの小道具も用意。
本気すぎだから(笑)。
デザイナー橋本さんがモデルになってテスト撮影スタート。
「はい、もっと色っぽく笑って!」
「こんな感じ? うっふん」
橋本さんがあえぐ。
気持ち悪い。
県内を代表するプロたちなのに、なぜこんな調子なのか(笑)。
いよいよ撮影がはじまる。
ぴぴぴぴ、パシュ!
ぴぴぴぴ、パシュ!
「もう少しアゴひいて・・・そうそう、もうちょっと右向こうか・・・目を大きく開いて・・・鼻を高く・・・で、もうちょっと痩せてみようかあ」
小さなカメラマンはさりげなくヒドイことをいっている(笑)。
「なあ、隊長、この写真ってさ、あとでいろいろ修正してくれるんやろぉ。
目尻のシワを消して、目をちょっと大きくして、頬をちょっと削ってもらって・・・・」
隊長のわたくしは、話半分・・・いや三分の一も聞いていない(笑)。
撮影した写真はすぐさま横のMacに取り込まれ、その場で確認。
奥で土下座しているのはデザイナー橋本さん。
なぜその格好なのだ。
橋本さんには、おばんざいバルすみすのロゴマークをつくってもらった他、ちらしや箸入れ、名刺などいろいろ作ってもらった。
今回も、まりりんだけでなく、ランタンもお願いする予定なのである。
衣装も変え、撮影はなんと3時間以上にわたって続けられた。
が、使う写真は1枚のみなのである。
撮影しては確認し打ち合わせ、そしてまた撮影・・・・。
すっかりわたくしは退屈してしまって観客席にごろ寝。
失礼なやつであるなあ(笑)。
どうやらいい写真が撮れたようである。
撮影後。
デザイナー橋本さんが、ランタンのロゴと看板のイメージを黒板に書いてくれる。
おおおおお、ええ感じやん!!!
すみす。
ランタン。
まりりん。
それぞれ方向性がまったく違うお店になりそうである。
さて。
どんなポスターがまりりんのお店にどかーんと貼られるのであろうか。
お楽しみに!!!!!