「店だけでなく通りをつくっていたのだ」第539回サルシカ隊がいく

投稿日: 2017年04月06日(木)09:57

「いいかね、ワトソン君。
われわれは店をつくっていただけではないのだよ。
われわれが作っていたのは、ストリート・・・そう、通りそのものなのだよ!」

誰も聞いてくれないので自分から言ってみた(笑)。

いつもサルシカは発作的に動いているので、そんな計画が最初からあったといってもそもそも誰も信じてくれないのである。
しかし、実際の話、三重県津市の繁華街、大門のどこかの飲み屋で、目をトロリとして酩酊しつつも、

「小さな店でも2軒3軒とやれば人の流れができるだろう・・・」
「せっかくだから通りの名前も変えてしまって・・・」
「いいねぇいいねぇ」
「サルシカ通りでいいんじゃない?」
「それじゃあ獣道みたいだろぉ」

などと、みんなで肩を叩き合いながら、ちゃんとではないけれど考えて盛り上がっていたのだ(笑)。

まあ、最初は、「おばんざいバルすみす」に続く2号店「キャンプバー・ランタン」をやって、ゆっくりと着手するつもりであった。
が、まりりんの登場によって、いきおいでランタンの隣も借りて3号店を出してしまった。

そして、
以前から、「大門商店街にリアル店舗を出そうよ〜、みんなで協力するからさ〜、ねーねー」と誘っていた移動販売の「串揚げまるう」が、われわれのいきおいに巻き込まれ、翻弄され、ほうほうの体で「うん」と思わずうなずいてくれたので、じゃあせっかくだし、気持ちの変わらないうちに・・・とわずか1カ月ちょっとで店を作り上げてしまった(笑)。

本当は数年かけてやろうと思っていたことであるが、いきおいで半年でやってしまった・・・と、つまりはそういうことなのである。
計画性があるのかないのか、さっぱりわからないところがまさにサルシカ的なのである(笑)。

串揚げまるう本店の工事がすべて完了して、試食&リハーサルを兼ねたふるまい会がはじまる頃、キャンプバー・ランタン、歌声サロンまりりん、串揚げまるう本店が並ぶ津市大門商店街「南通り」では、新たな工事がはじまっていた。

本当にわれわれは工事ばかりしているのだ。

で、工事で取り付けていたのはランタン。
お店の上に点々と設置されているのが見えるであろうか。
このランタンにLED電球を仕込み、それをおよそ100個、南通り周辺に設置するのである。

このランタンの取り付けにあたっては、われわれサルシカも寄付をさせてもらったが、サルシカ隊のメンバーからの個人的な寄付もたくさんいただいた。
そして津市の協力もあり、さらにパワーアップして実現できたことである。
協力いただいたみなさんには本当に感謝するのだ。

ちなみに。
ランタンの底には、寄付してくれた企業や個人のみなさんの名前のシールが貼られている。
これは、おばんざいバルすみす女将のランタン。
彼女はお店としてだけでなく、個人としても協力してくれているのだ。

点灯しているランタンの様子を一部だけお見せしよう。
古い昭和テイストの商店街が、優しい光で浮かびあがる。

このランタンの設置、設計は、津市美里町に拠点を置く第七劇場という劇団の主宰で、舞台芸術家の鳴海康平氏が担当してくれた。
(TOP写真左のハゲね。ちなみに真ん中は中谷の父ちゃん、左は隊長のわたくし。3人ともハゲである。笑)
そう、サルシカの店舗の照明をすべてデザインしてくれている「ひかりの魔術師」である。
最近では中学校の校歌まで作詞している巨匠が津市大門の活性化のために動いてくれたのだ。

そして、商店街と相談し、ランタンが灯される通りを「ランタン通り」と命名させていただくことになった。
通りの入口に設置されていた、古く汚れた「南通り入口」と描かれた看板を撤去。
そこにも新たな看板を入れることにした。

この看板の予算はないので、手づくり(笑)。
LEDで「カッ」と驚くほど明るく照らすのだ! という隊長のわたくしの命令に従い、LEDを仕込むボックスを制作している中谷の父ちゃん。
見上げると小さな看板であったが、いざ実物大でつくってみると驚くほど大きい。

ホームセンターで薄いアクリル板を買ってきて、そのボックスに取り付け、カッティングシートで文字を入れて完成・・・・という作戦だ。

が、わたくしが仕事を終え、サルシカ秘密基地に帰ってくると、中谷の父ちゃんは大きな看板ボックスの前に座り込み、しくしくと泣いているのだ。

買ってきたばかりのアクリル板を貼り合わせ、ボックスに載せようとしたらパリンと見事に割れたという。

「あとさ、もう載せたら完成だったんだよ・・・・、あともうちょっとだったんだよ・・・・、ちゃんと朝からやってたのにさあ・・・」

あともうちょっとであったのは事実だが、朝からちゃんとやっていたというのは嘘である。
お買い物に街へ出て、そのまま「神楽」というラーメン屋に行っていたことをわたくしは知っている(笑)。

てな事件はあったが、山にも街にも春がきた。
新年度の4月に入って、最後の作業にとりかかる。

ランタンの点灯式は4月7日。
もう時間は残されていないのだ。

朝、看板のボックスを秘密基地から街へと運ぶ。
アクリル板は自分たちで調達するのはあきらめて看板屋さんに発注した。
節約するつもりが結果として高いものについてしまった(涙)。

大門商店街にて、デザイナーの橋本さんと合流。
橋本さんには、すみす、ランタン、まりりん、まるう、と、すべてのお店をデザインしてもらい、ついには通りのデザインまでお願いすることになったのである。

デザイナーみずから、アクリル板にカッティングシートを貼ってくれる。

「予算がないならこうするしかないですわねぇ」

笑いつつもテキパキやってくれる、本当にありがたい存在なのだ。

鳴海さんもそうだが、今回のお店〜通りプロジェクトには、たくさんのプロフェッショナルが持ち出し同然で協力してくれている。
彼らの存在がなかったら、この計画は成り立たなかったのだ。
心から感謝したい。

最後の大工事。
巨大な通り看板の取り付け。
アクリル板を割らないように枠に取り付ける。

「いやーはっはっはっ、入ったよ入ったよ、ピッタリだよ!」

はしごの上で喜ぶ中谷のお父ちゃん、

「最近老眼がひどくてさあ、サイズを計ったとき、メジャーの数字がちゃんと読めてたかどうか不安だったんだよね」

などと、今になってこちらが不安になるようなことを言う。

アクリル板の背後からLEDを仕込んだボックスをはめ込んで、しっかりビス止め。
これでアクリル看板が外れることはない。

カバーしていた紙を取り外すと、「ランタン通り」の文字が・・・・・!!
この看板も、点灯式の日にはピカリと光るのだ。

さあ、いよいよ新たな通りの誕生だ。

ランタンの点灯式は、2017年4月7日(金)の午後5時30分から、
場所は、津市大門商店街(大門テラス)周辺。
前葉市長をお招きして、新たな通りの誕生をお祝いします。
どなたさまも参加可能ですので、ぜひ大門商店街にいらしてください。
点灯式のあと、みんなでわいわい、大門商店街のお店を飲み歩きましょう〜!!!!!!