「熊野川パックラフト①〜行くといったら行くのだ!」第559回サルシカ隊がいく

投稿日: 2017年05月27日(土)10:38

今回は超大作なのだ。
何話連続になるか作成しているわたくし(サルシカ隊長奥田)ですらわからないので、覚悟して読んでもらいたい(笑)。

まず今回のターゲットとなる三重の川であるが・・・・
ずばり熊野川である。

まあ正確には上流部の「北山川」なのであるが、熊野川系であるので、そのあたりはアバウトに表現していきたい。

この川は、カヌー好きなら知らぬ人はいない!といっても過言ではないほどの有名な川である。
本州イチの清流にランキングする宮川、銚子川に並んで、三重を代表する美しくすばらしい川なのである。

なのに。
なのになのに!

三重県の自然を楽しみ尽くし、味わい尽くし、紹介し尽くすサルシカの、その代表である隊長であるわたくしは、一度もその川をくだったことがなかったのである。

情けない!
恥ずかしい!
くやしい!

そう思いつつも、なぜか古い商店街に新たな店舗をつくり続け、ドタドタバタバタドンドンダンダンと、騒がしく慌ただしく忙しい日々に追われ、ずるずると決行の日を見逃してしまっていたのであった。

そんな2017年のゴールデンウイーク。
Facebookのタイムラインに、とある記事がぞくぞくとアップされたのだ。

「今から瀞峡をカヌーでくだります!!」
「家族でカナディアンで熊野川をくだります!!」
「いやー、楽しい! 楽しすぎて楽しすぎて死んでしまいます」

な、な、な、な、な、なんだと〜!!!!!!!!!

そんな楽しくてランランランな記事をアップしやがったのは、いつもはパラモーターで空を飛んでやがる大澤屋の若旦那とその家族。
サルシカ店舗の水道工事担当の佐野のヤロウ!
空飛ぶガス会社マンの海原のヤロウ!
いつもはパソコンとにらめっこしてるIT松本のヤロウ!

なんだよ、おめえら!!
隊長をおいて隊員だけで楽しむってのはどーいう了見だ、コノヤロウ。

原稿の締切に追われてヒイヒイ言っていたわたくしであったが、パソコンの電源を引っこ抜き、勢いよく立ち上がったのだ。
そしてパソコンを窓から投げ捨てたのだ!

「行くぞ、父ちゃん!!!」

田植えを終えたばかりで、日差しが降り注ぐサルシカ秘密基地のウッドデッキでうたた寝しながら鼻くそをほじくっていた中谷の父ちゃんは、

「え、どこへ!? 何があったの!?」

と、慌てて起き上がった。

「5月中に熊野川へいく!
絶対に!!
今からスケジュールを調整するのだ!!
徹夜しようとも、ぶつくさ言うやつをひとりやふたり殴り飛ばしても、行くといったら行くのだ!!」

わたくしは声高らかに宣言したのであった。

それからのわたくしは、熊野川ツアーのためだけにあった。
仕事をどんどん先行。
いつもは台本を書くのが遅れてせっつかれる立場であるのだが、逆にこっちから「早く書かせろ、コノヤロウ」とせっつく有様(笑)。

そして仕事やサルシカの活動のあいまに、熊野川ツアーに向けてどんどん準備をしていた。

前にも記事を書いたけど、まずはアクションカムの購入。

カヌーを漕ぎながらカメラを構えるのは結構たいへんなのだ。
ならばいっそ、ヘルメットの上にカメラをつけておいて、ずっと撮影してればいいのだ。
しかも参加者全員の頭につけておけば、シャッターチャンスを逃しはしない。
逆に思ってもなかった映像が撮れるはずである。

中国製の格安カメラを2台購入。
サルシカはすでにソニーのアクションカムを1台持っているので、これで3台のカメラを同時に回すことができるのだ。

アマゾンちゃんで小型の防水LEDランタンを購入。
こちらも2個。

わたくしはひとり用の小型テントを持っていなかったので、モンベルのムーンライトを購入。
もう何十年も販売している定番のテントだ。

そして!!
ついに、出発のときはきた。
軽キャンカーのサルシカ号に2艇のパックラフトを積み込んだのだ。

写真左/ケロリン  写真右/サルシカ隊長

サルシカのパックラフト企画は、隊長のわたくしと中谷の父ちゃんが基本のチャレンジャーである。
しかし、写真撮影やピックアップなどのヘルプ部隊も必要で、これまでいろんな人に協力してもらっている。

今回はケロリン。
そう、サルシカ銭湯企画のリーダーである。

ケロリンはこの日のためにテントやライフジャケットを購入。
そして、朝6時に鈴鹿の自宅を出て、津市美里町にあるサルシカ秘密基地へとやってきたのである。

「では出発〜!!!」

軽キャンのサルシカ号に隊長のわたくし、そしてケロリンのランドクルーザーにケロリンと中谷の父ちゃんが乗り込み、出発!
久居ICから伊勢自動車道に乗り、熊野に向けて南下する。

なんと目的地までの距離150キロ!!
三重県内なのにめちゃくちゃ遠いのだ。

カーナビの到着時間を確認すると、なんと2時間半もかかるのだ。

伊勢自動車道から紀勢自動車道に入り、終点の尾鷲で下道に。
尾鷲から熊野につながる熊野尾鷲道路に乗り、熊野へ・・・・。

上の写真は鬼ヶ城のトンネルを抜けて、熊野に入ったところ。

これからどんどん山の方に入っていくので、この熊野市内のスーパーでお買い物。
購入リストは・・・・

・今晩の夕食
・お酒少々
・水6リットル
・ペットボトルのお茶数本
・チキンラーメン3つ
・蚊取線香
・虫除けスプレー

と、これだけであったのだ。
カヤックなら荷物は結構載せられるが、船室のないパックラフトはあまり荷物が載らない。
だから、買い物は最小限にしようと言っていたのに、3人が3人とも、いろんなものを買い物かごに放り込むので、あっというまにカゴがいっぱいに(笑)。

なのに中谷の父ちゃんは、サッポロビールをケースごと持ってきたりする。

「それはさすがにやめておこうか、父ちゃん。
お酒は少々って書いてあるだろ。
大体そんな大きな箱、フネに載せられないよ」

「だいじょうぶだよ、箱ごとビニール袋にいれてさ、
ヒモでくくって川に放り込んでそのまま引っ張ってけばいいんだよ」

「ダメ」

父ちゃんは涙目になってイヤイヤをする。
しかしダメなものはダメなのだ。

が、結局、食材と飲み物だけでこの荷物・・・・。
中谷の父ちゃんに箱ごとビールを諦めさせたと思ったら、今度はケロリンが冷凍枝豆を2袋持って、

「これだけは譲れないから。
絶対みんな食べるから。
それに冷凍だから保冷剤の代わりになるから」

と、理屈をごねる。
が、ひとり2本ずつ購入した缶ビールを冷やすことができる・・・というのが、最後の決め手で2袋の購入を許してしまったのだ。

あとでよくよく袋の中をみると、インスタントのしじみ汁とかも入っているのである。
犯人は中谷の父ちゃん。

「だってさあ、飲みすぎた朝はしじみ汁がうまいぜ〜」

なぜキャンプの夜まで飲み過ぎなきゃいかんのだ。
そもそも最小限の酒しか持っていかないんだぞ、まったく。

国道311を入って、熊野市紀和町方面へと向かう。
どんどん山へ入っていく感じだ。

そして熊野川の支流のひとつ、北山川に出る。
入鹿温泉瀞流荘の近く、瀞峡観光の小川口乗船場である。

ここは、瀞峡を激走するウォータージェット船の乗船場である。
が、われわれにとってここはゴールポイント。
明日の朝、パックラフトでここに到着する予定である。

しっかりと事前に現場を確認。

車は出発地点の上流に置いておいて、ここからウォータージェットで出発地点へ戻り、帰る・・・というのが計画である。
ウォータージェットが動いていなければ完全アウトだし、運行時間のチェックも必要だ。

そうこうする間に、ウォータージェットが上流から下流へすごいイキオイと轟音で走り抜けていく。
ここから下り方面に乗り込む人はいないことを確認しているのであろう。
こちらのほうを見向きもしないし、スピードも緩めない。

今回はこのジェット船とおなじコースをくだるのだ。
あんなのが目の前を走り抜けていったら、それはそれは恐ろしいであろう。

しかも走り抜けたあとに大きな波が立つのだ。
それも乗り越えなくてはならない。

通常、この瀞峡をカヌーでくだる人は、このジェット船をさけるため、早朝に出発してジェット船の運行時間まえに下り終えてしまうらしい。
が、われわれは途中で一泊予定なので、のんびりお昼出発。
ジェット船と戦うしかないのだ。

ウォータージェット船のチケット売り場は、500メートルほど離れたところにあるホテル「瀞流荘」であった。
以前、県主催の講演会をさせてもらったところで写真師マツバラと宿泊をしたこともある。

明日、船を下りてすぐ、疲れた身体でチケットを買いに来るのは面倒だったので前日のこの日のうちにチケットを買っておくことに。

「オレってばあったまいい!! ね、父ちゃん、ケロリン、そう思うだろ!」

わたくしはごきげんさんでホテルへと向かった。

「あ、ジェット船のチケットですね、こちらで承っています」

フロントのお姉さんは笑顔で対応してくれた。

「次の便でよろしいですか?」

「あ、いや、明日カヌーでくだってくるので、明日の朝の便を・・・」

「すいません、ジェット船のチケットの販売は当日分のみでして・・・・」

「え・・・・」

ここまで歩いてきた父ちゃんとケロリンの視線が痛い。

というわけで、パート2につづく。