「熊野川パックラフト④〜ケロリンの涙」第562回サルシカ隊がいく

投稿日: 2017年05月30日(火)09:42

ケロリンの試練は続いていた。
カヌー経験がほとんどないにもかかわらず、瀞峡くだりをやるはめになり、行き交うジェット船が立てる波にフネも心も翻弄され、涙ぐんでいた。

「次のジェット線が来るまでに絶対に河原へ上陸するんだ!!!」

ケロリンの決意は固く、パドルを動かし続ける。
が、腕だけでフネを漕いでいるものだから、すぐ腕に乳酸がたまって動かなくなってくる。

ケロリンのフォルトを中谷の父ちゃんとわたくしのパックラフトではさむように3艇を並べ、それぞれに水分補給。
はされまてると安心なのか、ケロリンは写真を撮影する。

「お、いま撮ったね、カメラマン!」

と、中谷の父ちゃん。
そうなのだ、ケロリンはカメラマンであったのだ。

遠くでエンジン音らしきものが聞こえると、ケロリンは、

「ジェット!? ジェットきた!? きたよね!?」

と、あからさまに慌てる。
しかし瀞峡は平穏そのものであった。

休憩をはさみつつも、1回目の休憩ポイントに到着。
フネをあげて、日陰に腰でも下ろそうとしたら、騒音が近づいてきた。

ジェット船だ。
危ないところだった。
あと5分も遅ければ、またケロリンの憂鬱がはじまってしまうところであった(笑)。

が、広い河原が出現すると、そのあとにやってくるのは瀬である。
つまり川をせき止めるように細くなったところ・・・・。
流れが急で、白波が立っているところだ。

隊長のわたくしに続いてケロリン突入。
瀬での対応をちゃんと教えてなかったな、と思ったが、もう時すでに遅し。
振り返ると、必死の形相でパドルを操作するケロリンの姿が見えた。
すまぬすまぬ。

しかも、なぜか瀬はいくつもいくつも連続する。

瀬が大好きなわたくしは、「ひゃっほう!」と叫びながら、わざわざ激しいところを狙って突っ込んでいく。

この人も同じである。

「ひゃーはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!!!」

波に弄ばれ、ゴーカイに笑いながらパドルを操る中谷の父ちゃん。

で、瀬の連発が終わったと思ったら、ジェット船が「これでもか!」とやってくる。
まさかの2連発。

河原近くの浅瀬を漕いでいたファルトのケロリンは、そのまま岸に横付けしてしまった。
そこにジェット船の波が襲かかる。

岸にくっついているので沈はしなかったが、思い切り横から波をかぶり、ケロリンは水浸しになっていた。

「あーあー、だから波から逃げちゃダメだっていったのに・・・・」
「ケツまで濡れた?」

遠慮なく笑いながら追い抜いていくわたくしと中谷の父ちゃんをケロリンは見ようともしなかった。
ヘルメットから水がしたたっている。
あれはひょっとすると涙だったのかもしれない。

どんどん寡黙になっていくケロリン。

「ケロリン、そろそろ今日のキャンプ地を見つけよう!」
「ビールが飲めるぞビールが!」
「枝豆もあるぞ2袋も!」
「さあ、あともう少しだ、がんばろう!!」

わたくしと父ちゃんは必死に励ましたのである。

「はい、ビール、枝豆〜」
「ビール、枝豆〜」

右で漕ぐときはビール。
左のときは枝豆。

わけのわからない掛け声をケロリンに投げつつ、みんなでフネを漕ぐ。

キャンプ地の候補地として河原にある別の流れに入り、上陸を試みるが、風が強い。
風上がえんえんと河原で遮蔽物がなにもない。
テントを張るのに苦労しそうということで、ここを見送り、次の候補地へ。

ケロリン、絶望。

でも次の河原はいけるはず。
GoogleMapで地形を確認しつつ進む。

ケロリン、期待。
写真も撮影する(笑)。

そして!!!
そこはキャンプ地としてベストなところであった。

上陸!!
なぜかバンザイ。
ケロリン写真を撮影。
つまり、喜んでいるってことだ(笑)。

さて。
次回は期待の河原でキャンプ・・・・なのだ!!!!