みさとの学校マルシェ

「お化け屋敷をつくれ!」第593回サルシカ隊がいく 2017年08月13日

写真/フォトグラファー加納   テキスト/サルシカ隊長

「工事をはじめる前に、せっかくだから記念写真を撮ろう」

ということになった。
今年(2017年)3月に閉校になった三重県津市美里町の長野小学校。
その校舎を利活用して行うプロジェクトの第一弾「みさとの学校マルシェ」。
その準備の工事を行うにあたって、われわれは新たな地域の拠点としての学校に入学するのだ。

「はーい撮りますよ〜。
みなさん、入学おめでとうございます〜!!!」

こうして撮影されたのが冒頭の写真である。
校長先生役として前列中央に座ったのは、今回のプロジェクトの主催となる「長野地域まちおこし協議会(通称:みさっと長野)の会長、行岡さん。

「それにしても、今年の新入生はひねたんばっかりやなあ」

と、楽しそうに笑う。
ぴかぴかの一年生による巨大プロジェクトの準備がこうしてスタートした。

長野小学校は平成元年に現在の場所に移築された。
サルシカ副隊長のキヨちゃんや、宴会部長のムネちゃんなどなど、サルシカ隊には卒業生が大勢いる。

隊長のわたくしが美里に家族を連れて移住してきたのは今から10年まえ。
娘がちょうど小学校にあがるタイミングで、慣れない土地で不安に思いながら、この長野小学校の入学式へと参加したのだ。

そのとき、娘と共に入学したのは男の子ふたり。
つまり3人だけの入学式だったのだ。

しかも、その数ヶ月後、男の子のひとりが家庭の都合で引っ越すことになり、なんと娘の学年は男女1名ずつの2人だけになってしまった。
親としてその状況は本当に不安だった。

でも全校生徒30名ちょっとのこの小学校での6年間は、娘にとってもわたしたち親にとっても不幸なものではなかった。
学年を越えての友達つきあい、そして助け合い。
人数が少ないからこそ濃厚な交流は、子どもたちだけではなく、親たちもそうであった。

考えてみれば、サルシカの活動がはじまったのも、このつながりが原点なのだ。
サルシカ副隊長のキヨちゃんとわたくしは、隊長、副隊長の関係のまえに、同じ小学校に子供が通う保護者であり、PTAの役員であり、同じ地域の仲間なのだ。

その大切な小学校を学びの場から地域の拠点に変える。
3年ほどかけて実行していくプロジェクトの、第1弾工事がついにはじまった。

われわれは常に自分たちで汗を流してモノをつくる。

ツリーハウスにはじまり、本気の秘密基地、飲食店を4店舗!
そしてついにお化け屋敷なのだ!(笑)

マルシェの準備もあり、作業は多岐にわたるのでミーティングからスタート。
最初は細かく班分けをしようと思ったけれど、どこにどれだけの人数が必要なのかわからないので、ひとまずお化け屋敷の準備をみんなでやろうと決定。
ミーティングの意味なし(笑)。

時間がずれての参加者も多かったが、この日のオールメンバーはおよそ30人。
はじめて参加の人、初顔合わせの人も多かったのでまずは自己紹介。

もはやサルシカの工事には欠かせない存在になった久保ちゃんが、にわか教頭先生になってごあいさつ。

「きょう1日、怪我のないよう十分に気をつけて作業に勤しんでください、以上終わります」

いやいや、終わらないから。
いまからだから(笑)。

ちなみにこの日も某国営放送の密着取材が入っている。
わたくしはうれしいのだ。
テレビで紹介されるのもであるが、それ以上にカメラが回っていると、みんながいつも以上に作業に勤しんでくれるから(笑)。

「たいへんな作業ですね〜」

などと取材チームに声をかけられようものなら、

「いやいやなになに、こんなの全然大変じゃないですから!
マルシェに来ていただく方を裏切れないですから!
イベントを盛り上げないと!
地域のためでもありますしね!
あはははは」

と、普段ならば口が裂けても言わないようなことをのたまうのである。

さて、まずはお化け屋敷の工事である。

お化け屋敷は、美里に拠点を置き、世界で活躍する劇団「第七劇場」が制作プロデュースしてくれる。
本気の劇団が本気でつくるお化け屋敷なのだ。

第七劇場の主宰である鳴海康平から工事の段取り説明。
いざ、みな動く!!!

まずは荷物の搬出・搬入のためにドアを取り外す。

お化け屋敷は職員室と、ドアひとつでつながった校長室の2部屋を使用する。
なぜこの部屋にしたかというとエアコンがあるからである。

お化け屋敷は完全に明かりを遮光する。
つまり密閉されるわけで、エアコンがないとお化けが暑くて死んでしまうのだ(笑)。

あちこちの教室に残されていた棚やロッカーを運ぶ。
これは、閉校になった際、廃棄処分になるものをこのために残しておいてもらったのだ。
予算がないので徹底的に廃物利用!

2階からも使えるものをどんどん運ぶ。
いきなりの重労働。
男性メンバーを全員投入する。

「しかしさ、ロッカーとか棚のかどんどん運んで何すんの??」

サルシカ副隊長のキヨちゃん。
誰もが聞きたかったことを口にする。

どんどん荷物でいっぱいになる職員室。

鳴海さんは工事の指示は出してくれるが、全体のイメージを教えてくれない。
どんなものが出来上がるか、隊長のわたくしも含めて誰も知らないのだ。

食堂や理科室にあった暗幕を取り外す。
お化け屋敷にはこの暗幕が大量にいる。
こいつを購入してるとトンデモナイ金額になるので悩んでいたところ、カーテンが暗幕になっていることに気づいたのだ。

いや~助かった。
この暗幕がなかったら、今回のお化け屋敷は実現していなかったかもしれない。

ただし、これは学校の備品なので切ったり貼ったりはできないので、クリップではさんで調整していくことに。

とはいえ、暗幕だけでは完全遮光はできぬ。
どうしても隙間から光が入る。

で、農業用マルチの黒いビニールを窓に貼っていく。
このあたりは完全に文化祭のノリ。

マルシェの出店者の人たちも参加してくれて、作業を手伝ってくれる。
いつも以上に賑やか!

どんどん窓が埋められていく。

これと同時進行でマルシェの準備も進められていた。
その様子などなどは次回から。

8月20日の「みさとの学校マルシェ」開催まで、ほぼ毎日更新してきまっせ〜!!!

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