昼メシはうなぎ屋「膳」で白焼きとうな重を食べるのだ!
そのために今回は宮川をくだるのだ!
そんな固い決意でスタートした「宮川うなぎパックラフト」 もいよいよ最終話である。
川面から眺める宮川周辺の様子は本当にすばらしかった。
荒々しい岩肌、色づきはじめあ紅葉の森。
鳥たちの声がずっと響いていた。
が、隊長のわたくしと中谷の父ちゃんは脇目もふらずにパドルを漕いでいた。
額から汗が流れ、息はぜえぜえ。
もう必死であった。
早くうなぎ屋「膳」にたどり着かないと、中休みに入ってしまう。
きょうはキャンプグッズも食材も持っていないので、そんなことになったら昼メシ抜きなのだ。
「休んでる場合じゃないよ、父ちゃん! 早く漕いで!!」
「いやもうオレだめ」
「だめじゃない、うなぎが待ってる!」
「だっておれ57だし」
「さっきは一生青春って言ってたじゃん」
「ごめん前言撤回」
「もう先行くよ」
「おいてかないで人でなし」
「じゃあ早く漕いで」
「おれの幸せな川下りはどこへいったの、のんびりはどこ!?」
「もうそこでずっとのんびりしてなさい!」
「いやああああああ」
そんなバカな会話をしつつも必死に漕いだのだ(笑)。
川べりに昨年できた「鄙茅 (ヒナカヤ) 」という日本料理のお店がみえる。
M子もお気に入りのお店。
古民家をどこからか移築したとかなんとか。
豪華なお店らしい。
が、われわれの目的はこのさきの「膳」なのだ。
膳のすぐ手前にある中川橋でわれわれの到着を待つM子は、もう完全に怒り狂っていた。
腹が限界まで減っているのに、もう午後1時を回ったというのに、夫たちのその姿すら見えないのである。
すわ投身自殺かと心配して近づいてきた車の運転手を「きっ」と怒気満面でにらみつけ、また再び川を見下ろすのであった。
ようやく!
ようやく中川橋が近づいてきた。
橋が目に入ってからここまで近づくまでどれだけ長かったことか!
橋の上にある黒い点がM子。
「おーい、M子ぉ、おまたせぇ」
大声で叫んだが、M子は無言のまま。
怖い(笑)。
その頃、M子は・・・・
こうして見えてきたのに全然距離が縮まらず、のろのろとしているのを見てイラついていた。
「もっと力を入れて漕ぎなさいよ! なにを休んでるのよ、お父ちゃん! 早く早く!! もっと早く!!」
息も絶え絶えなわれわれの様子がわからないM子は悪魔のようなことをつぶやいていたらしい(笑)。
もう午後1時半を回ろうとしていた。
たぶん昼営業は2時までであろう。
もうそろそろラストオーダーであるやもしれぬ。
「すまぬ〜、M子〜」
「早くくだれ〜」
「許せ〜」
「ええから早く漕げ〜」
中継ポイントの中川橋をくぐるわたしたち。
が、一瞬の休憩も許されないのだ。
漕いで漕いで漕ぎまくるのだ。
前進あるのみなのだ。
そしてついに!!
うなぎ屋「膳」の前の河原に到着!!!
中谷の父ちゃんもわたしも笑っているが、もう全身がくがく。
正直な話、ふたりとも岸についてもすぐさま船から下りられなかった。
全身の筋肉が疲れ果て力が入らなかったのだ。
隊長のわたくしはこれまで服を濡らさずやってきたのに、最後の最後、船を降りるときにふらついて、お尻や背中を濡らしてしまった。
時間は午後2時になろうとしていた。
うなぎは・・・・うなぎはもう無理なのか・・・・!?
M子から営業時間を聞いて、ふたりともその場にへたり込みそうになった。
うなぎの名店「膳」の昼の営業時間は午後2時半までであった。
ここまでやみくもに漕がなくても十分間に合ったのである。
ちなみに「膳」は宮川のすぐ脇にある。
脇というか、もうほぼ河原にあるといっても過言ではないところにある。
だから実際、宮川が増水して何度も家屋浸水したことがあるという。
そんな場所にあるため、川下りをうるカヌーイストに愛されてきたお店なのである。
駐車場にパックラフトを駐船(笑)。
濡れたままお店に入るのは失礼なのでここでお着替え。
「なんでスウェットなのよ、上下とも!!」
写真を撮る妻に怒られた。
「え、その格好で膳のうなぎ食べるの?」
中谷の父ちゃんまで笑っている。
仕方ないじゃん。
今回は服を絶対濡らさないと決めてたんだから。
だから非常事態用のスウェットしか持ってなかったの!!
ま、格好のことは置いといて、いざ膳でうなぎの白焼き〜!!!
あのね、ここの白焼きはね、本当においしいのよ。
わたくしと妻のM子は、ここが県内で一番おいしいと思っている。
全国のうなぎを食べたわけではないが、これまでに食べた東京や各地の名店というわれるお店のよりもおいしいのではないかとさえ思う。
しかもお値打ちなのだ。
プルプルする腕で白焼きでかんぱーい!!
そのあとのうな重。
がんばった自分たちにご褒美ってことで、なんと特上!!!
でも特上でも2650円なのよ。
ちなみに『上』は2250円。
これでも充分大満足です!(M子)
さらに並なら1500円!
まあここの美味しさについては、M子のブログを参照してくださいな。
で・・・・・・・・
本来ならここからまた川下りなのである。
サルシカ軽キャンカーをデポした宮リバー度会パークまで後半戦の旅。
が・・・・・・・
すでに時間が午後2時であった。
しかもわれわれは時間に追われたパドリングで非常に疲れていた。
で・・・・・・・
妻M子にそのまま車で宮リバー度会パークまで運んでもらい・・・・・
この日はこれで終了(笑)。
まあ、何事も無理はいかんのよ。
覚えていろよ、宮川。
またきっちりリベンジしてやるからな(笑)。
てなわけで、
宮川うなぎパックラフト、おしまい〜。