銭湯いこにVol.53「松阪花岡温泉③〜ようやく湯に入る」

投稿日: 2018年01月18日(木)09:38

写真/写真師マツバラ(松原 豊)

いよいよ銭湯なのだ!
松阪花岡温泉シリーズ、第3回にしてようやく湯にザブンするのである!

もうアレだよね。
風呂にいこうって誘われて手ぬぐいと石鹸もって上着一枚ひっかけただけで銭湯へ向かったのに、あちこち連れ回されて身体がキンキンに冷えて、「あああ〜、お風呂はまだですか〜まだですか〜」という状態ですわな(笑)。

すまぬ。
もうそろそろパンツも脱いでいいよ。
お風呂に入ろう。

新良酒造を出て、古い町並みを西へえんえんと歩き、大通りに合流してさらに歩く。
松阪駅からだと3キロ以上あるんじゃないかなあ。
ストレートで歩くにはちとキツイ距離だ。

と、ようやく煙突を発見!!

やってきたのは、花岡温泉(はなおかおんせん)。
松阪市大黒田町835-3
※松阪市街から国道166号を走り小黒田町交差点を左折しすぐ左側。
定休日 毎週火曜日
営業時間 16時から21時まで(雨が降ると早仕舞いする場合も)
料金 大人中学生以上400円/小学生150円/幼児70円
駐車場 入り口路地にかかる青いアーチの左側にある緑色のフェンスの中

温泉とあるが、れっきとした銭湯である。

入口の看板をみんなでチェック。
銅板を叩いて、花岡温泉の文字を浮き彫りにしている。
芸術作品ですよ、これは。

入ってすぐの下駄箱。
もうここからレトロ感満載。

ケロリンと写真師マツバラはこの銭湯を何度も取材やプライベートで訪ねているらしいが、写真師がはじめてここを訪ねたときのコーフン度合いはすさまじかったらしい。

「くわ〜、たまらん、やばい、おれいく」
「もうこれ大好物!」
「はいこっち向いて笑って〜」

などと、ロッカーボックスに向かって叫びながらシャッターを切っていたらしい。
ケロリンによると、そのときの写真師マツバラのシャッターを押す指は神々しく輝いていた、と。
恐ろしい指やな。
ストロボがいらんで(笑)。

のれんをくぐって脱衣婆へ。
番台の方を見る。

ここの銭湯はお客さんが多くないので、番台に誰もいないことがある。
そんなときは100円玉円を四つ番台に置いて入るのが花岡流なんだとか。

ちなみに番台に女将さんがいないときは、裏で木をくべたり薪を割ったりしているそう。
女湯から底抜けに明るい笑い声が聞こえてきたらおかみさんが戻ってきた合図。

もともとここは、地域の共同浴場だったとか。
こちらの女将さんが嫁いできたときに、松阪市内で銭湯を経営していた義父さんが「嫁のために」と建て替えてくれたのが、花岡温泉のはじまり。

以来40年。
女将さんは新婚旅行から帰ってきたあくる日から子育て中もずっと風呂焚きと番台を担当し続けているのだ。

さあ、湯に入ろうではないか。

年季が入った浴槽でしょ。
湯の成分が固まっているように見えるけれど、ここは温泉じゃないから違うのですよ。
これはコーキング(笑)。

補修に補修を重ねているうちに耐水セメントが何層にも重なり、まるで温泉成分の結晶化のようなっているのだ。

年季は入って正直ボロいのであるが、手入れと掃除はしっかりとされている。
決して不潔感はない。

ごらんあれ。
まるで山の中にあるひなびた温泉の1枚のようではないか。
これが松阪市内の銭湯だと信じられるか。

「わたくしケロリンも大好きな銭湯です。
湯の質、雰囲気、ロケーションはもちろん、おかみさんのことが大好きです。
銭湯マニアの視点からも三重県が全国に誇ることのできる銭湯と言えるでしょう!」

全国の銭湯をめぐったケロリンがそう力強く語っていた。

脱衣場の灯油ストーブ。
昔ながらの暖かさが嬉しかった。

「写真はいややわぁ」と最後まで逃げ回っていた、女将さんの藤原清美さん(写真右)。
お見送りのときに写真師にパチリと撮影される。

帰り際にオロナミンCとお菓子を手渡してくれた。
取材までさせてもらったのに申し訳ない。

銭湯企画は街歩き!
といっておきながら、タクシーに乗って駅へと戻るわたしたち(笑)。

「だってさあ寒しさあ」
「湯冷めしちゃうやん」
「さあビールビール」
「肉肉!」

次回松阪花岡温泉編ラスト。
松阪ホルモンで大宴会!

それにしても。
銭湯で温まったオトコ5人を乗せたタクシーは窓が曇る曇る。

「お客さん、前見えへんからエアコンいれまっせ〜」。

冷たい風に吹かれつつ、男たちはホルモンが待つ松阪駅へと向かった!!!!