第32回「灼熱の鈴鹿8耐・壮絶記録③」

投稿日: 2008年07月19日(土)21:40

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写真 加納 準 / 文 オクダヒロヒサ

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「ブヒェー、ブヒェー」と人間のものとは思えない息をしつつ、1周目を終えた隊長。

染弥さんがコメントを求めてくるが、とても話せる状況ではない。

「もうアカン」とか「もう死ぬ」とすらも言えない。

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お茶をかけつけ三杯飲んで・・・ようやく何とか話せるように。

「思ってたより辛かったでしょ?」と染弥さん。
「・・・辛かった」と隊長。
「足ガクガクでしょ?」
「・・・ガクガク」
「2周目がまもなく来ますが、どーですか?」
「・・・イヤだ」

とてもコメンテーターをやっているとは思えない隊長のコメントである。もはやカメラが回っている事など眼中にない。

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5人目の走者タカシ隊員が帰還!

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しかし足がガクガクで自転車から降りられない

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「アカンて・・・こんなんゼッタイ8時間もムリやて。リタイアしよ、リタイア!」

思い切り「泣き」が入るタカシ隊員。
しかし拾ってきたゴミ自転車はまったく異常なし!
バンバン走るのである。

リタイアしたくてもできないのである。

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スタートから1時間20分。1周目のあまりの過酷さに特設ピットは暗たんたるムードに・・・・

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第1走者の野田リーダーに戻ってそれぞれ2周目に入る。

「じゃ、いってくる」

まるで戦争に出征するかのような悲痛な表情で野田リーダー出発!

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「あああああ、次オレやあ!
イヤやイヤやイヤやイヤやあああああああ!」

子供のようにゴネる、とーる隊員。
しかし順番は必ず回ってくる。

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ところが、奇跡が起きた!ペースをつかんだせいか2周目は全員が楽にいけたのだ!

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「意外といけるんちゃう、オレ?」

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「ええ、いけますに!」

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走り終えた染弥さんの表情にも若干の爽快感が・・・・。「いやあ、もう1回早く走りたいですねぇ!」

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たぶん、自転車の神様がゴミのママチャリで走っている私たちを見て、手を差し伸べてくれたのである。

きっと、小さな羽根の生えた天使たちが、汗まみれのオッサンたちの背中を押してくれているのだ。

しかし、奇跡は長くは続かなかった。
走行中のとーるちゃんから隊長に電話が入る!

「隊長!あかん!ウサギに抜かれた!」

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これがとーるちゃんをぶっちぎったウサギである(笑)。

そもそもウサギに抜かれたからといって走行中に電話をかけてくるというのはいかがなものかと思うのだ。

そんな余裕があるならもっと走れ、というのだ。

ライバルとはいえ、共に戦う仲間でもある。

染弥さんと隊長が「がんばれ!」と声をかけると、
ウサギの中から低いオッサンの声で「おお!」と返事がかえってきた。

参加者の中にはさまざまなコスプレのチームがあった。
我われのヘルメットに座っている「サル」など可愛いものである。

いくつかのコスプレ選手を写真で紹介しよう。

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これは間違いなくガンダムですね

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笑えた。あんたはエライ!

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あ、ゴン太君だ!(暑いだろうなぁ)

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引退した食い倒れ人形は鈴鹿を走ってました

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ナスだあ!お金かかってるなぁ。負けたなぁ。来年は俺たちもサルとシカでやるぞぉおおお!

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みんなの表情にも笑顔が戻ってくる。「のだっち、ええ走りやんかぁ」「隊長もがんばっとるやんかぁ」

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同じ苦しみを乗り越えた仲間は、相手に対して非常にやさしくなる。

「ゴメン、ずいぶんタイムをロスした!」

「いいんだ、いいんだ、勝つことが目的じゃないんだから」

「栄養ドリンク全部飲んじゃった」

「いいのいいの、また買えばいいんだから」

「お弁当チーム、遅いなぁ、でもいい、オレがまんするから」

普段の強食弱肉のサルシカ隊とは思えない人間愛がみんなの中に芽生えていたのである。
なんともコレはすごいことである。

いやー、自転車レースというのはすごいものだ。
環境への優しさも教えてくれるし、人にも優しくなれるのだから・・・(海援隊の歌みたいだなぁ)。

心優しきサルシカ隊になったところで、第4弾へと続くのである。
長いなぁ・・・まだまだ終わらない。