「決死のモルタン!」第672回サルシカ隊がいく

投稿日: 2018年04月10日(火)09:47

写真/フォトグラファー加納



大門V計画のファイナル工事1日目。
いよいよ終盤を迎えていた。

モルタンの奥さんで、ベトナムカフェ「アンコムチュア」の店長となるクレアが、大量の荷物を持って現場に到着。
彼女は自宅でフォーのスープや具材、デザートをずっと仕込んでいたのだ。
本当は店で仕込みたかったのだけれど、まだ厨房機器の設置すらしてない状態なので、緊急対応であったのだ。

工事初日を終える頃になって、なにをしようというのか。






・・・・それは!!
フォーのふるまいである!

恒例の工事のナカ打ち上げのまえに、フォーをみんなにふるまって労をねぎらおうということになっていたのである。

クレアが仕込んできたスープを、まだ出来てホヤホヤのお店で最終仕込み。
が、実はここでも問題が。
運び込んだガス機器にガス漏れが見つかり、ガスはまだ開通していない。
急遽カセットコンロにて対応。
火力は全然足りないが、今回は仕方ない。

しかも電気もアンペア不足でスープストッカーのスイッチを入れるとブレーカーが飛ぶ。
問題だらけのなかでの仕込みであった。






「ガスが使えないので麺の茹で上がりが心配ですし・・・スープも完全に温度があがらないので問題ありですが・・・・大丈夫!
気合と気持ちを込めてつくればなんとかなります!!」

と、モルタン
が、そのとき、とんでもない事態が発覚したのである。

クレアがスープをかきまぜながら、ごく自然に夫に話しかけたのである。

「ねえ、モル(クレアは夫のことをこう呼ぶ)、フォー(麺)は?」
「え?  持ってきたでしょ」
「きのう自分で持っていくからって持ち出したじゃない」
「え・・・・」

そのときのモルタンは、まさに漫画のように顔が青ざめ凍りついていた。

「まさか忘れたの???」

モルタンは20秒ほど沈黙した。
額から汗が流れていた。
そばにいた隊長のわたくしや中谷の父ちゃんは、緊張のあまり言葉を発することすらできなかった。

「・・・・今から取ってくる!」

モルタンは財布や鍵を持って店を飛び出した。
モルタンは自宅から持ち出したフォーを事務所に置き忘れたのだ。






さあ、いよいよフォーが味わえる・・・。
工事を終えた隊員たちがやれやれとフリースペースに集まってくる。

が、なぜか場はどんよりと暗い。

「あれ、どうしたの?  乾杯は?」

最後まで工事をしていた佐野さんの問いに誰も答えることはなかった(笑)。

モルタンの事務所は四日市にある。
津市からだと車で片道1時間ほど。
電車でも30分はかかる。
往復すると、2時間ぐらいはかかるのだ。
いま乾杯してしまうと、フォーが届く頃には酔っ払ってドロドロのズブズブになってしまう。

「かくかくしかじかで乾杯はもうしばらくおあずけ! みんなで楽しく話でもしよう!」

隊長のわたくしは、つとめて明るくみんなに話しかけた。
が、みな、眉間にしわがよっているのである。

「ベトナム料理のお店がフォーを忘れるってありですか」
「うどん屋がうどんを忘れるみたいなもんでしょう」
「寿司屋がネタを忘れるようなもんだ」
「いやいや、焼肉屋が肉の仕入れを忘れるようなもんでしょう!」
「ありえない!」
「うん、ありえない!」

みんなで散々文句を言い、腹を抱えて笑うのであった。






事前に頼んでおいた串揚げまるう本店のオードブルセットが届いてしまった。

「もう飲んじゃおうぜ! 食べちゃおうぜ!!」
「そうしようそうしよう!」

もう歯止めはきかなかった。






モルとクレアからの差し入れのベトナムビールで乾杯!!!

「いないモルに乾杯!」
「忘れたフォーに乾杯!」
「前途多難のベトカフェに乾杯!」

もうみんな言いたい放題なのだ(笑)。






「よーし、牡蠣も焼いちゃおう!!!」

リンちゃんに差し入れてもらった牡蠣を七輪で焼く。

「みんな、たくさんあるからねぇ、いっぱい食べてねぇ。
いない人のことは気にしなくていいからねぇ、いないのが悪いんだから!(笑)」

中谷の父ちゃんも容赦ないのだ。

しかもベトナムカフェのまえで宴会をしながら、食べているのは串揚げと焼き牡蠣なのだ(笑)。






みんなとビールを飲みつつ、自分にはまったく非がなく、夫モルが全面的に悪いと言い張るクレアの図(笑)。






その頃、夫モルは、近鉄特急に乗っていた。
道が渋滞していたので、車を津駅に置き、そこから電車で四日市に向かってピックアップ。
そして25人前にフォーが入ったカゴを抱えて車中の人であったのだ。

「モルいまどこだ?」
「電車の中の様子を写メにて送れ」
「車窓に写った愚かなオトコの姿を送れ」

みんなから容赦ないメッセージが届く。
傷心のモルは言うがままの映像を送ってきた。

フォーのない宴会場では、すでにごきげんになりつつある隊員たちが、その送られてくる写真に爆笑しながら、さらにアルコールを流し込んでいくのであった。






午後8時まえ。
フォーを持ったモルが大門商店街のランタン通りに帰還。
みんな完全無視で出迎える。

メジャーで歴史的1発を放ったエンゼルスの大谷選手が、チームメイトから受けた「サイレント・トリートメント」だ(違うな)。






「魂をこめてフォーを茹でさせてもらいます!!」

往復の交通費で3000円以上かけたフォーを、ギラリンと見つめるモル。
しかしこの失敗は大きいのだ。
たぶん伝説として語り継がれるに違いないのだ(笑)。






モル&クレア。
夫婦フォーづくりの図。






そしてついに完成!!!!

モル&クレア渾身の「フォー・ガー」。






フォー・ガーは、鶏肉のスープである。
牛肉のスープは、フォー・ボーという。

ベトナムカフェ「アンコムチュア」にはガーとボー2種類のフォーが用意される。

今回のふるまいは、フォー・ガー。
鶏肉の汁麺。

別に添えた薬味には、パクチー、ノコギリ・コリアンダー、もやし。
そしてライムも。

今回は違うが、営業時は生の米麺を使用する。
たぶん三重県で生の米麺を出すところは他にないのではないか。

食にとことんこだわる二人が厳選した食材でつくったフォーなのだ。






試作第1号は、隊長権限でわたくしがいただくことに。
まず薬味を入れずにスープを一口。

あっさり塩味。
が、飲み終えたあとに、スープのコクとうまみがしっかりとやってくる。

麺をすする。
残念ながら今回は茹で汁の温度が低いので麺が透き通っていない。
この感想はパーフェクトなときに譲ろう。

薬味を投入。
パクチーは香りもクセも控えめ。
苦手な人でも十分いける。
その分、ノコギリ・コリアンダーはガツンとくる。
アジアの緑の味と香りだ。

赤とんがらしも強烈な右ストレートって感じ。
かじったら火を吹いた。
これはスープの香り付けにしておいた方がよいかも。

複雑な薬味の味と香りは、アジアの混沌である。
一口で感想をいえる旨さではない。

ただわたくしがいえるのは、「もう1杯くいたい」ということであった。






「うおおおお、まじかあ、これ〜」
「うんま!!!!」

みんなの評判は上々であった。

「いやー、2時間待った甲斐があったわ〜」

もちろんイヤミを言うのも忘れない(笑)。






こちらはデザートの「バインフラン」。
つまりベトナムプリン。

プリンのカラメルの上になぜかクラッシュアイスが載っている。
それに濃いコーヒーをかけまわしていただく。

大人の苦味とやさしい甘みのデザート。
これ超おすすめ!!!






吉川姉御の娘もいたので試食してもらう。
大好評!!!






ふるまい中の店内は女性だらけ!!

インスタの写真を撮ったり、大騒ぎ状態。
アンコムチュアは女性に人気のお店になっていくのであろうなあ。
おじさんはうれしいなあ(笑)。
たくさんの女性に来てもらいたいなあ。






フォーのふるまいを終えて・・・。
工事参加者はみなフリースペースで宴会続行中・・・。

そんな中、モルタンはひとり店の奥で洗い物をしていた。
その背中が悲しい。

「モル・・・」

わたくしがやさしく声をかけると、少し怯えたような目で振り返ったのであった。

いよいよ次回からファイナル工事の最終日決戦!
店は完成するのか!?