写真 加納 準 / 文 オクダヒロヒサ
頭を氷で冷やしつつ寝て順番を待つ隊長
いよいよファイナル。
鈴鹿8時間耐久自転車レースも、あと1時間とちょっとを残すばかりになった。
走行選手の疲労はすでに限界に近づいている。
いつもは常に笑いと共にあるサルシカ隊であるが、みな言葉すくな。
そもそも落語家までしゃべらない。
この辺りから映画「ロッキー」や「炎のランナー」のテーマ曲を流しつつ、読みすすめてもらいたい。
せめて心の中で流しつつ読んでもらわないと困るのだ。
ラスト1時間を切る。染弥さんのラストラン(のはず)
「もうボクに回さないでくださいね!」
「回したる!」と言いつつ早く走れるわけがないし
ラスト30分前・・・タカシ隊員を見送る
午後3時30分を回った。
8時間まであと30分を切った。
「あともうちょっとだぁ!!」
「うりゃああああ!」
ワケのわからん声をあげてタカシ隊員が走っていく。
もう走り出した直後から足はガクガク。
乳酸がたまりまくった筋肉が酸っぱい悲鳴を上げている。
現在、我らサルシカレーシングの周回数は26周。
あともう1周行けるか行けないかというところである。
午後4時10分まえ・・・タカシ隊員が必死の帰還!
「なんとか間に合った・・・・!!」
最後の走者は、隊長である!
車載カメラをセッティング中
「隊長ー、いきまーす!!」この人はオタクです
最後の力を振り絞っていく!
8時間まであと5分・・・・長い戦いがまもなく終わる・・・・
あと1分・・・
そしてカウンドダウン・・・・
「・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・終了!」
サーキット中に設置されたスピーカーから、ピット前にいる司会者たちの声が響く。
一番過酷なシケインへの坂を乗り越えたところで、隊長はこの終了のコールを聞いた。
「終わった・・・・」
しかしゴールまで走って終わりなのだ。
まだ道のりは遠い。
他の選手たちはゴール前に移動し、隊長を待つ。どんどん他のチームがゴールしていく。が、隊長はこない。
・・・キタアアアアアアアア!!! 特設ピットを超え、また微妙坂のストレートを必死に漕ぐ、漕ぐ、漕ぐ!
ガッツポーズをしたいが疲労で腕があがらない!
サルシカ隊がんばれ、と放送がかかる!
ゴーーーーール!!!! 隊長が思わず「エコーーーーー!!」と叫ぶ。そしてみんなも「エコーーーーー!!」
「エコーって何じゃあ?」「知るかあ!」
選手ひとりずつと固い握手を!!
拾ってきた自転車であるが、8時間なんとか走ってくれた。もうタイヤもペダルもガタガタだが、よくやったぁ!
そしてよくやったぞ、俺たち!!!
何か知らんが思わずバンザーイ!!
もはや半狂乱の騒ぎ!サルシカ隊、サイコー!! エコ最高!! 三重県サイコー!!
サルシカ隊のチームは、516チーム中500位。
周回数27
平均スピード19.16km/hであった。
消費されたお茶、なんと28リットル。
スポーツ飲料、8リットル。
走ったみんな。
応援してくれたみんな。
そして三重テレビのスタッフの方々。
お疲れ様でしたぁ!!!
最後の最後、コース上で記念撮影・・・。
おまけ。
8時間写真を撮り続けたフォトグラファー加納。
撤収の際、ひとりでクリクリ自転車に乗っていた。
隊長「乗りたかったんか・・・?」
加納「ちょっとな」
自転車っていいな。
また来年も出たいな、と思った夕暮れの鈴鹿でした。
「灼熱の鈴鹿8耐!壮絶記録」おしまい
関連リンク:鈴鹿8時間エンデューロ