三重県津市、その県庁所在地のほぼ中央に、津観音はある。
なんでも「日本三大観音」のひとつとされ、今年で開創1300年だという。
ひゃ~、奈良時代にできたのである。
「近所のちっぽけな観音さん」と思っていたが、バカにしてはいけない。
正式には「恵日山観音寺」と言い、真言宗の古刹なのである。
御本尊は阿漕浦の漁夫の網により出現されたという、秘仏の聖観世音菩薩さまなのである。
この日、隊長のワタクシは半ば仕事で、大門へとやってきた。
何かうまいものを食わしてもらえるのではないかとイヤシイ気持ちでついてきた妻M子、そしてプール帰りの娘m子をしたがえて。
仕事を終え、M子のお気に入りの食堂でごはんを食べたあと、津観音の門前商店街にあたる「大門」をふらりふらり。
そして津観音に入ると、
「おおおおお!なんだなんだ、観音さん全体が怪しく光っているではないか!!」
開創1300年記念のライトアップなのであった。
午後7時から11時まで。
8月末まで点灯しているらしい。
まだ日暮れまで時間があったので、そのままもう少し大門を歩くことにした。
津市唯一の単館、ミニシアターであった「大門シネマ」。
残念ながら、今年の7月20日で閉館。
ここはかつて「東宝」で、実はすでに一度つぶれているのだ。
映画を愛する人たちによって、渋い映画を選んでかけるミニシアターとしてよみがえったが、なかなか経営は大変であったらしい。
まあねー、県民性っつうか、なんというか。
大体、津ぅのレンタルビデオ屋にいくと、アクションやテレビシリーズなどはずらりと並ぶけれど、文化的というか文芸的な作品になると、これがサッパリない(笑)。
あっても1本。
端っこのほうでホコリをかぶっているのだ。
ま、これは三重だけの話じゃないけどね。
東京だって下町のほうへいくと同じようなもんです。
下町のビデオ屋で何年もバイトしてたワタクシがいうのだから間違いない!(笑)。
なんだかずいぶん話が脱線してしもたね。
大門の裏通りを歩く。
人がいない。
ホンマにいない。
ゴーストタウンか、いうぐらいいない(笑)。
人はいないけれど、こういう雰囲気好きです。
なんというか・・・その・・・猫町みたい。
えっと・・・萩原朔太郎の詩に出てくる空想の町ですね。
とはいえココは、津市最大の歓楽街です。
その言葉のとおり「マチ」である。
それも時代を少し超えた、懐かしい町。
地価埋設化が進み、すでに都市部の繁華街、住宅街からは消えてしまった電線が、空を覆っています。
きっと電線は時流を乱すのだ。
隙間から見えるのは、きっと今の空ではない。
大門のメインストリート「だいたてアーケード」に入る。
少し背中が丸くなったおばあちゃんが歩く。
たったひとり。
そしてガード下っぽい横丁(?)にも入ってみる。
あんまり子供をつれて入る雰囲気ではないので、早々に引き返す。
外に出ると、そこは観音さん前。
少し暗くなってきたようだ。
さて、いよいよ「怪しげな光に浮かぶ津観音」にいこう!!
いきなり入口からぶちかましてくれます。
手洗い場が緑に浮かび上がってます。
これでは安っぽい昭和のお化け屋敷です(笑)。
あまりにおもろいので、隊長のワタクシはビデオを回してます。
その動画映像はこちら!
そして本堂は真っ赤に浮かび上がってます!
見るものを圧倒します。
緑と赤と青で境内は彩られています。
すごい色彩感覚です。
これはかなりの見ごたえがあります。
まだ明るいので雰囲気が出ていませんが、真っ暗になったら一体どーなるのでしょう。
たぶん娘はおびえると思います(笑)。
まだ明るいのにすでに怖いです。
なかで仏像が不気味に浮かび上がってます。
これは絶対に狙ってますね。
もうほとんど肝だめしゾーンです。
そもそも人がほとんどいません。
そして最後の最後にダメ押しの1発!
観音さんの境内に電飾のトナカイです。
しかもセミしぐれのなか、首をふってます。
いったいこれをどういう気持ちで見ろ、というのでしょうか(笑)。
でも、好きです、こういうの。
ワタクシもM子も、すっかり津観音が好きになりました。
ただし、娘は完全にひいてましたが・・・・・。
わずか1時間ほどの夜の散歩。
十分に楽しめました。
今はなかなか歩かなくなった昔のあの道、懐かしい通り、ぜひみなさんも歩いてみませんか。
津観音ライトアップは、フォトグラファー加納の「三重露光」でも紹介予定です。
お楽しみに!!