5人目「大内山動物園園長・山本清剛」

投稿日: 2009年09月07日(月)09:32

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みなさんは、大内山動物園をご存知でしょうか。
紀勢道・大内山ICを降りて車で10分ほど。
国道42号線沿いに看板を見つけることができます。

大内山動物園
全国でもめずらしい私設の動物園です。

[googlemap lat=”34.279347024340424″ lng=”136.35887145996094″ width=”400px” height=”300px” zoom=”12″ type=”G_NORMAL_MAP”]三重県度会郡大紀町大内山間弓540−3[/googlemap]

この動物園が開園したのは、40年ほど前。
脇正雄さんという方が、「大内山脇動物園」としてオープンさせました。
一時は象やパイソンなど70種、1000頭を飼育。近くで動物が見られるとのことで全国的にも話題になったそうです。

しかし、体調を崩していた脇さんが、2008年12月に73歳で死去。
園内は荒れ果て、存亡が危ぶまれていましたが、脇さんの友人で名古屋の会社経営者の山本清剛さんが、新園長として運営を引き継ぐことになりました。

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糞尿が蓄積した檻内を片付け、老朽化した施設を再生。
そして今年2月、まだ仮オープンながら、大内山動物園は再び息を吹き返したのです。

「助けを求めてる動物を捨てておけなかった・・・・」

動物を助け、子供たちの夢の楽園を守った・・・・今回はそんな「三重の100人」。

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山本清剛さん


59歳

名古屋在住

大内山動物園 園長
建築建設会社 社長










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実は、別の仕事で大内山動物園を訪れていたのであるが、山本園長のお話を聞いていて、「これは!」と思い、慌ててサルシカの名刺を出して取材をお願いする隊長。

山本「サル・・・シカ・・・お宅も動物園しとるんか? サルとシカならウチにもおるよ」

突然の申し出に対し、笑いつつ快諾してくれた山本園長。
いろいろとお話をうかがった。



「動物たちの目が・・・山本さんを決断させた」


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この動物園を引き継ごう・・・と、山本さんを突き動かしたものは何なのですか?


山本:動物たちの目ですよ。
私は小さいときから本当に動物が好きだった。
そんな動物たちが檻の中で助けを求めてる・・・・そんな彼らの目を見たら、もう放っておけなかったんですよ。

私は前園長と付き合いがあったので、この動物園には何度も足を運んでいたんです。
しかし昨年、ここに来たときは目を疑った。
檻の中には糞尿が積みあがり、老朽化した施設は崩れている状態。
動物たちも痩せこけ、まさに瀕死の状態だった。
前園長が体調を崩し、もう動物の管理どころじゃなかったんでしょうね・・・・で、そのまま前園長が亡くなられて・・・・この動物園自体の存亡が危ぶまれたとき、私は動物たちの目を思い出したんですよ。
で、これは私がやるしかない、と。




「片道2時間かけて名古屋から通勤」



ご自宅は名古屋で毎日通勤されているんですよね?


山本:火曜日以外は土日もなく毎日・・・。
火曜日は歯医者に通ってるんで、ちょっと今だけ勘弁してもらってるんですよ(笑)。

平日は、朝6時には名古屋の自分の会社に出社し、その日の作業や指示をまとめたりします。
だいたい10時ぐらいですかねぇ、名古屋を出るのは・・・・まあ片道2時間ぐらいですから、だいたいお昼ぐらいに動物園に入ります。

お昼は手の空いている飼育員といっしょに食べます。
そのお弁当は私が毎日用意してるんですよ。おにぎりとか簡単なものですけれど、毎朝つくってるんです。
飼育員はみんな地元の若者たちですが、本当によくがんばってくれている。
だから、私にできることは精一杯やろうと思って・・・・。

夕方まではここで動物たちと過ごします。
そして夜9時か10時頃、名古屋の会社に戻って書類の確認などをします。
家に帰るのは大体いつも12時過ぎ・・・・風呂に入ってさあ寝ようと思うと2時近くになっていることが多いですねー。



「お酒とゴルフを一切やめた」



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よく続きますね、そのスケジュールで?


山本:肉体的には確かに辛いです。
お酒を飲んだりするともうダメですねぇ。朝起きられないし、もう今日はいいか・・・なんて思ってしまう。
私は毎晩のように飲みあるいていた人間なんですが、この動物園を引き受けてしばらくしてからお酒をやめました。
正月も祝い事のときも一切口にしてません。
あと、ゴルフも一切やめました。
それこそ私は年間200日ぐらいゴルフに行っていたので、その時間とお金をこの動物園に費やしてます(笑)。



「糞尿の廃棄だけで2000万円がかかった!」



山本:最初ここは本当にヒドイ状態でしたからねー。
私たちだけでは到底追いつかないので業者さんも呼んでまずは大掃除をしました。
動物の檻の中の匂いはもうそれはすさまじくて(笑)。
コンクリートの床が糞尿で見えないんです。30センチ、40センチと蓄積してるんですよ。
その片付けだけで、トラック数十台分の廃棄物がでまして・・・処理料が2000万円! これはえらいことになったぞ、と思いましたが、もう後には引けませんしねぇ・・・・」




と、豪快に笑う山本園長。
とてつもなくスケールと懐の深いおじさんなのです!!





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お話の途中で・・・・「ちょっと面白いもの見せましょうか」と山本さん。
ライオンのライちゃん(メス)とピューマのピーちゃん(メス)の檻のそばにいくと、ライちゃんとピーちゃんは猫科独特のゴロゴロ音。
甘えたしぐさで「遊ぼう、遊ぼう」と山本さんに近づいてくる。

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「遊んでほしいんですよ、ほら」



と、柵の間からライオンの腹をなでると、もうライちゃんは恍惚状態。
初めてライオンの歓喜に打ち震える声を聞いた(笑)。

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「エサを与えるのは飼育員の仕事なので私はエサを与えたこともないんですけどね、遊んでくれるのを知ってるんでしょうね」



一度は餓死寸前まで追いやられ、人間不信におちいった猛獣たちが、ここまで山本さんに心を開いている・・・・。
これはスゴイことではないのだろうか。




「最初はプライベート動物園にするつもりだった・・・?」


105_011 山本:ええ、本当ですよ、最初は私のプライベート動物園でいいと思ってました。動物を救うのがまず何よりの目的でしたし、一般公開となると、また設備投資がいろいろと必要になるので・・・・」


なのに一般公開に踏み切った理由は何なのですか?

山本:再生の工事をしていましたらね、どんどん人がくるんですよ。上の出入口の柵のところから園内を覗いてる(笑)。
それでお話を聞いてみたら、ぜひ中を見せてほしいと言う。
前の園長の代のときから通われてるリピーターの方もたくさんいらっしゃって・・・そんなにたくさんの人が望まれるのであればと思って、まだ工事中なので仮オープンですが、公開することにしたんです」



「どんどん広がる夢の動物園」

105_012 山本:公開する以上は、お客さんに満足してもらいたいし、失礼があってはいけないので、動物管理や飼育員の教育のために、実際に動物園で園長をしていらした方を講師としてお招きして、3ヶ月間研修を行いました。


徹底されてますねー。
でもその研修の成果でしょうか、こちらの柵内は非常に清潔で、匂いもあまりしません。
何よりも動物たちが生き生きとしています。


山本:私たちにとって一番うれしい言葉です。
私たちは、サルやシカなど、怪我をした野生動物の保護もしているので、園内が手狭になってきています。なのでもっと拡張して、動物の種類も増やしていけたら・・・と考えているんです。



105_014 ずいぶんな投資額になるのではないですか?

山本:投資総額は2億円をこえるのではないでしょうか。
お金儲けが目的なら絶対にできない投資ですね。
いま入場料も、おとな600円、こども300円をいただいてます。しかし、私設で補助金もない動物園ですと、かなりの人に来ていただいてもやっていけない。
でもこのいただいたお金でひとりでも多くの飼育員を雇って、動物たちにストレスのない暮らしをさせてやりたい・・・そんな風に思ってます。





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お話を聞き終えた直後、迷子のウコッケイが保護されて大内山動物園に連れてこられた。
動物病院で病気やダニなどの検査をされたあと、ここで飼育されるという。

本格的なオープンは来年を予定。
小さいけれど、動物も子供も本当に生き生きと楽しめる・・・・そんな動物園です。
みなさんもぜひ一度お出かけになってみてください!




大内山動物園
開園時間:午前9時~午後4時30分(4月~10月)
入場料:おとな600円 こども300円
問合せ先:0598(72)2447



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