三重の山間部に暮らすお父さんたちは自然薯掘りが大好きである。
隊長の私も、小さい頃、親父に連れられてあちこちの山にいった。
しかし子供の頃は自然薯が好きじゃなかったし、親父に穴掘りの手伝いをさせられるのもイヤだった。
そんな私が、「自然薯掘りにいこう!」と誘われて、大喜びで着いていくのだから、年をとるというのもなかなか面白い。
誘ってくれたのは、自然薯マスターのシンジ君、のだっち、キヨちゃん。
みんな子どもの頃から山やいろいろなところで穴を掘っているのである(笑)。
自然薯掘りに必要なアイテムは・・・
1、細めのクワ(開拓クワ)
2、根かき(自然薯のまわりをほじる。ドライバーなどでも代用可)
3、カマ(下草を刈ったり、根を切ったり)
まあ、最低限これぐらい。
あとスコップなどあれば便利。
とれた自然薯を乾燥させないために、くるむ新聞紙も用意!
まずは自然薯のツタを探す。
細い木に巻きついているので、注意深く探していく。
のだっち「お、あった!」
自然薯は結構あちこちにある。
車が行き交う通り沿いにも住宅街の中にもある。
問題はそこが掘っていい場所であるか、掘れる場所であるかである。
思い切り道路わきで掘る、のだっち。
これでは土木作業員です。
岩が多いと掘れないし、平地だと深く掘るのが大変なので無理。
斜面でやわらかい土のところを探す。
まあ人目につくとこにツルがあるのに掘ってないのは、何かしらの理由があるから。
楽せず探さねば、幸せは見つからないのだ!
いろいろな地域によって、見分け方が違ったりする。津市内でも場所によって見分け方がかなり違った。面白いものである。
上写真が自然薯のツル。
下の写真は似ているが違う。
ここで三重県津市の我が家の周辺の見分け方をお教えしよう。
1.ツルの葉っぱの形が細長いハートである。
2.ツルが右巻きである。
3.ツルや葉を引き裂くと、ぬめりで糸をひく。
2は、ちょっと怪しいが、1と3の見分け方は完全だと思われる。
太いツルほど太い自然薯が埋まっているといわれる。
ツルをたどっていくと、地面に入っていく。
この下に幸せの自然薯が眠っている!
三重県中部では11月の中旬をすぎると、このツタが根元から切れてしまい、自然薯がどこにあるのかわからなくなってしまう。
これをこの土地では「とぶ」といっている。
もうまもなく「とんで」しまうのだ。
掘るならいまだ!!
掘りやすい場所にある自然薯を追い求め、どんどん山の中へと入っていく。
自然薯を掘るためには、草の中、藪の中に入らなくてはならない。
ヘビとか虫が嫌いな人には、基本的に無理である。
斜面を切り崩しつつ、どんどん掘る。
自分の体も写真のように入れなくてはならないので、それなりに大きな穴を掘る必要がある。
ヒイヒイ、ハアハア・・・。
かなり大変な作業である。
「なんじゃあ、この根っこはぁ! 邪魔やのう、この石はぁ!」
などと独り言が多くなる(笑)。
のだっちが30分ほどかかって掘り出した自然薯。
あまり太くないというが、いやいや立派なものである。
みんなで格闘した成果です。
男4人でおよそ3時間。
あちこち探して、あちこちで掘ってこれです!
大人2名、子ども2名の一般家庭で、2食分ぐらいでしょうか。
で、M子であるが、彼女は月に一度の腹痛でダウンしていた。
全身食い意地で出来た女が、参加しないと言い出すのだから相当つらいに違いないのだ。
のだっちをはじめ、キヨちゃん、シンジ君は、M子のために大半の自然薯をくれたのである。
深く感謝するのである。
というわけで、その夜の我が家の食卓です。
M子が倒れているので、隊長がつくりました!(やればできるんです!!)
まずは自然薯汁です。。
自然薯の皮を包丁の背で簡単に落としてからすりおろしました。
あまりの粘りの強さに団子のような状態です。
ご飯にかけていただくため、M子が用意していた濃い目のお吸い物くらいの出し汁で2倍に伸ばしました。
それでもものすごい粘りです。
これをご飯にかけて掻き込みますとですね。
『トロロ』とか『山芋』とは全く違うことに驚きます。
牛蒡寄りの根っこの鄙びた香りがするのです。
にもかかわらず、豊潤な味わい。
こうなんと言うか・・・自然に体の肉となり血となっていくような。
優しく、力強い味わいです。
箸が止まらなくなります。
ご飯もいらず、そのまま啜り込みたいです。
短冊に切った自然薯にオカカをのせて・・・。
ワサビと醤油であえていただきます。
まずワサビがツーンときて、そのあとに自然薯の旨味と甘味がやってまいります。
酒のおつまみに最高です。
自然薯入り玉子焼き。
見た目は玉子焼きですが、別の料理になってしまいました。
そのくらい、自然薯は「強い」です。
食感がなんて言ったら良いのか・・・軽めのベーグル?
うーん・・・もっちりとして噛み応えがけど歯離れが良くて。
全体的にこう・・・あ、九州の「かるかん」ぽいです!
と言って、納得していただけるかどうか。
普通の玉子焼きに・・・あー、説明できない!
是非自然薯を手に入れて、「自然薯入り玉子焼き」を作ってみてください!
最後に、順番は目茶目茶ですが、自然薯のお吸い物です。
先日、普通のやまと芋を吸い物に投入したらドロドロに離散し、えらい目に合いました。
しかし見よ!この自然薯たちの一致団結した姿を!
あらかじめ出汁を引いて弱火にし、醤油と酒と味醂で味付けした吸い物にスプーンですくった自然薯を入れると、ムッチリとしたお団子状に固まるのです。
これは絶品です。
お餅のようでありつつもっと歯ごたえがあり、かすかにシャリ感があって味が濃い。
山ならではの貴い味、というものを体感いたしました。
のだっち隊員、きよちゃん隊員、シンジ君、ありがとう!ご馳走様でした(M子)