銭湯いこに Vol.02「白塚・旭湯」前編

投稿日: 2010年09月12日(日)23:23


写真/松原豊 文/ケロリン&隊長

三重県の銭湯を回るシリーズの第2弾である。
第1弾が予想以上の好評とアクセス数をいただいたため、もうみんな「うっひょー!」と喜び、前回以上に力をビシバシ入れてお送りするのである。

今回、みんなが待ち合わせしたのは、近鉄白塚駅。
津駅から3つほど北にある駅で、電車の倉庫というか車庫があるのが特徴である。

ちなみに隊長のワタクシが白塚駅に降り立つのは生まれて初めてのこと。
これまでなかなか縁のなかったところなのだ。

さて、まずは今回の参加メンバーを紹介しよう。
上の写真左から、隊長のワタクシ、
続いて、三重県イチの銭湯マニア、ケロリン桶太郎、
時にローカルヒーローに変身しちゃったりすることもあるスズキックス、
そして今回サルシカ初登場の、ボーノー氏。某テレビ局のアナウンサーであり、隊長が出演しているワクドキの人気コーナー(?)「ワンニャンえにっき」のナレーターでもある!

ちなみに集合時間は午後1時。
隊長のワタクシは前の会議が長引き、20分ほど遅刻したのであるが、駅前にいたのはスズキッスクひとり。
午前中から前ノリ撮影していたはずの写真誌マツバラとケロリンがいない。

「なぜマツバラとケロリンがいないのだ?」
「メシを食べてるので少し遅れると言ってましたけど」とスズキックス。
「それはワタクシも聞いているのだ。しかしもう1時半だぞ、遅くなると詫びの電話を入れたワタクシより遅くてどーするのだ!? いったいあの同級生コンビは・・・・」
「あ、来ました来ました」とスズキックス。
線路沿いの道を、大きなカバンを持った写真師マツバラと、短パンに巨大ウェストバッグという怪しげな風体のケロリンがゆらりゆらりと歩いてくる。
最初は陽炎で揺れているのかと思ったが、違うのだ。
ふたりとも本当に揺れているのだ。

聞いたところ、なんと昼飯を食べながら3本もビールを飲んだという。
で、すっかり気分がよくなって、遅れちゃった・・・などと笑うのだ。
酒臭いオヤジふたりに、酔っちゃって・・・と笑われても、可愛くもクソもない。怒りがこみ上げる。

しかし最初からもめていても仕方ない。
初参加のボーノー氏の到着を待って、駅前で記念撮影。
そして、第2回銭湯めぐりの旅がはじまったのである。

目的の銭湯「旭温泉」は午後3に開店なので、あと1時間以上余裕がある。
風呂に入る前に少し町を歩こうではないかということになった。

午前中から前ノリしていた写真師マツバラとケロリンが、なぜかもみ手をしながら、
「シシシシ、ええとこ見つけておきましたんや、お客さん、ちょいとどうですか」
と、いかにも怪しげなポン引き状態でみんなを誘うのであった。

空き地の草むらから姿を現したのは・・・・営業をやめた銭湯であった。

なかなか格好のいい、大正ロマン風の建造物である。
このあと他の銭湯も紹介するので気づかれるかと思うが、なぜか白塚の銭湯の外観はほぼ同じなのだ。
同一人物がデザインしたという話もあるが真相は定かではない。

営業をやめてずいぶん経つようだが、入口付近の植え込みはキレイに手入れされていた。
釜に火が入ることがなくとも、煙突から煙があがらなくとも、ここは持ち主から愛されているということであろう。

隣に銭湯の所有者の方のものと思われる家があったのでピンポンしてみた。
車が2台止まっていたが、雨戸がすべて閉まっており、誰も出てくることはなかった。

もし誰かいたら、ぜひ銭湯の中を覗かせてもらおうと思ったのだが、残念なことである。

で、仕方なく割れたガラスの端から中を覗く。
これじゃあまるで泥棒だな(笑)。
関係者のみなさま、本当にすいません。

ではここで、この白塚がどういう町なのか。
ケロリンに語ってもらおう。


白塚は港町。
激しい祭りがあるし、言葉が少し荒いので勘違いされるけど、おだやかないいところです。
ところで、
白塚では、おにいさんのことを「にいやん」と呼びます。
三重ではあたりまえの語尾「に~」も白塚では「じょー」になります
また大阪でいう「なんやわれ」を前置詞にすると、「お兄さん、そんなことしてたらあかんにぃ」が、「ねやわれ、にいやん、そんなことしとったらあかんじょー」になります(笑)。

また白塚の人は、若者からお年寄りまで、漁師小屋でHしてる。私ケロリンのおじさんも配達中に目撃したとニコニコ語ってました(笑)。
私ケロリンは堤防の下にすてられているであろうエロ本を探すべくペダルを踏むのが冬の放課後の日課でした。
あと、カルビープロ野球スナックのカードが欲しくて、主婦の店白塚店でカードだけごっそりもらってきた前科があります。ごめんなさいごめんなさい。もうしません。
で、最後に銭湯情報ですが、かつては5軒の銭湯があった。
あ、あとね、もっと野良猫の姿があった・・・・。


白塚の人は老いも若きも漁師小屋で・・・・これはあくまで出身のケロリンの言葉である。
隊長のワタクシは一切知らないのだ(笑)。

一軒目の銭湯を離れ、再び白塚の町を歩く。

続いて立ち寄ったのは、菓心庵「前田屋」さん。
もちろんノーアポ(事前連絡)なしである。
最初は立ち飲み屋とか駄菓子屋を探していたのであるが、そんなものは全然見当たらない。
そんな中、ふと目に入ったのがここのお店だったのだ。

9月だというの気温34~35度。
これから銭湯にいってひとっ風呂あびて、ビールでも飲んじゃおうぜ、という前である。
とても和菓子とかアンコの気分ではない・・・・と思っていたが、店前の甘い香りを嗅いだ途端、全自動移動で店へと入ってしまうのである(笑)。

こちらのお店の名物は、白塚まんじゅう。
広く豊かな砂浜に恵まれた白塚の地には、良質の芋が育つのだそうだ。
その芋の風味を旨みを生かしてつくったのが、白塚まんじゅうなのである。

そんな由緒正しい和菓子屋さんで、ひとりずつ和菓子を選ぼうということになった。

が、そんな中で、チーズカスティラ135円を選んでしまったヤツがいる。
スズキックスだ。

他のみんなから「空気の読めないヤツだ」と追求されるが、
「企画を盛り上げるためのあくまで演出ですよ、そういう役回りのヤツがひとりいるじゃないですか、本当はこういうことはイワワッキーがやらなくちゃいけないんだけれど、アイツが遅れてるからボクがやったんです!」
と、かなり強引に言い訳する。

しかし、イワワッキーの名前が出てきたところで、アイツに比べればまだまだスズッキクスも空気が読める・・・とみんな妙に納得にし、その場を収めてしまうのであった。

お菓子を食べたあと、前田屋さんで冷たいお茶をごちそうになる。
突然押しかけてきて、店前で騒いでる我々に対し、とても親切なのだ。
しかもよかったらアンコが出来るところだから中も見ていけ、という。

芋あんを丁寧にこねる店主の前田さん。
生まれも育ちも白塚。

「道はせまいけど、祭りも盛大やし、人もええし、ええとこやに」と前田さん。

前田屋
〒514-0101 三重県津市白塚町5221
TEL&FAX 059-232-3040

和菓子の前田屋さんから出てわずかに歩くと、なんと銭湯の廃屋がまたあった。
ケロリンの情報によると、白玉湯という銭湯。
ケロリンが子どもの頃から何度か入った銭湯で2年ほど前までは営業していたという。

中を覗かせてもらおうと思ったが、目的の旭湯の営業時間が迫っていたので、まずはそちらへ。

ブログ用にiPhoneで撮影している隊長。
その向こうに見える白玉湯は、冒頭の営業をやめた銭湯とそっくりのデザインである。

この町にしっくりとはまっている。
まだ煙突が残っている。

そして旭温泉に向かう途中、こんな懐かしい薬局を発見。
厚かましくどこでも入っていくワタクシたちであるが、残念ながら誰もいなかった。
じゃあ店閉めとけよ、と思うが、まあこれは治安のいい証拠(笑)。

その薬局そばの寺前でタオルを拾ってご満悦の隊長。
実はこの日、隊長は午前中仕事でドタバタと忙しく、すっかり入浴セットを忘れていたのだ。
で、どしようどしようと悩んでいたら、いきなり目前にタオルが落ちていたのだ。
しかも寺の前。
これは神、仏のおぼしめしである。

ちょっと汗臭いけれど、そんなの関係ないのだ。
ありがたく使わせていただくのだ(笑)。

そして午後3時。
いよいよ目的の銭湯・・・・旭温泉に到着した。

が、すでにここで容量オーバーなのだ。
銭湯に指ひとつ入っていないのに、なんと次回に続いてしまうのだ。
許してちょんまげ。